[画像] 国士舘vs世田谷学園

鎌田3ラン、中西被安打3の完封!前年優勝の国士舘、世田谷学園に快勝4番の黒澤孟朗(国士舘)

 世田谷区の学校同士の対決。1992年の秋季大会の決勝で対戦したことのある強豪同士の対戦であったが、現在は、2年連続のセンバツ出場を目指す国士舘がかなりリードしており、点差以上の力の差を感じた一戦であった。

 国士舘には黒澤 孟朗、鎌田 州真という左打ちの好打者がおり、世田谷学園は背番号10の左腕・原田翔陽を先発に起用したが、彼らは左投手を苦にしない。

 1回裏国士舘は1番・門田朋也が四球で出塁すると、2番・齋藤光瑠のバントは内野安打になり、3番・清水武蔵が送って二、三塁とすると、4番・黒澤の痛烈な打球は、右中間のフェンスをワンバウンドで超える二塁打となり、2点を先制した。続く鎌田は中飛に倒れたものの、ヒット性の当たりであった。 2回裏は一死後、先発投手でもある8番の中西 健登が中前安打で出塁すると、9番・伊藤 優が送り、1番・門田が左前安打で還して1点を追加した。

 ここで世田谷学園は投手を背番号1の奥田世蓮に交代する。奥田は粘り強い投球で走者を出しながらも追加点を許さず、国士舘の一方的な展開になりかけた試合を、呼び戻した。しかし反撃とまではいかなかった。

国士舘の先発・中西健登

 国士舘の先発・中西は、サイドに近いスリークォーターのフォームから、シンカーなどを織り交ぜた緩急自在の投球で世田谷学園打線を翻弄する。コントロールが良く、死球は1個あるものの無四球。加えて内外野の守備も安定しているので、なかなか得点のチャンスが訪れない。

 すると7回裏国士舘は、3番・清水の三塁打、4番・黒澤の四球による二死一、三塁のチャンスで、5番・鎌田が引っ張った打球は、ライナーでオーバーフェンスとなる3ランになった。ライナーでの3ランについて鎌田は、「打ったのは、真っすぐです。真っすぐを狙っていました。ヒットは、放物線を描くような打球より、ライナーが多いです」と語る。まさに鎌田らしい打球の本塁打であった。

 6点のリードで中西も余裕ができ、世田谷学園に得点を許さず国士舘が勝利した。中西は被安打3の完封という内容であったが、国士舘の永田昌弘監督は、「中西が良くなかった。腕が振れていなかったです」と、厳しい評価であった。それでも国士舘は、初戦を終えた時点でのチーム力は、優勝した昨年より上のように思う。あとは試合が1週間おきに行われる秋季大会の特性上、いかに勝てるチームに仕上げていくかが注目される。

 一方世田谷学園は、国士舘の中西に抑えられ、打線はいいところがなかったが、2番手として登板し、好投した奥田など、力のある選手はいるだけに、冬場しっかり鍛えて巻き返してほしい。

(文=大島 裕史)