●新しいSurfaceが登場した日

Surfaceの新製品が日本でも正式に発表された。米国では2019年10月2日(現地時間)に、ニューヨークで大々的な発表イベントが行われ、Surface Pro 7やSurface Laptop 3、Surface Pro Xを順次発売すると発表したほか、2画面のディスプレイを搭載したSurface NeoとSurface Duoも、2020年以降に発売する計画を明らかにした。

ここで示されたAndroidの採用や、ARMやクアルコムとのパートナーシップといった新たな取り組みは、Surfaceが新たなフェーズに入ったことを示すといえる。来日した米マイクロソフト モダンライフ、サーチ&デバイスGTMのマット・バーロウ(Matt Barlow)コーポレートバイスプレジデントに、新たなSurfaceの狙いなどについて聞いた。

――2019年10月2日に、米ニューヨークで新たなSurfaceを発表しましたが、その日、Surfaceのチームにとって、どんな一日でしたか。

何年にもかけて取り組んできた成果を発表することができた10月2日は、私にとっては、まさに身体中に電気が走ったような一日でした。パッションが高まり、気持ちがエキサイトする一方で、少しの恐れのようなものが混じっていて、ドキドキしながら発表当日を迎えました。

深夜まで働いたり、週末にも仕事をしたりといった忙しい時期もありましたし、チームのなかでは激しい口論をしたり、お互いを称え合ったりといったことも繰り返し行われました。全員がベストを尽くして作り上げたのが、今回のSurfaceとなります。その結果、全世界のみなさんに対して、素晴らしい製品をお見せすることができました。

――ユーザーや開発者からの反応はどうでしたか。

ポジティブな反応ばかりです。私は20年以上、マイクロソフトで働いていますが、ここまでポジティブで、エキサイティングな反応があったのは初めてといってもいいでしょう。

その理由は明確で、マイクロソフトにしかもたらすことができないイノベーションを提供することができたからです。マイクロソフトはハードウェアとソフトウェアを最高の次元で組み合わせて提供することができます。

これは、今回発表したSurface Pro 7やSurface Laptop 3、Surface Pro X、そして、Surface Neo、Surface Duoという5つの製品に共通していえることです。そこに多くのユーザーや開発者からの期待が集まっている理由があります。

●Surfaceの進化がDuoやNeoを生む

――2012年に、Surfaceを発売したときには、2in1の新たなスタイルを提示し、その後、Surface BookやSurface Laptop、Surface Go、さらにはSurface Studio、Surface Hubといった形で選択肢を広げてきました。

今回の新たな製品群の発表によって、すべての人にSurfaceを提供できる環境が整いました。Surfaceが新たなフェーズに入ってきたことの証だといえます。企業や家庭、教育分野など、どんなシナリオや、どんなユースケースでも、Surfaceが利用できるようになったといえます。ポケットに入る製品から、複数の人が参加して会議で利用できるディスプレイデバイスまで、用途にあわせて選択できます。

――今回は、新たなカテゴリーを含めて5シリーズの製品を発表しました。Surfaceはどんなフェーズに入ってきたのでしょうか。

Surfaceの進化は、「ストーリー」として見ることができます。しかも、読めば読むほど、次が読みたくなるストーリーになっているといえます。

最初のSurfaceは、PCとしても、タブレットとして利用できる2in1のデバイスとして登場し、様々な場所で仕事ができる環境を実現しました。これがSurfaceの原点となっています。本体を支えるヒンジの進化によって、自由な角度でディスプレイを立てることができたり、平面の状態で利用できたりといったことを実現する一方、持ち運びにも最適なデザインであり、用途に応じてタッチやペンでも利用でき、ソフトウェアとの統合が図られています。

振り返れば、ペンとインクをすべての製品で用意したのはSurfaceシリーズが初めてだといえます。こうした設計に対する基本姿勢が、Surfaceの心臓部分を担うものだといえます。

Surfaceの進化の取り組みや設計の基本的な考え方を振り返ってみると、次世代のデバイスであるSurface NeoやSurface Duoにつながる部分が多いことを理解していただけると思います。

Surfaceで実現してきた薄さや軽さ、タッチやペンの利用などを進化させ、その技術が、Surface NeoやSurface Duoでも継承され、最新のテクノロジーによって、新たな選択肢を提案する製品として生まれたからです。

●マイクロソフトがAndroidを載せた理由

――Surface Laptop 3ではAMDのRyzenを採用し、Surface Pro Xでは、ARMと共同開発したSQ1 SoCを採用。さらに、Surface Duoには、クアルコムのスナップドラゴンの採用とともに、Androidを採用するなど、これまでのSurfaceとは異なるコンセプトが注目を集めています。

これはマイクロソフトのSurfaceの設計における大きな変化です。インテルとは、第10世代のプロセッサを採用するなど、その強固な関係はこれからも続いていきますが、新たな領域の製品においては、新たなパートナーシップにより、それぞれの領域に最適な製品を提案していくことになります。

マイクロソフトのSurfaceは、あらゆる選択肢のなかから、最適なテクノロジーを利用するという考え方をです。それは、人々が成し遂げたいと思っていることを行うために、最適なものはなにかを考えた結果です。

マイクロソフトのビジネスにおいて、すでにハードウェアは重要なポジションにあります。最高のハードウェアを届けるという点から考えた結果、新たなコラボレーションによって、ハードウェアとソフトウェアを統合した製品を投入したわけです。

――なぜ、マイクロソフトがAndroidを採用する必要があったのでしょうか。

小さな画面のデバイスに関しては、Androidが最適なOSと判断したからです。お客様の満足度を充足させるために、マイクロソフトが取るべき選択はなにかという点から、Androidを採用しました。

ポケットに入れるのに最適なデバイスを実現するためには、それに最適なOSを選びたい。Androidであれば、モバイルに最適なアプリも数多く揃っていますし、マイクロソフトからも生産性をあげることができるアプリケーションを提供しています。

しかし、Surface Neoのようなもう少し大きな画面(閉じると9インチ×2画面、開くと13型)であれば、PCのような利用が想定され、それであれば、Windows 10が最適であると判断したわけです。こうした大胆な判断は、マイクロソフトにしかできません。他社は、こんな大胆な決断はしないでしょう。しかし、マイクロソフトは、それすらもやり遂げてしまう企業なのです。

これからも、マイクロソフトの開発部門は、Googleの開発部門と緊密な連携を行いながら、Surface Duoの製品化を進めていくことになります。今後は、マーケティング部門も、Googleとより緊密な関係を築いていきたいと考えています。

●Surface Duoは「スマホでもタブレットでもない」

――Surface DuoとSurface Neoの発売時期は、2020年のホリデーシーズンとしています。これから約1年後の発売にも関わらず、なぜ、このタイミングで発表したのですか。

2つの画面を搭載した新たなデザインには対しては大きな関心が集まっています。それは、新たな使い方に対する期待が高まっているからにほかなりません。モバイルクリエイティビティの新たな時代がこれから訪れることを予感させるデバイスだといえます。

Surface Neoは、9型の2つのディスプレイを開けると13型の大きな画面で利用でき、360度ぐるっと回してポケットサイズで利用できます。Surface Neoには、2画面用に開発されたOS「Windows 10 X」が搭載され、Surface Duoには2画面で利用できるAndroidが搭載されます。その上で動作する、2画面に最適化したAPIやアプリの開発には時間がかかります。

これは開発者側からも要請があったもので、Surface DuoおよびSurface Neoが持つ2画面ならではの様々な使い方を想定したアプリの開発を進めるために、このタイミングで発表したわけです。どんなアプリが登場するのかということを考えると、私は、いまから、2020年の発売が楽しみですよ。

――Surface Duoは、Androidを搭載した点などから、スマホあるいはタブレットの延長線上の製品と捉えることができませんか。

私たちはそうした見方をしていません。私たちが作ったのは、Surfaceの選択肢のひとつとなるデバイスであり、スマホでも、タブレットでもありません。

Surface Duoは、ポケットに入るSurfaceが、新たに登場したと捉えてください。スマホにできること以上のものを実現できますし、2つのスクリーンを活用した新たな利用提案が可能であり、新たな作業の仕方ができます。

大きなスクリーンとつなげれば、生産性をより高めながら利用できます。Surfaceのデザインを見れば、生産性だけでなく、使いやすさを実現し、さらに美しいデザインを達成していることがわかると思います。その姿勢を踏襲しているSurface Duoは、まさに「Surface」そのものだといえます。(後編に続きます)