韓国サッカー史上に残る“最強の攻撃陣”が平壌(ピョンヤン)遠征に臨む。

パウロ・ベント監督率いるサッカー韓国代表は10月15日午後5時30分、北朝鮮の平壌にある金日成競技場で、カタールW杯アジア2次予選グループHの第3戦を行う。

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韓国からの応援団はもちろん、取材陣まで平壌入りすることはできず、TV中継まで不可能のとなった“真っ暗なAマッチ”が繰り広げられる。韓国代表の選手にとっては、金日成競技場に駆けつける4万人の北朝鮮観衆の応援もプレッシャーになるだろう。

そもそも金日成競技場は、“遠征チームの墓”といえる。北朝鮮は、2005年3月に行われたイランとのドイツW杯アジア最終予選での敗北(0-2)以降、この場所で14年間も負けていない。

ベント監督は10月13日、出国前のインタビューで「北朝鮮も他のチームと同じ方法で分析を進めており、特別なことはない。私たちのプレースタイルを貫くことが重要だ」と話し、あくまでこれまで通りの姿勢で臨むことを示唆した。

韓国が期待するのは、圧倒的な“火力”を誇る攻撃陣だ。

10月10日に行われたFIFAランキング202位のスリランカとのホームゲームでは、8ゴールを決める大勝を収めた。ここには大きな意味がある。

4得点をあげたキム・シンウク(上海申花)をはじめ、ファン・ヒチャン(ザルツブルク)、ソン・フンミン(トッテナム)、クォン・チャンフン(フライブルク)など、出場した攻撃の選手がすべてゴールを決めた点は、今後につながる成果といえるだろう。

彼らはそれぞれの長所を持っており、誰が試合に出ても北朝鮮の守備を苦しめる可能性が高い。

左からソン・フンミン、ファン・ウィジョ、キム・シンウク、ファン・ヒチャン

キム・シンウクは196cmの身長と優れたフィジカルで、相手を圧倒している。アジアの舞台では、彼を止めることは容易ではない。キム・シンウクは制空権だけでなく、足元の技術力もあり、2列目の選手との呼吸も合っている。スリランカ戦でもキム・シンウクは、頭で2ゴール、右足で2ゴールを決め、存在感を証明した。

韓国代表のキャプテンであり、エースでもあるソン・フンミンは、爆発的なスピードと決定力を備えている。さらに韓国代表ではボールを回すために2列目まで下がるなど、献身的なプレーも見せている。

ファン・ヒチャンは現在、代表チームの誰よりもコンディションが良い。所属チームですでに17の攻撃ポイント(7ゴール10アシスト)を記録しており、韓国代表としても特有の突破力で攻撃に活力を吹き込んでいる。スリランカ戦に出場せず、体力を温存した韓国不動のワントップ、ファン・ウィジョ(ボルドー)も出場を待っている。

これまで以上に未知なる部分が多い平壌遠征だ。レバノンとスリランカを立て続けに破った北朝鮮も、ホームでの勝利のために死力を尽くすと思われる。

ベント監督をはじめとする韓国選手団は、勝ち点3をずっと強調してきた。北朝鮮戦に勝利して3連勝すれば、残りのアジア2次予選のスケジュールが楽になる。

胸に太極旗(韓国国旗)をつけた豪華な攻撃陣が、4万人の観衆を黙らせる準備は整った。