トウキやカンゾウ、ヨロイグサなど、漢方薬に使われる薬用植物の栽培が広がっている。2017年の栽培面積は488ヘクタールで、5年前に比べて19%の増えた。漢方薬の需要拡大に加え、輸入品の価格上昇で、国内産に注目が集まっていることが背景にある。一層の生産拡大に向け、漢方薬メーカーなどでつくる薬用作物産地支援協議会は10月から全国7会場で地域説明会・相談会を開催。産地と実需者のマッチングや個別相談を行う。

メーカー 産地発掘へ相談会


 国内の漢方薬市場は右肩上がりで推移している。厚生労働省によると18年の漢方薬の生産額は1927億円。原料生薬の8割は価格が安い中国産が占め、国産は1割にとどまる。

 ただ、近年では主力の中国産が値上がりし、国内産との価格差は縮小傾向にある。06年度には日本産は3・6倍の価格だったが、16年度にその差は1・9倍まで縮まっている。「将来は国産を上回るのではないか」(同協議会)とも予想されている。

 メーカーには安定価格で原料を調達するため、国内産地を掘り起こしたい意向がある。だが、販売先が限られているため、生産に二の足を踏む産地が少なくない。薬用作物に含まれる成分の量などの厳しい基準もハードルになっている。

 このため同協議会は13年度から、メーカーと生産者のマッチングを進めている。これまでの6年間で、5件の新しい取引が始まった。同協議会は「高いハードルの中で大きな成果。産地拡大にもつながっている」と評価する。今回の地域説明会・相談会は、都道府県や市町村の担当者らを対象とし、北海道当別町や和歌山県のJAありだなど先進産地の事例を紹介。需要動向や関連規制などを解説する。

 各ブロックの開催日と開催場所は次の通り。
 ▽北海道=10月29日、札幌市▽東北=11月13日、仙台市▽関東北陸=10月23日、さいたま市▽東海=11月28日、名古屋市▽近畿=11月7日、大阪市▽中国四国=11月6日、高松市▽九州沖縄=11月20日、福岡市