撮影を始めようとすると、「きょうの私の衣装、ピカチュウみたいじゃないですか?」と笑顔を見せる。

2018年に楽曲『マリーゴールド』で第69回NHK紅白歌合戦に初出場し、今年2月には初の武道館で弾き語りワンマンライブを開催。スターへの階段を一気に駆け上った。女子高生を中心にカリスマ的人気を誇りながらも、シンガーソングライター・あいみょんは、軽快な関西弁で、どこまでも自然体だ。

10月には、アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』を手がけた長井龍雪監督の最新作となる、映画『空の青さを知る人よ』にも楽曲を提供した。

若者が共鳴するリアルな歌を生み出すあいみょんは、今、何を考えているのだろうか。

撮影/布川航太 取材・文/坂本ゆかり 制作/iD inc.

“あいみょん”は、JKに生かされているんです(笑)

この1年半くらいのあいだに、あいみょんさんを取り巻く状況は大きく変化したと思います。
変わりましたね。とはいえ、今まで通りの生活をしていますよ。あ、でも、あるあるですが、「親戚が増える」ってことがありました。「うちの一族こんなにおったんや!」って(笑)。

私が紅白に出たのをきっかけに、親戚で「集まろうぜ!」ってなったみたいで。私ももちろん嬉しかったけど、お父さんとかおばあちゃんが喜んでくれたのが良かったです。何かきっかけがないと、集まれなかったんやろうと思って。

変化があれば、プラス面もマイナス面も出てきますけれど、嬉しいことのほうが多いですね。
ジャージ姿でコンビニに行けなくなった、とかはないですか?(笑)
あ〜、全然ジャージです! むしろジャージのほうが好感度高いんじゃないか?って、好感度気にしながら歩いてます(笑)。でも、いつ何時見られてるかわからないので、ファンをガッカリさせたくないって気持ちもありますね。

外を歩いていて、こっちをチラッと見られただけで「気づかれたかな?」って思うこともあるんですけど、私の勘違いだったことも多々あって(笑)。ちょっと自意識過剰になってるところはあるのかも。

たまにマネージャーさんとふたりで歩いているときに、自分のグッズを着てくれている子とすれ違うと、「あいみょんやで〜」「あいみょん、ここにおんで〜」って小声で言っちゃうみたいな、アホになってくるところはありますね(笑)。
バッタリあいみょんさんに会ったときのファンの反応はどんな感じですか?
東京と関西では、ちょっと違いますね。たとえばレストランでも、東京だとお店を出てから話しかけてくれることが多いんですけど、関西の子は見つけたら突進してくるみたいな(笑)。日々、そういう状況を楽しませてもらっています。
とくに今、高校生くらいの女の子からしたら憧れの的じゃないですか。突進したくなる気持ちもわかります。
いやいやもう、何に憧れてんねん! やめときって(笑)。
彼女たちの「代弁者」であり、「悩みに答えをくれる人」であり…。
私自身が悩んでいるから曲にしているのに、それが誰かの答えになるってスゴいですよね。私は答え見つけられてへんのに。
彼女たちからの視線を、意識していますか?
はい。今の私を支持してくれているのはJKですから。“あいみょん”は彼女たちに生かされているんです(笑)。「憧れる」と言われるのはちょっとわからないけど、そういう子たちに好かれるのは純粋に嬉しいです。だから「聴いてくれてありがとう」って思うし、「一緒に歳取ろうな」って思います。
一方で影響力が強まればそのぶん、否定的な意見も増えますよね。傷つくことはありませんか?
傷つきますし、めっちゃムカつきますよ。「私の何がわかんねん」って。でもそういう気持ちは個人的に発散すればいいんです。芸術を発信する側は基本的に評価が欲しくてやっているので、たとえ否定的な意見だったとしてもそれは評価じゃないですか。褒められてばかりじゃ気持ち悪いし。

私は、人に僻まれて妬まれてなんぼやと思うんですよ。だから、賛否両論は確実にあったほうがいいですし、それくらい誰かにライバル視されているくらいがいいのかなと思います。

見る人によって、空の青さも違う。それがおもしろい

楽曲『空の青さを知る人よ』は、プロデューサーを務める川村元気さんが、映画の脚本を見て「あいみょんの声が聞こえる!」とおっしゃって、それがオファーにつながったそうですね。
そうみたいですね! さっき映画の資料を見て初めて知りました(笑)。
そんないい話、先に言ってほしいですよね(笑)。
本当ですよ〜(笑)。川村さんとは楽曲の制作中に2回くらいお会いしていたのに…。直接聞いていたら、もっと盛り上がっていたと思います。
台本を見てから作曲されたそうですが、どんな印象を受けて曲にしていったのですか?
台本から映像を想像するのに慣れていなかったので、まずは作品の軸となりそうなキーワードを拾っていきました。この作品では、“空”は、外せなかったです。あとは主題歌の『空の青さを知る人よ』と、エンディングの『葵』の2曲を、それぞれ別のテイストにしたいって意識もありました。

『空の青さを知る人よ』のほうは、金室慎之介(劇中のギタリスト、声は吉沢 亮)が作った曲という設定があったので、そこまで映画の内容に寄り添ってはいないんですよね。慎之介くんが作った曲なので。どっちかっていうと、“あいみょん”というアーティストが作った曲っていうふうにも捉えられる曲かなって思います。
作品と同じタイトルですが、『空の青さを知る人よ』は、あいみょんさんっぽいタイトルだと思いました。
ホンマですか? タイトルを決めてから曲を作るのが初めてだったので、普段とは違う感覚でした。
『空の青さを知る人よ』というタイトルなのに、「赤く染まった空」という歌詞が出てくるのも印象的です。
空って青いだけじゃないですからね。夕焼けとか。映画のラストシーンで出てくる空も、そこまで青くなかったし。

色彩って、見る人によって違うじゃないですか。私が黒やと思っても、それを紺色っていう人もいるし、私が青って思っても他の人には違う青さに見える。そこがおもしろいなって思うんです。

理想とかけ離れた人を好きになるもんなんですよ、人間は

相生あかねを演じた吉岡里帆さんとは、プライベートでも仲良しだとか。
そうですね、ちょこちょこ連絡を取り合っています。映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』で、里帆ちゃんが歌う曲を私が書いたのがきっかけで。川村さんから「あかね役は吉岡里帆ちゃんだよ」って言われて、すぐ里帆ちゃんに連絡して、「また一緒にできるね」って話しました。
吉岡さんの声のお芝居をご覧になって、いかがでしたか?
新鮮でした。吉岡里帆の声なんですけど、やっぱり映画の中ではあかねになっていて、「いいな〜」って。優しいお姉ちゃんの声がハマっていますよね。それは吉沢 亮さんもまったく同じで、ホンマに「役者さんってスゲー!」と思いました(笑)。
吉沢さんは、劇中で『空の青さを知る人よ』を歌われていましたね。
私はミーハーなので、「今をときめく吉沢さんが私の曲を歌ってる! スゴーい!」って思いましたよ(笑)。まあ、慎之介が歌っているわけですから、見ているときは吉沢さんっていう感覚ではなかったですけど。
今作では、高校時代に付き合っていたあかねと慎之介が13年ぶりの再会を果たし、「二度目の初恋」が始まります。あいみょんさんの初恋の思い出は?
私の初恋の相手は、足が速くて、サッカーが上手な子でした。でも、初恋ってどっからカウントするんでしょうね? 幼稚園のときって、足の速い男の子が好き、おもろい子が好きって、みんなのことが好きだったから、私の中では初恋には入らないかも。

ちゃんと「好き」っていう感情を持ち始めるのって、小学生高学年くらいだったかな。
あいみょんさんが恋愛をするとき、相手に求めるものって何ですか?
何かを求めることはしないですね。でも、理想は死ぬほどありますよ、そりゃ。女の子って理想だけで生きてる部分があるじゃないですか(笑)。
その理想とは?
う〜ん、わかんないですけど、父親みたいな人かなあ。無口で、ちょっと賢くて、もの知りで。でも、理想は理想でしかないので、結局はそことかけ離れた人を好きになるものなんですよね、人間は(笑)。

あいみょんがオススメする、この秋に読みたい3冊

あいみょんさんは読書家でも有名です。読書の秋にオススメの本を3冊、教えていただけませんか?
うわ〜、悩むな…。

最近いろんな人にオススメしているのは、本谷有希子さんの『静かに、ねぇ、静かに』(講談社)ですね。
短編集なのですが、どのストーリーもちょっとゾッとする話で、気持ち悪いんですよ。でもめっちゃおもしろくて、読み終わった瞬間、ホンマに声に出して「おもしろ〜!」って言っちゃいました。どの作品にもSNSが絡んでいるので、SNS世代の子たちに読んでほしいです。
本を買うときは、何を基準にしているのですか?
もともとミステリーとかサスペンスが大好きなんですけれど、又吉(直樹)さんとか、好きな人が帯を書いていたら読んでみることも多いです。

そうだ、ドラマ化もされた『殺人鬼フジコの衝動』(徳間書店)もおもしろかったですよ。主人公は人を殺すことがやめられない女の人で。狂っていく女の人って、どこか切なさがあるというか。共感できないけれど、同情しちゃうみたいな。
何度も読み返している作品はありますか?
小説ではないのですが、岡本太郎さんと岡本敏子さんの『愛する言葉』(イースト・プレス)は、めっちゃ付箋をつけていて、何かあったら必ず手に取りますね。絶対に捨てられないし、ずっと持っておきたい1冊です。
心の糧にしているんですね。
アーティストをしている自分が、誰かの言葉で落ち着いているのって少し恥ずかしい気もするんですけれど…岡本太郎さんの言葉には、すごく助けられる部分があって。

『愛する言葉』は、恋愛で悩んでる人がいたらあげたいですね。それこそ菅田将暉くんに恋愛の曲を書いたときも、彼に新品を買ってプレゼントしました。
あいみょんさんの歌詞に付箋を貼っているJKもいるはずですよ。
今どきのJKはきっと、付箋は使わないですよ。全部、スクショです(笑)。
あいみょん
1995年3月6日生まれ。兵庫県出身。シンガーソングライター。2015年にシングル『貴方解剖純愛歌〜死ね〜』でインディーズデビューし、2016年にシングル『生きていたんだよな』でメジャーデビュー。2017年9月には1stアルバム『青春のエキサイトメント』を発表。2018年8月にリリースした5thシングル『マリーゴールド』で、同年の第69回NHK紅白歌合戦に初出場を果たした。2019年は映画『クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』主題歌『ハルノヒ』、ドラマ『Heaven? 〜ご苦楽レストラン〜』主題歌『真夏の夜の匂いがする』をリリースしたほか、楽曲提供も多数。10月からワンマンツアー『AIMYON TOUR 2019 -SIXTH SENSE STORY-』を開催中。

CD情報

シングル『空の青さを知る人よ』
10月2日(水)リリース

¥1,100(税込)

映画情報

映画『空の青さを知る人よ』
10月11日(金)ロードショー
https://soraaoproject.jp/

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、あいみょんさんのサイン入りポラを抽選で1名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年10月11日(金)12:00〜10月17日(木)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/10月18日(金)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月18日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき10月21日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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