街からゲーセンが消える?倒産急増の懸念、「1プレイ100円」の事情が関係

 10月1日より、2014年以来約5年ぶりに消費税率が10%に引き上げられた。政府は軽減税率のほか、キャッシュレス決済などを活用したポイント還元制度などを導入し、増税後の消費落ち込みを避けたい考えだ。しかし、制度の複雑さやレジ交換など費用負担の大きさを背景に、対応に苦慮する中小零細企業が相次いでいる。

 こうしたなか、消費増税のあおりを受けて一層の淘汰が懸念される業界もある。その一つが「ゲームセンター業界」。倒産や廃業増加が懸念される背景には、厳しい業界環境のほかに、プレイ料金をめぐる業界特有の事情が関係している。

ソーシャルゲームの台頭も逆風、3社に1社が赤字 倒産も過去最多に迫る

 もともと、ゲームセンター業界は厳しい経営状態が続いている。2018年におけるゲームセンター等を主業とする企業の収益は3割が減収決算。近年は増収企業の割合を上回る状況が続いている。損益面でも、一旦は2割台に下がった赤字企業の割合が18年は3割台に戻るなど、再び悪化傾向に転じている。

 2019年に入って、倒産が急増している点も見逃せない。2019年のゲームセンターの倒産は9月までに11件発生。件数こそ少ないが、既に前年(5件)を超えており、過去最多の2015年に迫る勢いだ。特に近年は、愛知県でゲームセンター「VIVACE」などを展開し、学生を中心とした若年層に支持されていたエッグボックスの倒産など、老舗ゲームセンターの経営破綻も発生している。

 理由の一つに挙げられるのはスマホの普及によるソーシャルゲームの台頭だ。日本生産性本部「レジャー白書」によれば、2018年のゲームセンター市場は4550億円。スマホRPGで人気な「Fate/Grand Order」のアーケード投入などで持ち直しの兆しもあるが、ピーク時の2007年(6780億円)に比べると7割程度まで落ち込んでいる。国内スマホゲーム市場がわずか数年で1兆円を突破した(矢野経済研究所)のに対して、落ち込み幅が顕著だ。

 これに加え、近年のアーケードゲームやメダルゲーム用の筐体は、家庭用ゲーム機などとの差別化を図るために大型化・高性能化が進み、価格も上昇。また、ネットワーク通信主体の筐体が主流になったことで、従来の導入費用や電気代と言った固定費に加え、通信費やアップデート費用なども新たに嵩む。そのため、低収益が続くゲームセンターにとっては安くても1台導入すれば数十万円、複数台で数百万円に上り、維持費もかかる新型機への投資負担は重く、大規模なリニューアルを躊躇ってしまう。結果的にゲーム機器や施設の陳腐化・老朽化が加速、集客力が低下し、一層の売上減少を招くという悪循環に陥りやすい。

14年の消費増税時にはゲームセンターの倒産が急増 増税分を値上げできないケースが多く発生

 こうした厳しい経営事情に追い打ちをかけると考えられるのが消費増税だ。5%から8%に消費税率が引き上げられた14年当時は、翌15年にゲームセンターの倒産件数が急増。企業数も15年は前年から1割減、過去20年間では半数以下となった。

 背景にあるのはゲームセンター特有のプレイ事情だ。ゲームセンターは利便性を高めるために、アーケードゲームを中心にプレイ料金を100円などに設定する「ワンコイン」業界。しかし、その分10円単位の小幅な値上げは難しい。そのため消費増税分をプレイ料金に価格転嫁できずに店側で負担するケースは多かったとみられており、経営悪化に拍車をかけた可能性もある。

 市場が縮小しているものの、ゲームセンターは手軽な娯楽としての存在意義がある。生き残る術をどうするか、ゲームセンターとユーザー双方の理解と知恵が求められる。