日本代表のメンバーが発表された。チームは10月7日に集合し、10日にホームでモンゴルと、15日にアウェイでタジキスタンと対戦する。

 9月にミャンマーを2対0で下したチームから、メンバーに大きな変化はない。海外組が23人のうち19人までを占めた前回から、さらにひとり増えて20人になった。歴代最多である(それ自体は、さして重要ではないが)。

 ミャンマーに続いて、今回も格下である。FIFAランキングで大きく離れた2か国を相手に、海外組を数多く招集する必要があるのかとの声がある。所属先で定位置獲得に至っていない選手は、クラブ内での序列向上を優先してもらったほうがいい。そのために招集を見送ってもいい、との意見は根強い。
 
 それも真理ではある。所属先で試合に出ることで、選手たちは実戦感覚を磨き、臨戦態勢を整えていく。経験を積むことにもなる。一人ひとりがコンディションを維持し、個人の経験値を高めていくことは、結果的に代表チームの利益になる。
 
 所属先で試合に出ることの重要性は、森保一監督ももちろん理解している。そのうえで、格下と見なされる相手との試合にベストメンバーを招集するのは、チーム作りを前進させたいからだ。
 
 FIFAのカレンダーは2024年まで固まっており、各国代表チームは20年、21年ともに年間10試合を消化することになっている。大陸選手権が加われば試合数はさらに増えるが、アジアカップは1月に開催されたばかりだ。日本の試合数は、来年も再来年も増えない。
 
 年間10試合が多いのか、それとも少ないのかは、意見が分かれるかもしれない。ここで重要なのは、10試合のほぼすべてがW杯予選に充てられてしまうことにある。
 
 W杯予選は出場権をつかむための負けられない戦いであると同時に、チームを成長させていく機会としなければならない。選手同士のコンビネーションを深めたり、選手交代の選択肢を増やしていったりするのだ。
 
 森保監督と選手たちにとっては、試合だけでなくトレーニングも貴重な機会になる。だからこそ、バックアップ層も含めてメンバーを落とさずに活動をしているのだ。共通理解の輪を、大きくしているのである。
 
 今回の2試合には、大迫勇也がいない。ケガで合流できない。
 
 代わってFWに名を連ねるのは、永井謙佑と浅野拓磨、それに鎌田大地だ。永井と浅野はスピード系で、大迫のようなポストワークは期待できない。
 
 鎌田は前所属のシントトロイデンで、FWで起用されていた。しかし、レンタルバックしたフランクフルトでは、本来のトップ下が定位置となっている。4−2−3−1の1トップでもプレーできるだろうが、そもそも大迫とはスタイルが違う。
 
 彼ら3人の特徴は、森保監督ももちろん分かっているはずだ。大迫と同じ役割を求めるのではなく、3人なりの特徴を生かした攻撃を作り出していくはずである。
 
 4−2−3−1ではなく、3−4−3で戦うことも想定の範囲内だ。大迫不在のなかで攻撃を機能させることが、今回の2試合のテーマになる。