【ニューヨーク岡信吾】安倍晋三首相とトランプ米大統領は25日(日本時間26日)、当地で会談し、貿易協定の最終合意を確認し、共同声明に署名した。日本は、攻めの分野と位置付ける自動車輸出の関税撤廃時期を明記できなかったが、牛肉、豚肉などは環太平洋連携協定(TPP)並みの市場開放を受け入れた。牛肉セーフガード(緊急輸入制限措置=SG)の設定を巡り、TPP参加国との修正協議にめどが立っていないなど課題は多い。合意内容の徹底的な検証が欠かせない。

 共同声明への署名後、安倍首相は「両国にとってウィンウィンの合意になった」と述べた。トランプ大統領は「公正で互恵的な協定だ。農家にとって大きな勝利だ」と強調した。

 協定への正式署名は10月上旬の見通し。日本政府は同月の臨時国会に協定承認案を提出し、早期承認を目指す。

 米国は大統領権限で議会承認を経ずに関税を削減・撤廃する構え。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、「協定の発効は来年1月1日になる」との見通しを示した。

 TPP交渉で関税撤廃に合意していた自動車・同部品は、共同声明で「さらなる交渉による関税撤廃」と記述。具体的な撤廃期間は設定されなかった。

 農産品では、米国産米を調製品なども含めて、関税削減・撤廃の対象から全て除外することで合意。TPPで合意した輸入枠も設けない。バターや脱脂粉乳などTPP加盟国全体向けの「ワイド枠」がある33品目も、米国枠の新設を回避した。

 一方、牛肉、豚肉、ワインなど関税を段階的に削減する品目は、発効と同時にTPP加盟国と関税率が並び、同じペースで削減する。

 牛肉SGは、2022年度の上半期までにTPPを修正し、TPPの発動基準数量内に米国も含む仕組みに移行することを目指す。ただ、TPP加盟国が協議に応じるかは不透明だ。

 共同声明では協定発効後に関税やサービス貿易などで新たに交渉入りすることを視野に、交渉分野を巡る協議を4カ月以内に終える目標を盛り込んだ。 茂木敏充外相は会見で、関税分野の新たな交渉について「さらなる協議を行う、と明確に決めた項目を想定している」と説明。関税撤廃までの期限が明記されなかった自動車・同部品の協議を想定していることを示唆した。