兵庫県内の食肉事業者らは10月から、DNA鑑定技術を使った「神戸ビーフ」「但馬牛」のブランド管理の厳格化に乗り出す。と畜時に採取した肉片を保管し、管理番号を認定証に記載。小売店や飲食店などで銘柄名が正しく表示されているかどうかのチェック機能を強化する。欧米への輸出やインバウンド(訪日外国人)需要などで引き合いが強まる中、徹底した管理でブランドの信頼性を高める。

 従来の耳標や個体識別番号によるトレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)に加え、DNA鑑定によるチェック体制を新たに整えた。

 県内6カ所にある「神戸ビーフ」の認定処理施設でのと畜時に肉片を採取し、姫路市の食肉センター内に新設した施設で保管・管理する。鑑定したDNAは番号で管理し、流通、販売段階での商品と照合できるようにする。

 兵庫県内でだけ生産される「但馬牛(たじまうし)」をもと牛とした「神戸ビーフ」「但馬牛」は、生産者や取扱店を指定登録制としてきた。厳格な管理でブランド価値を高めてきたが、インバウンドや輸出需要の高まりを受け、近年は国内外で銘柄の表示が適正に行われていない事案も出ているという。

 県内の生産者や流通関係者らでつくる神戸肉流通推進協議会は、「多方面からチェックすることで、意図的に名称を偽ることへの抑止力にもしたい」と話す。

 DNA鑑定を活用した検証システムは、兵庫県食肉事業協同組合連合会などが中心となり、10月1日から運用する。