日本を訪れる中国人の数が年々増加している。日本政府観光局(JNTO)によれば、2019年1ー8月の訪日中国人は前年同期比13.6%増の658万3600人に達したが、日中関係が安定していることが訪日中国人の増加を後押ししていると考えられる。

 一方、同統計の数字のすべてが観光目的の旅行客というわけではなく、ビジネスや視察のため訪日する人も多く含まれている。中国メディアの第一財経は19日、ここ最近、日本を視察のために訪れる「地方政府の関係者が増えている」と紹介する記事を掲載した。

 日本と中国の経済的な結びつきが強まっていることを受け、ビジネス目的で訪日する民間人が増えているのは容易に想像がつくが、なぜ地方政府の関係者が続々と日本を視察に訪れているのだろうか。記事は、「ここ最近、中国各地の地方政府の関係者たちが日本を視察で訪れている」と紹介、しかもただの政府関係者ではなく、一線都市の市長クラスといった「幹部」が日本を訪れていると指摘した。

 続けて、幹部クラスの政府関係者が訪日している背後には、まず日中関係の改善という要因のほか、米中貿易摩擦が関係していると指摘。米中関係の緊張を背景に、米国は中国への投資を制限しており、中国側は「持続的な成長」を実現するためのヒントを求めて、日本のを訪れているのだと紹介した。そして、地方政府の関係者たちは都市管理や社会運営などの点で中国はまだ日本に及ばないことと、日本の経験に学ぶことの重要性を認識して帰国することを伝えた。

 中国の国内総生産(GDP)はすでに日本の3倍弱にまで拡大しており、人工知能やスーパーコンピュータなど、すでに日本を超える技術力を持つ分野も増えてきている。それでも中国の地方政府の関係者たちが続々と日本を訪れているのは、さらなる成長を貪欲に求めている証と言えそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)