by Monam

過去の研究により「お金で幸せは買えないが、時間で幸せは買える」ことが判明していますが、「お金と時間のどちらが大事だと考えるか?」というアンケートに答えた学生の進路と幸福度に関する調査結果から、時間的な余裕を重視する人の方がやりがいがある仕事と幸福な暮らしを手に入れていたことが新たに判明しました。

Valuing time over money predicts happiness after a major life transition: A preregistered longitudinal study of graduating students | Science Advances

https://advances.sciencemag.org/content/5/9/eaax2615

Recent graduate advice: why choosing a job for the money has a dark side | Inverse

https://www.inverse.com/article/59375-recent-grads-who-value-time-over-money-are-happier-one-year-out

ハーバード・ビジネス・スクールで行動科学について研究しているアシュリー・ウィランズ氏らの研究グループは、卒業を控えたブリティッシュコロンビア大学の学生約1000人に対し、「お金と時間のどちらが大事ですか」と質問するアンケートを実施しました。そして、対象者が卒業した後にも同様の質問をしたほか、「就職先に満足しているかどうか」や「幸福度」をたずねるアンケートに答えてもらいました。



by Nejron

在学中にアンケートに答えてくれた大学生1232人のうち、「時間の方が大事」と答えた学生は全体の61.7%で、残りの38.3%は「お金の方が大事」と答えました。また、卒業後の調査に協力してくれた1060人に同様のアンケートを実施したところ、「時間派」の約13%が「お金派」に転向していましたが、「お金派」もほぼ同じ割合で「時間派」に転向していたので、2回目のアンケートでも「時間派」は61.5%、「お金派」は38.5%と、割合はほぼ変わりませんでした。

その一方で、卒業後のキャリアや幸福度に関するアンケートの結果は大きく違ったものでした。学生時代に時間派だった学生は、お金派の学生よりも明確に就職に満足しており、幸福度も圧倒的に高かったとのこと。ウィランズ氏が時間派の人の就職先を調べたところ、概して「やりたいこと・やりがいのあること」を仕事にしていた一方で、お金派の人は体裁がいい仕事を選んでいましたが、「本人のやりたいこととは結び付いていなかった」とのことです。



by bialasiewicz

研究グループが実施したアンケートには、親が裕福かどうかや、即物的な人柄かどうかを評価する項目もありましたが、それらの要素は進路や幸福度に有意な影響を与えていなかったとのこと。ウィランズ氏は「時間の方が大事だと答えた人が幸福だったのは、短時間労働を選んだからではなく、やりがいがあって楽しめる仕事に就いたからでした」と指摘し、職業を選択する際は収入や名声にとらわれないほうが幸せになれると話しました。