冷蔵庫の冷凍スペースが小さいからアイス専門になっていたというズボラ女子も、料理を作りすぎて、とりあえずすべて冷凍しているという堅実女子も、せっかくなら食材の良さを生かした冷凍術や、冷凍に関する疑問を解消したいと思いませんか?
そこで今回は、冷凍王子こと冷凍生活アドバイザーとして活躍している西川剛史さんに冷凍に関する疑問や、食材を美味しいまま冷凍するコツについてお聞きしました!
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西川剛史さん。冷凍を極めたプロ中のプロの西川さんに、冷凍のコツをお聞きします!
数か月後に、冷凍庫から冷凍した食材を発見!食べられる??
あれ、あったっけ?詰め込みすぎはデメリットだらけですよ!
たまにしか料理を作らない独身OLあるあるですが、冷凍していた食材のことを忘れていて、うっかり数か月後に冷凍庫から発見した場合、一度冷凍した食材の賞味期限はいつまでもつのでしょうか?
「マイナス18度以下の冷凍庫で冷凍していれば、理屈上では腐ることはないです。この場合、冷凍をしてから数か月後に発見された食材でも、食べられるかどうかといえば、食べられます。ただ、家庭用の冷凍庫は扉の開け閉めがあるので、冷凍庫の中の温度がマイナス18度以下ではなく、それ以上にあがっていることも多いです。そのため、冷凍した食材の美味しさが落ちていきます。
美味しさを損なわずに食べるのなら、家庭用の冷凍庫の場合は1か月以内を目安に食べきってください。1か月を過ぎたら食べられないということはありませんが、味は落ちていきます」
ちなみに、一度冷凍庫の外に出してしまったり、冷凍庫の扉のしまりが悪くて解凍してしまったらどうすればいいですか?
「解凍してしまったら、早めに食べてください。あくまでマイナス18度以下で保つから、冷凍食品の鮮度が守られています。温度が上がると、そのメリットが消えます。また衛生的にも危ないので、再冷凍はオススメしません」
つい大丈夫と言って冷凍庫に戻していましたが、これからは溶けてしまったら食べきってしまいます。ところで、冷凍庫って満杯に入れていると効かなそうですが、本当はどうなのでしょうか?
「冷凍庫の効きですが、実は冷凍庫はパンパンに入れている方がいいんです。氷が入っていると、保冷作用が高まります。扉を開けた時、外の空気が入っても温度が上がりにくくなります。でも、どこになにがあるのかわからなくなるデメリットもあるので、家庭用だと7割くらい入ってるのが理想的ですね」
まだまだ高温の日もあるのですが、気温が高い日は冷凍に向かないのですか?
「室温が高いと、冷凍庫の中の温度も上がりやすくなるため、日持ちはしにくくなります。それを防ぐためには、クーラーをしっかりかけて、冷凍庫の扉の開け閉めを短い時間で行なうようにしてください。基本的には、条件は夏でも冬でも同じです。夏の方が冷凍庫を開け閉めする回数が多いので、開けている時間が長くならないように気を付けてください」
冷凍庫の中では、どのように置くと鮮度が保たれるでしょうか?
「冷凍するだけのスペースを確保をしてください。その周りには何もおかない。冷え方は これから凍らせるものを上の段やトレーに、冷凍したら下の冷凍スペースに入れる。ラップしてフリーザーバッグに入れる二段階保存をすると、食材の表面の酸化を防止できます。あと意外に多いのですが、一度使用したフリーザバッグの再利用はダメ。フリーザーバッグにラップをした食材を入れる場合は再利用も大丈夫な範囲ですが、直接食材がフリーザーバッグに触れてしまうと雑菌が残るので、絶対新しいものを使ってください!」
気になるお弁当問題。解凍してからおかずは詰めるべき?
自然解凍?それともレンチン?
冷凍のコツがだんだんとわかってきたのですが、冷凍した食品をお弁当に入れる時は、解凍したものを入れた方がいいのでしょうか。それとも、自然解凍を意識してレンジなどで解凍していないおかずを弁当に入れた方がいいのでしょうか。
丁寧な言葉で、冷凍のコツを伝授してくれています。
「凍ったままの料理をお弁当に入れると、解凍時に菌が増えるので衛生的によくないです。市販の冷凍食品でそのまま入れられるものは日持ちする工夫をしてあるので、凍ったままお弁当に入れても大丈夫なものもあります。その場合は、パッケージなどに自然解凍OKという文字が入っているのでよく確認してください。家庭では衛生上、やらない方がいいです。必ず、電子レンジなどで加熱をしてから、弁当に詰めるようにしてください」
冷凍庫から取り出した作り置きの総菜を、弁当に詰めるだけのらくちん自炊をしている人には、耳が痛い話ですね……。食材や料理の美味しさをなるべく損なわずに解凍する方法って、ありますか??
「お肉の解凍であれば、流水解凍がオススメです。水を張ったボールに凍ったままのフリーザーバッグごといれて溶かします。完全に溶かすよりは、少し溶かす感じでしょうか。ちなみに、電子レンジの解凍は加熱ムラがおきやすいので、美味しさが損なわれオススメしません。電子レンジの解凍の場合は、温まっている部分とそうじゃない部分ができやすいです」
レンチンって便利だから、つい使ってしまうのですが、ムラができやすいのですね。今、人気のスチーム式の電子レンジだったら大丈夫なのでしょうか?
「レンジによる解凍の違いは、実はそんなにないんです。むしろ一人暮らしの場合だと、解凍が面倒だったら、冷凍したままの食材をパキっと折って、スープに入れたりしても大丈夫です。あとは、忙しい独身OLさんだったら、薬味になる野菜を冷凍しておくとよいかもしれません。香味野菜、香りのある野菜は、空気に触れると香りが飛びやすいので、しっかりラップするといいですよ。ニンニクやショウガも、細かくカットするほど香りが飛んでしまいます。冷凍中も香りが飛びやすいので、できるだけまるごと冷凍するのが美味しさを保つコツです。
ニンニクは、外側の皮をむいて1個の状態で冷凍してください。冷凍したままでも包丁が入るので、冷凍に向いている食材です。冷凍したニンニクを醤油につけておくと、ニンニク醤油が簡単に出来ますよ。冷凍することでエキスが醤油に出やすくなるというメリットもあるんです」
ショウガやニンニクなどの香味野菜は一度には使い切れないので、冷凍保存しておけば、うどんやそうめんの薬味として役立ちそうです。ほかにも、冷凍保存する時に便利なコツってあるのでしょうか?
「フリーザーバッグに保存する時は、薄く平らになるようにしてください。薄い方が早く凍りやすいです。その理論でいうと、ブロック状の肉は冷凍に向いていないんです。また、ハンバーグも、肉厚のものは冷凍に向いていないです。できるだけ薄く平にして冷凍し、収納するときには、フリーザーバッグを立てて収納するとスッキリしますよ。さらに、できるだけ中身が見える状態で冷凍する、定位置管理をすることで使い忘れを防ぐことができます」
このように薄く平らにするのがポイントです。
西川さんの冷凍庫! 見事に整理整頓されています。
確かに、冷凍庫の中がぐちゃぐちゃになって賞味期限切れのものでいっぱいという堅実女子もいそうです。冷凍したら、常に見えるように心がければ、使い忘れも防げそうですね。
「冷凍庫の中も、整理整頓する。家の中の整理術と近いんです。使いかけの半端のものはトレーに入れておくなどして、ぜひ無駄なく冷凍食品を楽しんでください」
・冷凍王子の格言:冷凍庫の中も整理整頓!
【取材協力】 冷凍王子・冷凍生活アドバイザー 西川剛史 http://vefroty.co.jp/
外部リンクsuits-woman.jp