インドネシア産スーパーヒーロー映画『グンダラ(原題) / Gundala』が第44回トロント国際映画祭(ミッドナイト・マッドネス部門)でインターナショナルプレミア上映された。現地時間14日の上映前に観客の前に立ったジョコ・アンワル監督は、2025年までに本作を含めて8作のインドネシア産スーパーヒーロー映画が制作されると明かした。

 グンダラは雷の力を持つスーパーヒーローで、インドネシアのコミック出版社ブンミラゲットのキャラクター。ブンミラゲットは1954年の誕生以来1,100以上のキャラクターを抱えており、大成功を収めているマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に倣い、ブンミラゲット・シネマティック・ユニバース(BCU)を作るという壮大なプロジェクトとなっている。MCUでおなじみのポストクレジットシーンもあり、アンワル監督は「次作がどのキャラクターの映画になるかのヒントになっています」と予告した。

 BCUの記念すべき第1弾となる本作は、スーパーヒーロー・グンダラのオリジンストーリーだ。少年サンチャカは両親がいなくなって以来ストリート暮らしで、生き延びる術として、他人を気に掛けることをやめた大人(『シャドー・オブ・ナイト』のアビマナ・アルヤスティア)になってしまった。しかし、もはや見過ごせないほどに国中に不正が蔓延し、サンチャカは虐げられている者たちのため立ち上がり、孤児の暗殺集団を率いる悪役と対峙することになる。今日のインドネシアが直面している問題が、ストーリーの重要な要素になっている。

 テイスト的にはMCUというより、『ダークナイト』3部作のダークな雰囲気でR指定。主人公には雷のパワーがあるといえども、登場キャラクターはみんな武闘派で、戦闘シーンはインドネシア映画らしくマーシャルアーツが大きな比重を占めていて見応えがある。アクションシーンの振り付けを担当したのは、『ジョン・ウィック:パラベラム』や『ザ・レイド GOKUDO』にも出演しているチェチェップ・アリフ・ラフマンだ。(編集部・市川遥)

第44回トロント国際映画祭は現地時間15日まで開催