散りばめられた伏線、予測できない犯人、予想外のどんでん返しなど、真相が明かされるまで1秒も目が離せないミステリー映画。

今回はFilmarks内で高評価されるミステリー映画を15本紹介します。

オリエント急行殺人事件』(2017)

監督は実写版『シンデレラ』のケネス・ブレナー。今作品では自らが主演も務めている。ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー出演。

世界的名探偵・ポアロが乗り合わせた豪華寝台列車オリエント急行で殺人事件が起きる。ポアロは捜査に乗り出すが、乗客全員、完璧なアリバイがあり、ポアロの腕を持ってしても解決は困難を極めるのだった。アガサ・クリスティーの名作中の名作を豪華俳優でリメイクした作品。

日本でも映像化され既にストーリーを知っている人も多いが、ケネス・ブレナーの新しいポアロ像に新鮮な気持ちで観ることができる。ストーリーを知らない人は最後に暴かれる犯人に驚くこと間違いなし。

『ヘイトフル・エイト』(2015)

『パルプ・フィクション』などのクエンティン・タランティーノ監督作品。サミュエル・L・ジャクソン、ジェニファー・ジェイソン・リー出演。

山の上のロッジで見知らぬ8人が吹雪のため一夜を共に過ごすことになる。そんな密室状態で突如殺人事件が起こり、お互いを探り合ううちに、偶然集まったかと思われた8人の過去が繋がり始める……。

舞台はロッジのみという会話劇だが、会話の中に含まれる伏線、先が読めない展開に最後まで釘付けになる。

『鑑定士と顔のない依頼人』(2013)

『ニュー・シネマ・パラダイス』などのジュゼッペ・トルナトーレ監督作品。ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス出演。

天才的鑑定眼を持つ鑑定士の元に、若い女性から両親の遺した美術品の鑑定の依頼が来る。いつものよくある鑑定かと思いきや、依頼人は壁の向こうから決して姿を見せない。彼女は一体何者なのか。鑑定依頼の本当の目的とは何なのか。

美しい美術品と共に張り巡らされた伏線がかみ合い全ての謎が解けた時、予想外の衝撃が待ち受けている。

『マスカレード・ホテル』(2019)

『本能寺ホテル』などの鈴木雅之監督作品。木村拓哉、長澤まさみ出演。

都内で起こった連続殺人事件。現場に残された暗号から、次の犯行現場であろうホテルを突き止める。事件を未然に防ぐため、捜査一課の刑事がホテルマンに扮して潜入捜査を行うことになる。しかし犯人の目星はつかず、宿泊客全員容疑者という状況の中、事件は急展開を迎える。

東野圭吾原作ならではの、次々起こる驚きの展開に目が離せない。豪華な出演者と、誰が犯人でもおかしくないストーリーと演出で最後まで犯人が予測できない。

『ゴーン・ガール』(2014)

『セブン』『ドラゴン・タトゥーの女』など人気のサスペンス、ミステリー映画を多く手がけるデヴィッド・フィンチャー監督。ベン・アフレック、ロザムンド・パイク出演。

結婚記念日に突如姿を消した妻。謎めいた失踪事件は全米に知れ渡る。そのうち夫の浮気や妻の日記などをマスコミが突き止め、世間は夫が殺人犯であると思い始める。しかし、事件は予想を超える展開を見せ始める……。

緻密なストーリーの構成に先の展開が全く読めない。中盤で妻の行方の真実がわかってからミステリーがスリラー作品へと変わっていく。

『怒り』(2016)

『悪人』などの李相日監督作品。渡辺謙、森山未來、広瀬すず出演。

八王子で起きた殺人事件の現場に、大きな血文字で「怒」の文字が残されていた。事件から1年経っても未解決で、警察は犯人の手配写真を公開した。千葉と東京と沖縄、それぞれ素性の知らない3人の男が現れていたが、その3人が手配写真と似ていた。出会った男が殺人犯かもしれないという葛藤の中、3組それぞれが衝撃の結末へと向かっていく。

3人のうち誰が犯人なのかというミステリー要素もありながら、感情を揺さぶる程の人間の狂気や愛が深く描かれる。

『search/サーチ』(2018)

今作で劇場映画監督デビューとなったアニーシュ・チャガンティ監督作品。ジョン・チョー、デブラ・メッシング出演。

突如姿を消した娘を探すため、父は娘のSNSから手がかりを探そうとする。しかし探せば探すほど父の知らない別人の娘の姿が浮かんでくる。娘に一体何があったのか?

全編パソコンの画面上で展開するという斬新な手法。SNSの画面上に伏線が巧みに張り巡らされ、そこから真実を予測するという新しい映画体験ができる。

『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)

『ゴーン・ガール』と同じくデヴィッド・フィンチャー監督作品。ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ出演。

大物実業家の不正を暴いたジャーナリストのミカエルの元に、40年前に起きた娘の失踪事件の真相究明の依頼が舞い込む。ミカエルは天才的な資料収集能力のあるハッカー、リスベットに協力を求める。ドラゴン・タトゥーのあるこの女は、事件に興味を示し、事件解決へと踏み込んでいく。

事件の真相に驚きつつも、リスベットの心情の変化や人間性、アクションなどキャラの魅力だけでも十分に楽しめる作品。

『祈りの幕が下りる時』(2017)

監督は『七つの会議』や、ドラマ『半沢直樹』シリーズで知られる福澤克雄監督作品。阿部寛、松嶋菜々子出演。

東京都の殺人事件の捜査線上に、ある女性演出家の存在が浮かび上がる。さらに捜査を進めるうちに、遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに気づき……。鋭い洞察力の持ち主である日本橋署の刑事・加賀恭一郎は、そのことが孤独死した母に繋がっていることを知り、心を乱していく。

東野圭吾の人気シリース「新参者」の完結編。事件の真相がわかると同時に深い親子愛が展開され切なくなるストーリー。

『インフェルノ』(2016)

監督は『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』に引き続きロン・ハワード。トム・ハンクス、フェリシティ・ジョーンズ出演。

天才生化学者のゾブリストは、人類増加問題の解決策として、人類の半分を滅ぼすウィルスを生み出し、詩人ダンテが予言した人類の地獄の未来図「インフェルノ」になぞり計画を進める。宗教象徴学者のロバート・ラングドンはその恐ろしい計画を阻止するため、美術史や宗教図像解釈学を駆使し、インフェルノの暗号の謎に挑む。

人気のラングドン教授シリーズの3作目。前作に引き続き、美術品やイタリアの舞台の美しさと共に独特の世界観で謎解きが展開される。

『ゴッホ〜最期の手紙〜』(2017)

ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマンが監督、脚本を担当。ダグラス・ブース、ロベルト・グラチーク出演。

郵便配達人ジョゼフ・ルーランの息子アルマンは、パリへ届ける一通の手紙を託される。それは父の友人で自殺した画家ゴッホが、彼の弟テオに宛てたものだった。テオの消息を追う内にその死を知るが、それと同時に募る疑問が一つ。ゴッホの死の本当の原因は何だったのか?そしてこの手紙を本当に受け取るべき人間はどこに?

 

実写撮影された映像が、世界中のアーティストによりゴッホタッチの動く油絵で描かれる新感覚のアートサスペンス。

『シャッター アイランド』(2009)

監督は『ディパーテッド』でレオナルド・ディカプリオとタッグを組んだマーティン・スコセッシ、レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ出演。

精神を病んだ犯罪者だけを収容するシャッターアイランドから一人の女性が謎のメッセージを残し姿を消す。連邦保安官のテディたちは捜査を始めるが、捜査が進むにつれ恐ろしい真実が暴かれていくのだった。

緻密に練られた謎と衝撃のラストを観た後はもう一度見て伏線を確認したくなる作品。

『22年目の告白 私が殺人犯です』(2017)

『日々ロック』や『太陽』の入江悠監督。藤原竜也、伊藤英明出演。

犯人が捕まらないまま時効となった連続殺人事件。22年後、突然犯人と名乗る男が姿を現し、記者会見や告白本の出版など行い、日本中が騒然となる。犯人に上司を殺された担当刑事の牧村は、犯人の挑発的な行動に翻弄されるが、真実が明らかになるにつれて、新しい事件が動き出す。

韓国映画を阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件など日本の時事を載せてリメイクした。キャストの名演技に観ている者も作品の中の国民と同じように犯人に翻弄される。

『プリズナーズ』(2013)

『メッセージ』や『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール出演。

ある幸せな家庭の娘が突然失踪する。警察は容疑者の青年を拘束するが、証拠不十分として釈放されてしまう。しかし父親は容疑者の一言から彼が犯人だと確信し、自ら強引なやり方で口を割らせようとする。しかし謎の死体が発見されたり、新たな容疑者が現れ、真実に向けて物語は二転三転としていく。

キリスト教的な暗喩が散りばめながら展開される狂気的な世界観に自然と飲み込まれていく。

『ウインド・リバー』(2017)

監督は『ボーダーライン』の脚本を担当し、今作が初監督となるテイラー・シェリダン。ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン出演。

先住民族が住む深い雪に包まれたウインド・リバーで、地元のハンターが少女の遺体を発見する。FBI捜査官と共に捜査を開始するが、不可解な少女の死には悲しい真相が伴っていた。実話を元にして作られた社会派サスペンス。

白人に移住を強制された過去を持つネイティブアメリカンの保留地を舞台に、アメリカの抱える闇が描かれる。

【文/タナカリオ】

※本記事で紹介する映画は国内最大級の映画レビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」のデータに基づいてセレクトしたものです。