1993年にアメリカで成立した「家族・医療休暇法(Family and Medical Leave Act)」は連邦レベルで仕事と家庭生活の両立を支援する制度で、出産の際には12週間までなら休業しても雇用が保証されることが明記されている。しかしこれは無給休暇であり、医療費も高額なことから出産ギリギリまで働く母親も少なくなく、出産翌日には退院して翌週には仕事に復帰という非常に逞しい母親がいるもの事実である。そんなアメリカから、出産予定日2週間前だった教師が学校で陣痛を起こし、病院まで待てずに出産してしまったという驚きのニュースが届いた。

米コロラド州デンバー在住のリンジー・アグバロクさん(Lindsay Agbalokwu)は、コンサバトリー・グリーン・ミドルスクール(DSST: Conservatory Green Middle School)で小学校6年生を担任する教師である。1児の母で9月17日が出産予定だったリンジーさんは3日の朝、お腹に少し痛みを感じたがそれが陣痛だとは思わずいつも通りに出勤した。

しかし教室で授業をしていると、突然激しい痛みに襲われた。リンジーさんは他の教師に授業を任せて病院に行くことを決意し、ナタリー・ルイス校長とクリス・アールズ教務主任に陣痛が始まったことを伝えた。その後3人は救急車を呼ぶべきか、車で病院へ向かうべきか話をしながら校舎をあとにしている。

ところがリンジーさんは、学校の門を出たところで突然「産まれそうだわ! 911に緊急通報して下さい」と叫んだ。一緒にいた2人はすぐに救急車を呼び、学校職員にキャンプ用の寝袋を手配させると、すでに歩くことも困難なリンジーさんを学校前の歩道に敷いた寝袋の上に寝かせた。

2人は携帯電話で救急隊員から指示を受けながらリンジーさんを励まし、数分後には赤ちゃんが誕生した。幸いなことに救急車は出産に間に合い、リンジーさんはその場で処置を受けた後、病院に搬送されている。

リンジーさんは2人目の出産について、地元メディア『ABC 7 Denver』に今でも信じられないといった様子で次のように語っている。

「あまりの痛みに、一緒にいた2人が私の上司だったことなど気にしてはいられず、頼るしかありませんでした。赤ちゃんは完全にフライングですよ。自分の準備が整ったらあっという間に出てきてしまったのですから。きっとせっかちな性格なのかもしれませんね。その後、母に『赤ちゃんが学校前の歩道で産まれちゃったの。クレイジーよね』とメールしましたよ。」

誕生した赤ちゃんは体重約3,800グラムの女の子で、“ザラ”と名付けられた。母子ともに順調で、現在は自宅でゆっくりと過ごしているようだ。

画像は『Denver7 2019年9月8日付Facebook「A Denver teacher started the school year with new life -- as in, she actually gave birth on the sidewalk outside the school building.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)