水稲の害虫であるトビイロウンカが、記録的な発生となっている。10日時点で、注意報や警報を発令したのは西日本を中心に16県。各県の注意報や警報の発令数は延べ24件で、大発生で米の作況指数が低下した2013年(23件)を上回った。収穫期を前に、各県は農家やJAに最大級の警戒を呼び掛けている。収穫の遅い品種で被害が大きくなるため、早めの収穫や農薬による防除が有効だ。

注意報警報 13年上回る


 多発した13年は、西日本を中心に登熟不良の原因となり、水稲の作況指数は全国102に対し、中国99、四国100、九州97。農水省が試算した被害額は105億円だった。今年はトビイロウンカの飛来が早く、数も多かった。さらに西日本では高温が続き、増殖に適した気候だった。このため西日本を中心に多発したとみられる。

 愛媛県は10日、発生圃場(ほじょう)率が過去10年で最も高く、多発年の13、14年と比べても約2倍のため警報を出した。福岡県は9日に警報を発令した。5日、1998年以来、21年ぶりに警報を出した熊本県は「密度は13年より高い」(県病害虫防除所)と警戒を強める。宮崎県は8月19日に警報を出した。「その後も発生が収まっていない。農家やJAに情報提供し、注意を呼び掛けている」(県農産園芸課)という。東海、近畿、中国四国、九州の12県が注意報を出している。

 対策には、農薬散布や早めの収穫が有効。特に坪枯れなど被害が深刻な場合は、できるだけ収穫を早め減収幅を小さくする。農水省は「晩生品種ほど被害を受けやすい。水田をよく観察し、発生を確認したら適切に対応し被害を食い止めてほしい」と呼び掛ける。

<ことば> トビイロウンカ

 中国などから飛来し、夏から秋にかけて増える水稲の害虫。茎から水分や養分を吸って稲を弱らせる。数が増えると稲がまとめて枯れる「坪枯れ」などの原因となり、収量が大きく落ちる。