ヴィーガンやベジタリアンの中には、肉や魚を調理するニオイにも耐えられないという人がいるようだ。このほどオーストラリアで、ヴィーガンの女性が隣家の裏庭から漂うバーベキューのニオイに耐えられず、裁判所に訴えた。『New York Post』『9NEWS.com』『The Irish Post』などが伝えている。

西オーストラリア州ギラウィーンに住むマッサージ療法師として働くシラ・カーデンさん(Cilla Carden)は、ヴィーガニズム(完全菜食主義)である。肉や魚を口にしない彼女にとって、隣家が時々裏庭で行うバーベキューのニオイが頭痛の種だったようだ。

シラさんは「隣の家族はバーベキューで魚を焼くため、うちの庭一帯に魚のニオイがするんです。そのため私は自分の庭であるにもかかわらず、ニオイのせいで庭を楽しむことができません」と不満を漏らす。

その他にもシラさんは、子供がバスケットボールをしている時の騒々しい音やタバコ臭、夜間にパティオの明かりが煌々とついたままになっていることにも我慢がならなかったようだ。シラさんは隣人が故意に嫌がらせをしていると主張し、「本当に気が滅入るし心穏やかでいることができず、夜も眠ることができません」と話している。

耐えきれなくなったシラさんは今年1月に隣人を州行政審判所へ訴えたが、証拠不十分だとして却下されたため州の最高裁判所へ上訴、しかし7月に却下されている。理由は次の通りだった。

「隣家に対して、彼らの裏庭やパティオで子供達をオモチャなどで遊ばせないようにしてほしいという訴えは、道理的に考えても迷惑でしかないでしょう。彼らはそこで生活しているのです。家族で生活するうえで当たり前の行為だと言えます。」

一方の隣家では、シラさんの訴えの後にバーベキューセットを片付け、子供達には裏庭でバスケットボールをさせないようにしたとのことだ。またシラさんの報復を恐れて、パティオの明かりも数か月間はつけないようにしているという。

そしてここ数日、シラさんと隣家のトラブルをメディアが大きく報じたことで、Facebookにて「Community BBQ for Cilla Carden」というイベントへの参加が呼びかけられ、現在3000人以上が参加を表明する現象が起きている。このイベントは来月19日にシラさんの隣家の前庭で、みんなでバーベキューを行うというものだ。

これに対しシラさんの弁護人は、場合によってこのイベント参加者全員が刑事責任を問われる可能性があると示唆している。なお弁護人によるとシラさんは肉を食べる人に対して異論はなく、バーベキューをすること自体は尊重しているそうだ。

しかしシラさんは、隣人が自分に対して故意に迷惑行為を行っていると信じ切っているようで、現在は更なる証拠書類などをそろえて再び訴訟手続きを行う予定とのことだ。

画像は『New York Post 2019年9月3日付「Australian vegan takes neighbor to court over barbecue meat smells」(9NEWS.com)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)