8月23日に行なわれたJリーグ第24節、サガン鳥栖対ヴィッセル神戸の一戦で、元スペイン代表のフェルナンド・トーレスがそのキャリアに終止符を打った。

 盟友であるダビド・ビジャ、アンドレス・イニエスタとのラストマッチに1-6という大差で敗れた様子を、欧州衛星スポーツチャンネル『Sky Sports』は「元リバプール&チェルシーのストライカーのキャリアは大敗で終わった」と伝え、こう続けた。

「フル出場した名ストライカーは、自身を慰めるゴールを決めることもできず、試合を終えた。失意のなか、トーレスは引退セレモニーでサポーターに挨拶し、チームメイトに胴上げされて宙を舞った。

 試合後の会見で彼がまず語ったことは、感謝だった。『日本という国、そしてここを訪れた最初の日から、僕を歓迎し、助けてくれたすべての日本人に感謝したい。そして、僕がプレーをしている間、常に尊敬の念をみせてくれたライバルチームと、そのファンにもありがとうと伝えたい』と彼は切り出した」

 その後も、『Sky Sports』はトーレスが語った“日本愛”について、詳細に綴っている。

「日本の人々は、私にとても多くのことを教えてくれた。周囲にいる人々だけではなく、自分たちすべてのものに対して敬意を払い、尊重してくれる。根本的な価値観、人が持つべきリスペクトを学ぶきっかけをくれて、本当にありがとう。私たち家族に対するプライバシーやマナーの守り方についても感謝しかない。

 この国はとても美しく、尊敬されるべき国だと思う。まだ行ってみたい場所がたくさんあるし、試してみたい食べ物もたくさんある(笑)。ここは、第二の故郷と呼べる場所になったよ」

 引退前に行なわれた『DAZN』のインタビューでは「東京のイメージが強かったけれど、実際に来てみたらトラディショナルな日本家屋や神社、郊外の景色などが多くて、期待以上だった」と明かしていたF・トーレス。“日本愛”、そして“鳥栖愛”は引退したとしても変わらないようだ。

 今後、トーレスはサガン鳥栖のチームアドバイザーに就任することが決まっている。海外メディアに、鳥栖をどのように導くのかと問われたトーレスは、このように夢を語ったという。

「これからは、クラブをより良くするためのことを考えていきたい。鳥栖の会長と、スポーツディレクターとできることを一緒に考え、よりサポーターに誇りに思ってもらえるようなクラブにしていく手助けをしたい。

 チームスタイルを確立し、クラブの周りを取り囲む全ての人をポジティブな人間で固めたい。これは本当に重要なんだ。ただ、何事も簡単なことではないので時間がかかるだろう。ただ、真剣に取り組み続けていればいつか、鳥栖がタイトルを獲得するときが来るかもしれない。その時は、皆で一緒に喜びたいと思うよ」

 鳥栖がタイトルを手にしたその日、サポーターは再び、トーレスが胴上げされる光景を目にするのかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部