鉄道やバスなどの公共交通機関は基本的に年中無休。当然、駅についても同様だが、実は1年でたった2日しか営業していない鉄道駅が存在する。

 それが香川県三豊市にある「津島ノ宮駅」だ。

◆神社の祭事に合わせて駅も営業

 この駅を利用できるのは毎年8月4日と5日だけ。その珍しさもあって鉄道ファンにも人気があり、筆者も夏休みを利用して津島ノ宮駅に行ってきた。

 朝7時過ぎの高松行き快速列車に乗って岡山から瀬戸大橋を超え、四国に入ってすぐの宇多津駅で乗り換えて1時間半ほどで到着。混雑を少しでも避けようと朝方の列車に乗ったが、宇多津駅から津島ノ宮駅へ向かう3両編成の列車は通勤ラッシュ時の埼京線を思わせるほどの大混雑。

 そのほとんどが津島ノ宮駅へ向かう乗客だった。

 とはいえ、鉄道ファンはあくまで一部で、乗客の大半は駅のすぐそばにある津島神社の夏季大祭に参拝するのが目的。250メートルの沖合に浮かぶ、「津島神社の本殿」に立ち入れる日に合わせて営業する、臨時駅というわけだ。

 線路に沿ってカーブしている津島ノ宮駅は列車とホームの間のスペースも広く、段差もあって注意しないと転んでしまいそうなほど。乗降客を誘導するためか各ドアの出口にJRの職員が1人ずつ付いていた。

 降りたホームの先には「津島神社」と書かれた大きな看板が掲げられており、待合室代わりのテントに並んで鉄道グッズを販売するブースなどもある。プレハブ小屋みたいな木造平屋建ての駅舎脇にある改札を抜けると、本殿への参拝客の大行列が。マイカーでも大挙して人が押し寄せており、子供の守り神が祀られていることもあってか、家族連れがやたら多かった。

◆炎天下の中、1時間以上並んで本殿に到着

 しかし、この日は晴天で到着した時点で気温がすでに30度超え。海風が吹いているので幾分マシではあったが、ジッと並んでいるだけで汗が噴き出てくる。列の少し前には「暑いよぉ」とワンワン泣いている男の子もいたほどだ。津島神宮は子供の守り神なのに子供にも容赦なく試練を与えてくる。

 ちなみに陸地から本殿のある津島までは幅2メートルほどの「つしま橋」で渡るのだが、別名「しあわせ橋」と呼ばれ、子供や若い夫婦、カップルには幸せが訪れるという。だが、筆者はこの日1人。残念ながらご利益にあずかることができなさそうだ。

 それでも橋渡料(大人300円、子供100円)を払って津島に向かうが橋の上も行列が続いており、結局並び始めてから本殿に到着するまで1時間以上もかかってしまった。ミネラルウォーターのペットボトルはとっくに飲み干して喉は渇きっぱなし。トイレもずっと我慢していて、暑さだけでなくいろいろと大変だった。

 ようやく着いた本殿のある津島は、周囲約132メートルのとても小さな島。ひっきりなしに人が来るため、島全体が人で埋め尽くされている。長居できるような場所もなかったので参拝を済ませた後、お守りを買ってさっさと島を後にすることに。

◆瀬戸内海に浮かぶ本殿は絶景!

 汗だくになって大変だったが、陸地側から見た海に浮かぶ本殿とそこに架かる橋は絶景と呼ぶにふさわしく、早朝や夕暮れ時なら幻想的な雰囲気でインスタ映えしそうだ。これだけならわざわざ島に向かう必要もなくいつでも撮ることができるし、それに「遥拝殿」は陸地側にあるので年中参拝可能だ。

 ただし、オススメはやはり本殿が参拝できる夏季大祭。マイカーでも行くのも悪くないが、この期間しか駅に停まらない列車で行けばさらに楽しめるに違いない。

 来年2020年の8月4日・5日はちょうど土日の週末開催。時期的に夏休み直前だったとしても、週末を利用して行けるはずだ。<取材・文・撮影/高島昌俊>

【高島昌俊】
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。先日、この旅から帰国したばかりだが、早くも別ルートでの世界3周目に行こうか思案中。