by Jean-Philippe Delberghe

世界規模のオーディションを勝ち抜いたイギリス人俳優のトム・ホランドが演じるスパイダーマンは、自身が主役の「スパイダーマン:ホームカミング」や「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」といった作品のほか、同じマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品である「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」や「アベンジャーズ/エンドゲーム」にも出演しています。しかし、スパイダーマンがこのMCUから離脱する可能性が報じられており、世界中のファンから悲鳴が上がっています。このスパイダーマンのMCU離脱問題について、スパイダーマンの生みの親であるアメコミ界の巨匠スタン・リーの娘であるジョアン・リーがコメントしています。

Stan Lee's Daughter Sides with Sony Over Disney in 'Spider-Man' Split

https://www.tmz.com/2019/08/22/stan-lee-daughter-sony-disney-spiderman-marvel/

Joan Lee, child of Stan Lee, slams Disney over Spider-Man deal - Polygon

https://www.polygon.com/2019/8/22/20828289/stan-lee-daughter-sony-disney-spider-man-joan

そもそもマーベル作品であるスパイダーマンがなぜMCUから離脱しなければいけないのかというと、映画化に関する権利を保有しているのがマーベルやその親会社のディズニーではなく、ソニーだから。過去のサム・ライミ監督&トビー・マグワイアのタッグによる映画スパイダーマンシリーズや、アメイジング・スパイダーマンシリーズは、ソニーが独自に映画化した作品であるためMCUとは完全に別ものとして扱われています。

しかし、トム・ホランド演じるスパイダーマンではソニーがマーベルとパートナーシップを締結したため、スパイダーマンがMCU作品に参戦することとなっています。このパートナーシップに関する交渉の中で、ソニーとディズニーが興行収入の収益配分に関して合意に至ることができず、最終的に「スパイダーマンはMCUを離脱する」と関係者が証言したことで、スパイダーマンがMCUを離脱すると報じられることとなりました。なお、従来の契約では「マーベル・スタジオが公開初日の興行収入のうち5%を受け取る」となっていたものの、ディズニー側は「収益分配を50:50にする」ことを求めてきたため、合意が得られなかったと報じられています。既にマーベルはスパイダーマンの商品に関する権利を複数所有しており、興行収入に関する契約以外でも多額の収入を得ていることから、ソニーは契約に合意できなかったのでは推測されています。

スパイダーマンがマーベル・シネマティック・ユニバースを離脱か、ソニーとディズニーの交渉が決裂 - GIGAZINE



スパイダーマンのMCU離脱問題について、海外メディアのTMZがスタン・リーの娘であるジョアン・リーさんにコメントを求めたところ、「マーベルとディズニーは私の父の作り出したものを完全にコントロールすることを模索していますが、さらなる収益を求めようとするなら、スタン・リーとその遺作を真にリスペクトしてくれる第三者により抑制と均衡が保たれるべきです」と語りました。

さらに、「(抑制と均衡を保つための組織が)ソニーであろうとその他の企業であろうとかまわないですが、スタンのキャラクターと作品は多角的な視点から作られるに値するものであり、継続して進化していくことこそ望ましいです」と語り、ディズニー1社によりスタン・リーの生み出したマーベル作品が管理されることを危惧するコメントを出しています。



by Joey Nicotra

加えて、ジョアン・リーさんは「私の父が死んだ際、マーベルやディズニーの誰も私に連絡を入れてくることはありませんでした。父が死んだその日から、彼らは父の仕事を商品化しており、彼や彼の遺産に敬意や品位を示すことはありませんでした。結局、マーベルとディズニーの幹部よりも、私の父をぞんざいに扱った人は誰もいませんでした」と、マーベルおよびディズニーを痛烈に批判しています。

・おまけ

マーベル作品を含むアメコミ映画の複雑な権利関係については以下のツイートが簡潔にまとめてくれています。