世界ランク5位・アルゼンチンに八村「相手はゲームの勝ち方を知っている」

 バスケットボール世界ランク48位の男子日本代表は22日、W杯(中国)に向けた同5位・アルゼンチンとの強化試合(午後7時試合開始・さいたまスーパーアリーナ)を行い、日本は93-108で敗れた。米プロバスケットボール(NBA)のウィザーズ・八村塁は先発出場し、両軍最多23得点、7リバウンド。世界的強豪と好ゲームを演じたが、八村は勝ちきれなかったチームの課題に「経験値」を挙げた。

 第1クォーター(Q)開始11秒で八村が先制ゴールを奪うと、直後に豪快ダンクをお見舞い。わずか55秒で別格の存在感を発揮し、ゴール下で絶叫するなどファンを沸かせた。23-30で迎えた第2Q序盤は、素早いボール回しに翻弄されるなど苦戦。3ポイントなど高精度のシュートで差を広げられた。第2Qベンチスタートだった八村がコートに戻ったのは33-46の残り5分19秒。そこから3点差まで追い詰めて前半を終えた。第2Qだけなら30-26。修正を見せた展開に、八村は一定の手応えを得たようだ。

「僕らがディフェンスをゾーンに変えたのもよかったし、足を使ってボールを運んでいた。走って速攻を増やせていたのがよかった。負けている時間帯はこれからも出てくる。そこで僕らが頭を下げないで、冷静に、今日みたいに自分たちでエンジンをどれだけ切り替えられるかが大事だと思う」

 第3Q開始1分過ぎには、日本人2人目のNBAプレーヤー・渡邊雄太(グリズリーズ)のダンクも炸裂した。ここで57-58の1点差。さらに渡邊がミドルレンジから放ったシュートがリングに吸い込まれて逆転し、その後は一進一退の攻防が続いた。最後にリードできたのは、75-74となった残り2分13秒。以降は徐々に差をつけられ、77-83で第3Qを終えた。

 逆転を狙った第4Qだったが、93-99となった残り2分8秒以降、日本は得点できず。最後の2分だけを見れば、0-9と自力の差を見せられての敗北だった。「最後の方に経験の差でパッと獲られた。あっちは決めるところは決めてきて、僕らは全然決めるところで決められなかった」と八村。試合全体のシュート成功率は、日本が39.1%(3点)、55.3%(2点)とし、相手は57.1%(3点)、58.8%(2点)だった。

「相手は気持ちよくやっていたので、僕らも相手に余裕を与えないディフェンスをしないといけないと思う。相手は逆に僕らにやりにくいディフェンスをしてきたので、そういうところは僕らもチームとして上げていかないといけない」

シュート成功率も大差「今日みたいな試合は絶対に忘れない」

 八村のマークが厳しく、いい体勢で打てなかったとはいえ差がついた。相手の3ポイントシュートに厳しく対応できなかったことは否めない。NBA選手を多く輩出してきたアルゼンチンは、世界ランク5位の強豪。2004年アテネ五輪では金メダルを獲得。日本にとってはW杯に向けて期待の高まる内容だったが、八村の感じた世界トップレベルとの距離感はどのようなものだったのだろうか。

「ああいう国とできるのは僕らにとって大きなこと。あっちは見ていても、凄く落ち着いていて、やっていても余裕があるようにプレーしていた。僕らもそういうところは学んでいかないといけない。相手は冷静さがあって、ゲームの勝ち方を知っている。個人も、チームも監督を含めてわかっているのは、僕らと違うチームだなと感じた。他の部分の差はそこまでないと思うけど、そこの差は大きいかなと思います。

 僕らも今後経験を積んでいくと思うので、今日みたいな試合は絶対に忘れないで生かしていきたい。オフェンスの部分でどこからでも得点を獲れるのが僕らの強みの一つ。それが出せたのでよかった。いらないターンオーバーがあった。ディフェンスで甘いところがいっぱいあるので、その点を修正していかないといけない。この前よりディフェンスは絶対によくなっている」

 日本は24日にドイツ、25日にチュニジア(ともにさいたまスーパーアリーナ)と強化試合を予定。W杯1次リーグでは9月1日にトルコ、3日にチェコ、5日に米国と対戦する。世界トップとの差を知ったアルゼンチン戦。この負けも一つの経験値として未来に繋げていく。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)