東京ドームの「シアターGロッソ」で公演している戦隊ヒーローショー出演時、スタッフからセクシュアルハラスメントなどの嫌がらせを受けてきたと告発した被害者の女性が2019年8月19日深夜、同日のショー制作会社による調査結果と再発防止策の発表を受けて、ツイッターで声明を出した。

女性は体制改善を願うとともに、「これからどこかの場所でヒーローと出会う子どもたちが大人になる頃には、前時代的なハラスメントに苦しめられることなく生きていける環境が、社会に浸透して欲しい」との願いをつづっている。

「東映様に約束して頂きました再発防止、現場の体制と環境の改善を信じて」

女性は6月にツイッターで、度重なるセクハラなどの被害を受けてきたことを告発し、今後は同ショーに出演しないことを公表した。

戦隊ショーを制作する東映エージエンシーと、Gロッソをもつ東京ドームはこの訴えの内容を調査し、東映エージエンシーは8月19日に「最終報告」を発表。被害女性や関係者に謝罪し、「SNS上での訴えの内容は概ね事実であることが確認できました」として、関与した同社社員1人と「委託先の会社に所属するスタッフ等」5人の計6人について厳正な処分を行ったとした。また、匿名で相談可能な外部の通報窓口を設置したり、ショーの現場にもハラスメント対策担当者を置いたりするなど、具体的な再発防止策も示した。

この最終報告を受け、被害を訴えた女性は19日深夜にツイッターを更新。7月6日に聞き取り調査を受けたことを報告して以来の投稿となり、「長い間ツイートが途絶えてしまい、ご心配をお掛けして申し訳ありません。本日の東映様の発表を受けて、皆様へのご報告です」として、メモ画像2枚分でコメントを出した。

「6月の終わりからDM、匿名関わらず多くのメッセージを頂きました。
状況は違うけれど辛い思いをされている方、同じ敷地内で働いていた方、お客様として遊びに来てくださっていた方々からの激励の言葉に沢山勇気づけられました。
マシュマロ(※編注:匿名でメッセージが送れるネットサービス)なども全て読んでおりますが、きちんと一つ一つお返事することができずに申し訳無く思っております。
本当に本当にありがとうございました。
1年間と少しの間、客席の子供達、皆様に支えて頂いた期間は自分にとって宝物です」
「誹謗中傷や、誤解を招きかねない悲しい発言を目にすることもありました。
時間が掛かる事かもしれませんが、東映様に約束して頂きました再発防止、現場の体制と環境の改善を信じて今後見届けていきたいと思っています。
そして、これからどこかの場所でヒーローと出会う子どもたちが大人になる頃には、前時代的なハラスメントに苦しめられることなく生きていける環境が、社会に浸透して欲しいと願っています。
以前のツイートに書きました『どんな業界であれ次の世代のために変わらなければいけない』という私ひとりのつぶやきは決して大きなものではありませんでしたが、寄り添い一緒に考えて下さった皆様のおかげで一つの声を届けることができました。
重ね重ね本当にありがとうございました」

そのうえで女性は

「Twitterは、少しずつですが以前のように日常を投稿するアカウントに戻していきたいと思います。皆様と楽しくお話しさせて頂ければ幸いです」

と今後についても投稿。また、「この件に関してのご質問やメッセージ等にはお返事することができません。何卒ご理解のほどよろしくお願い致します」としている。

所属していた会社も謝罪と再発防止の声明

19日に被害女性がこのコメントを出す前、東京ドームも声明を発表し、「当社従業員の関与は認められなかったものの、本ヒーローショーの主催者として、ハラスメント等が行われる環境、風土を看過してきたことにつき、被害に遭われた方及びそのご家族に対し、あらためて心よりお詫び申し上げます」としていた。

東映エージエンシー制作のシアターGロッソでのショーを企画し俳優を出演させている企業で、被害女性が所属していた「テクニカルアクターズクラブ」も19日夜、「東京ドーム・シアターGロッソにおいて弊社がマネージメントしておりましたショー元司会者がハラスメント等の被害を受けていた問題について、ご報告させていただきます」とする声明を発表。「先に被害者よりご指摘いただいた退社にいたる経緯について、改めて検証のうえ弊社の対応に反省すべき点がありましたことを申し添えさせていただきます。お心に寄り添うことができず、大変申し訳ございませんでした」と謝罪し、次のように再発防止に取り組むことを伝えた。

「今後におきましては、このような事態を二度と引き起こすことのないようマネージメント体制の再考、強化を図って参る所存です。
今回の事態を招いた反省から、改めてスタッフ一人ひとりとのコミュニケーションを密にとり、弊社と所属スタッフ、双方の意向の共有に対してより注意を図って参ります。
個人の尊重と良好な職場環境の構築に配慮し、現場にはスタッフを管理する女性社員を含めた担当者がより密に出向いて観察、ヒアリング等で状況把握に努めます。
社内はもとより、定例の実務講習会等で現場スタッフへもハラスメントに対する意識向上と知見拡大の教育を継続して行い、仮にハラスメント被害を被った際の相談窓口となる担当者設置を周知します。
被害者及び日頃応援して下さる皆様、関係各位には大変ご迷惑をおかけしましたことを改めましてお詫び申し上げますとともに、今回の事態を厳粛に受け止め、再発無きよう真摯に取り組んで参ります」

(J-CASTニュース編集部 青木正典)