マリナーズの菊池雄星投手が18日のブルージェイズ戦で待望のメジャー初完封勝利を挙げた。2安打無失点1四球で8奪三振という投球内容だった。

 菊池はここまで25試合に先発して、4勝8敗、防御率5・56。6月23日を最後に、8先発続けて白星から遠ざかっていた。

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 4年総額5600万ドル(約59億円)、出来高など含めると最長で7年総額1億900万ドル(約114億円)という大型契約で入団した期待には応えられていなかった。

 メジャー挑戦した日本人投手は、1年目に良い成績を残す傾向が強い。2年目以降は疲労も蓄積してくるし、何より球筋と投球傾向などが分析され、丸裸とされるからだ。

 そういう点では、過去の日本人投手と比較しても、菊池のここまでの1年目は及第点にも達していなかった。米国のファンからは、やはり1年目から期待を裏切ったヤンキース・井川慶投手の名前を挙げ「ケイ・イガワ2世だ」という辛辣なコメントも飛んでいた。

 その低評価を覆す快投。メジャーリーグ公式HPも「これこそ、この3カ月間マリナーズが待ち望んでいた菊池雄星の姿だ」と力強い書き出しで初完封の模様をレポートした。

 何より出色だったのが、わずか96球という球数の少なさだった。

 メジャーリーグでは100球以内の完封を、かつての名投手の名前になぞらえて「マダックス」と呼ぶ。ブレーブスなどで精密機械と呼ばれた制球力を武器に活躍し、通算355勝した殿堂入り投手グレグ・マダックスのことだ。

 日本人投手でかつてマダックスを成し遂げた投手は、大家友和、黒田博樹、田中将大の3人しかいなかった。4人目のマダックス達成者として、菊池が名前を残した。

 日本ではパワー投手として常時150kmを超す直球で勝負し、制球力に定評があるタイプではなかった。西武時代、昨年は完封自体がなかったが、2017年にはCSも含めると計5試合で完封勝利を挙げた。全て球数は100球を超えており、1度目から順番に144球、140球、11球、121球、121球だった。

 この日は1四球でまとめた菊池だが、急に制球力が劇的に向上したわけではないだろう。直球は94〜95マイル(約151〜153km)前後。ファウルでカウントを稼ぐなど直球に力があり、どんどんとゾーン内に投げ込み、ストライクゾーンの中で勝負できていた。

 ブルージェイズ打線の早打ちにも助けられた。7回は7球、8回は8球で、ともに3者凡退に料理した。点差が開いていき終盤に向かうにつれ、相手打線のアプローチは大味となり淡泊に映った。

 また、たいていはカード最終戦となり試合後に移動するケースの多い日曜日のデーゲームというのは、比較的早い試合展開になりやすい。ブルージェイズはロサンゼルスへ、マリナーズはタンパへの移動を、試合後に控えていた。そんな背景も、記録的快投の裏には隠れていたのかもしれない。

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[文/構成:ココカラネクスト編集部]