NHKの大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(毎週日曜20:00〜)で、アムステルダムとロスオリンピックで2大会連続の金メダルを獲得した鶴田義行。体重を10kg増量し、カナヅチから猛特訓して鶴田選手になりきった大東駿介は、実にアッパレだ!
18日に放送された第31回では、鶴田選手たち水泳チームのメダルラッシュが報じられ、観ている側もテンションアップ! 鶴田選手は、日本人初のオリンピック連覇者となり、日本男子水泳チームは、合計12個のメダルを獲得。女性選手では、上白石萌音演じる前畑秀子が、200m平泳ぎでは女子初の銀メダルを手にした。並々ならぬ思いで、役作りをした大東を直撃し、熱い撮影秘話をうかがった。
――資料によると、大東さんが産まれたのは、鶴田さんが亡くなられた1986年ですね。その数字を見ただけでも、縁がありそうな気がします。
それを聞いた時、僕はスタッフさんの大河ドラマに懸ける熱い思いも感じました。最初に第二部のメンバーが集まった時、会議室に資料がぶわっと並んでいて。資料は自分の役だけではなく、それぞれの役のものが映像も含めて用意されていて、そこで彼らの人生を見せていただきました。
スタッフさんは、時代のエキスパート、肉体作りのエキスパートと、それぞれが自負されていて、第一部が始まる前から、担当の分野を徹底的に調べ上げていたので、どんな質問にも答えてくれました。
――水泳チームの結束力も強かったそうですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
やっぱり体を動かすと、アドレナリンが出るから、みんながみんな前向きに進むので、そこはいいなと思いました。明らかに頑張っている人間を否定することなんてできないから、とてもいい現場だったなと思います。第二部だから、第一部の方が積み重ねたもののバトンを受け取るという責任もありました。また、僕は、単純に『いだてん』のファンでしたし。
監督が『いだてん』について「みんなが挫折したり、失敗したりしていくが、それでも物語が進んでいく」とおっしゃっていたのが印象的で。それが、今の日本においても、僕にとっても必要な内容だなと思いました。やっぱり先の人間が残した功績は大きいから、自分も失敗を恐れず、頑張ろうと思いました。だから僕はこの作品が大好きです。
――鶴田選手役に、カナヅチからスタートしたという勇気に感動しました。
できないからやらないとは言いたくなくて。特に『いだてん』は、オリンピックという挑戦を題材にしているわけですから、自分が失敗を恐れる選択をしたくなかったです。
――実際にかなり過酷なトレーニングをされたそうですね。
NHKのみんなでやる水泳の練習をやる前に個人レッスンをしたりしました。また、みんなでやったあとも、1人でプールへ行って復習する、みたいなことをやっていました。すごい真面目なやつだと思われそうですが、実際に「やってやろう!」と血走ってました。
――主演の阿部サダヲさんの印象を聞かせてください。
シャイな方なので、あまり率先してコミュニケーションを取る方じゃないけど、阿部さんがすべてを作ってくれているなと感じ、まさに主役の器を見ました。言葉でまとめあげる人もいますが、阿部さんはそうじゃない。今回、皆川猿時さんもそうですが、大河ドラマでこの芝居をするのか! と驚きました。大河の新しい時代が来たという感じがすごくして、背中を押された気がします。
――鶴田選手や斎藤工さん演じる高石選手は、ピークを過ぎた選手扱いで、阿部サダヲさん演じる田畑さんから、後輩の小池選手の練習代になってくれと言われるところが切なかったです。
でも、それで鶴田は「ただの練習台じゃ終わらないぞ」と奮起できたわけですから。田畑さんは、人間をちゃんと見てますね。僕もこれまで順風満帆ではなかったし、敗北感や悔しい思いを感じたこともあります。でも、くさったことはなくて、自分の人生を思い返した時、失敗して得たことのほうが限りなく大きかったなと。まさに今回、鶴田さん、高石さんから、そのことを改めて教えてもらった気がします。
――鶴田選手を演じたことで、どんなことを得ましたか?
水と接することができなかった自分が、レースで争えたのはすごいことだなと、感動しています。あのクライマックスのシーンで、胸を張って泳げたこと自体が、自分の中でのハイライトでした。
でも、エキシビションの撮影日は水温が一桁で、めちゃくちゃ寒くて、死ぬんじゃないかと思いました。僕たちはみんなで日本泳法を練習してきたので「集大成だぞ!」と、言われたのに、水の中に入った時、寒すぎて、手足が動かなくて。それくらい過酷だったのに、自分たちの心が高い位置でいられたこと自体、夢のような時間でした。
大根監督が、撮影した映像を見せてくれたんですが、「DVDにして、持ち歩きなさい。一生ものだから」と言われました。たぶん監督も後押ししてくれたから、僕らもおのおの役に向き合えたし、とても希望と愛のある座組だったなと思います。
■プロフィール
大東駿介(だいとう・しゅんすけ)
1986年3月13日生まれ、大阪府出身。2005年、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)でデビュー以来、テレビドラマ、映画、舞台等で活躍。近年の出演作はテレビドラマ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(NHK)、特集ドラマ『マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜』(NHK)など。また、映画『108〜海馬五郎の復讐と冒険〜』(2019年10月25日公開)、ベルリン国際映画祭で観客賞と国際アートシアター連盟賞の2部門を受賞した『37 Seconds』(2020年公開)が控える。NHK大河ドラマは「平清盛」(12)、「花燃ゆ」(15)に出演。
(C)NHK
18日に放送された第31回では、鶴田選手たち水泳チームのメダルラッシュが報じられ、観ている側もテンションアップ! 鶴田選手は、日本人初のオリンピック連覇者となり、日本男子水泳チームは、合計12個のメダルを獲得。女性選手では、上白石萌音演じる前畑秀子が、200m平泳ぎでは女子初の銀メダルを手にした。並々ならぬ思いで、役作りをした大東を直撃し、熱い撮影秘話をうかがった。
――資料によると、大東さんが産まれたのは、鶴田さんが亡くなられた1986年ですね。その数字を見ただけでも、縁がありそうな気がします。
それを聞いた時、僕はスタッフさんの大河ドラマに懸ける熱い思いも感じました。最初に第二部のメンバーが集まった時、会議室に資料がぶわっと並んでいて。資料は自分の役だけではなく、それぞれの役のものが映像も含めて用意されていて、そこで彼らの人生を見せていただきました。
スタッフさんは、時代のエキスパート、肉体作りのエキスパートと、それぞれが自負されていて、第一部が始まる前から、担当の分野を徹底的に調べ上げていたので、どんな質問にも答えてくれました。
――水泳チームの結束力も強かったそうですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
やっぱり体を動かすと、アドレナリンが出るから、みんながみんな前向きに進むので、そこはいいなと思いました。明らかに頑張っている人間を否定することなんてできないから、とてもいい現場だったなと思います。第二部だから、第一部の方が積み重ねたもののバトンを受け取るという責任もありました。また、僕は、単純に『いだてん』のファンでしたし。
監督が『いだてん』について「みんなが挫折したり、失敗したりしていくが、それでも物語が進んでいく」とおっしゃっていたのが印象的で。それが、今の日本においても、僕にとっても必要な内容だなと思いました。やっぱり先の人間が残した功績は大きいから、自分も失敗を恐れず、頑張ろうと思いました。だから僕はこの作品が大好きです。
――鶴田選手役に、カナヅチからスタートしたという勇気に感動しました。
できないからやらないとは言いたくなくて。特に『いだてん』は、オリンピックという挑戦を題材にしているわけですから、自分が失敗を恐れる選択をしたくなかったです。
――実際にかなり過酷なトレーニングをされたそうですね。
NHKのみんなでやる水泳の練習をやる前に個人レッスンをしたりしました。また、みんなでやったあとも、1人でプールへ行って復習する、みたいなことをやっていました。すごい真面目なやつだと思われそうですが、実際に「やってやろう!」と血走ってました。
――主演の阿部サダヲさんの印象を聞かせてください。
シャイな方なので、あまり率先してコミュニケーションを取る方じゃないけど、阿部さんがすべてを作ってくれているなと感じ、まさに主役の器を見ました。言葉でまとめあげる人もいますが、阿部さんはそうじゃない。今回、皆川猿時さんもそうですが、大河ドラマでこの芝居をするのか! と驚きました。大河の新しい時代が来たという感じがすごくして、背中を押された気がします。
――鶴田選手や斎藤工さん演じる高石選手は、ピークを過ぎた選手扱いで、阿部サダヲさん演じる田畑さんから、後輩の小池選手の練習代になってくれと言われるところが切なかったです。
でも、それで鶴田は「ただの練習台じゃ終わらないぞ」と奮起できたわけですから。田畑さんは、人間をちゃんと見てますね。僕もこれまで順風満帆ではなかったし、敗北感や悔しい思いを感じたこともあります。でも、くさったことはなくて、自分の人生を思い返した時、失敗して得たことのほうが限りなく大きかったなと。まさに今回、鶴田さん、高石さんから、そのことを改めて教えてもらった気がします。
――鶴田選手を演じたことで、どんなことを得ましたか?
水と接することができなかった自分が、レースで争えたのはすごいことだなと、感動しています。あのクライマックスのシーンで、胸を張って泳げたこと自体が、自分の中でのハイライトでした。
でも、エキシビションの撮影日は水温が一桁で、めちゃくちゃ寒くて、死ぬんじゃないかと思いました。僕たちはみんなで日本泳法を練習してきたので「集大成だぞ!」と、言われたのに、水の中に入った時、寒すぎて、手足が動かなくて。それくらい過酷だったのに、自分たちの心が高い位置でいられたこと自体、夢のような時間でした。
大根監督が、撮影した映像を見せてくれたんですが、「DVDにして、持ち歩きなさい。一生ものだから」と言われました。たぶん監督も後押ししてくれたから、僕らもおのおの役に向き合えたし、とても希望と愛のある座組だったなと思います。
■プロフィール
大東駿介(だいとう・しゅんすけ)
1986年3月13日生まれ、大阪府出身。2005年、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)でデビュー以来、テレビドラマ、映画、舞台等で活躍。近年の出演作はテレビドラマ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(NHK)、特集ドラマ『マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜』(NHK)など。また、映画『108〜海馬五郎の復讐と冒険〜』(2019年10月25日公開)、ベルリン国際映画祭で観客賞と国際アートシアター連盟賞の2部門を受賞した『37 Seconds』(2020年公開)が控える。NHK大河ドラマは「平清盛」(12)、「花燃ゆ」(15)に出演。
(C)NHK
外部リンクマイナビニュース
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