最近よく目にする「副業」という文字。

副業希望者と企業をマッチさせるプラットフォームも登場するなど、ここ最近副業のハードルがどんどん下がってきている印象です。

でも…「本業と副業のバランスを取るのは難しいのでは?」「本業の会社ではイヤな顔をされるんじゃない?」などの疑問が残るのもまた事実。

そこで、副業の実態を取材すべく、現役で副業しているという3名を集めて座談会をすることに。

顔出しナシ、名前は仮名、所属している会社名を明かさないということを条件に、副業のリアルをぶっちゃけていただきました!

▼1人目:椎名さん(仮名)


【プロフィール】本業:インフルエンサー事業の営業、メディアプロデューサー/副業:新サービスの立ち上げ、デザイン設計/副業歴:半年

▼2人目:飯田さん(仮名)


【プロフィール】本業:人事/副業:新規事業立ち上げ/副業歴:半年

▼3人目 近藤さん(仮名)


【プロフィール】本業:広告代理店に勤めるウェブデザイナー/副業:複数の企業でインターネット広告の運用を手がける/副業歴:2年

〈聞き手=ほしゆき〉

副業を始めたきっかけ、目的は?

ほし:
今日はお集まりいただき、ありがとうございます!

まずはじめの質問なのですが、みなさんはどんな目的で副業を始めたんですか?

椎名さん:
私の場合、きっかけは転職でした。

異業種の会社に転職して、そこでは今までのスキルを活かせる場面が少ないとわかっていたんです。本業で活かせないなら、副業で活かそうと思って。



椎名さん:
あとは30歳までに起業したいという思いがあり、新規事業の立ち上げを経験したかったんです。

本業では既存サービスのグロースハックに注力しつつ、副業でサービスのデザイン設計をするなど、いまは0→1の経験値を上げている状態です。

飯田さん:
私はいま本業で人事をしているんですが、会社ではそれ以外の仕事をするのが難しい状態なんです。

人事としてのスキルを極めていく一方、ほかにも自分の柱となる強みをつくりたくて副業を始めました。

ほし:
みなさん、成長意欲が高すぎません!?

正直、片手間でお金を稼ぎたいとか、そういう理由が多いと思ってました。

近藤さん:
僕はどちらかというと“お金派”ですよ。



近藤さん:
すでに副業でお世話になっている会社はあったのですが、もっと収入を増やしたいという気持ちがあり、さらに2つの会社からお仕事をいただくようになりました。

ほし:
複数の副業をしているんですね。

近藤さん:
はい。ずっとひとつの会社で仕事をしていると視野が狭くなるし、仕事がルーティン化しやすいので。

収入は固定給。 副業=成果報酬はもう古い!?

ほし:
顔も名前も隠していることですし…ぶっちゃけ副業でどのくらい稼いでいるのか、お伺いしたいのですが…

飯田さん:
一般的なサラリーマンの、月収の半分くらいですね。


サラッと答えてくれました

ほし:
おぉ! ということは、おそらく月10万円以上は副業で稼いでいるってことですよね? どのくらい働いてるんですか?

飯田さん:
私の場合は週に1日、固定給です。

椎名さん:
私も固定給で、いただいている額も飯田さんと同じくらいですね。

ほし:
え、副業なのに固定給なんですか!? しかも週1日で10万円!? 仕事内容があやしいとかではないですよね…?

飯田さん:
新規事業の立ち上げです(笑)。

評価制度の基盤をつくったりしていますが、本業では関わらない業務ができているので、勉強になりますし、楽しいです。


食いつく筆者

椎名さん:
最近では、副業で固定給なのもめずらしくないんですよ。

成果報酬って会社側はラクだと思いますが、責任が重くないので口頭では「やりましょう!」と盛り上がっても、実現しないことも多いので。

近藤さん:
固定給のほうが、副業する側も「しっかりコミットしないと!」という意識になるので、結果的に企業側のメリットも大きいと思います。

ほし:
思った以上に、「副業としてガッツリ仕事を頼みたい」と思っている企業が増えているということなんですね。



副業と本業を両立するためのポイントは?

ほし:
みなさん副業OKな会社で働いていると思うのですが、とはいえ副業をしていることで会社で居心地が悪くなったりしないんですか?

飯田さん:
本業にしっかりコミットしていれば、居心地が悪くなることはないと思っています。



飯田さん:
副業が認められていると言っても、本業にしっかりコミットできている前提なので、本業での業務もきちんとやりきるように意識しています。

椎名さん:
あ、でも成果を出していてもイヤな顔をされるケースもありますよ。

モラルがない人とか。

ほし:
副業をするうえでモラルがない人、とは?

椎名さん:
たとえば、「副業が忙しい」と言い訳してしまう人。

当たり前ですけど、レストランで料理を待たされてるお客さんが店員さんに、「早く出して」と言ったときに、「ほかのお客さんの対応で忙しいから無理です」なんて言ったら怒られますよね。


ほうほう…

近藤さん:
同じように、先方から「本業の仕事状況を教えて」と言われないかぎり、副業先では本業の話も一切しないですね。

ほし:
たしかに。コミュニケーションには人一倍気をつけないと、双方との関係が崩れてしまいますね。

タブーといえば、みなさん競合先の仕事を副業で請けたりは

飯田さん:
絶対ないですね!!


ここは一斉に否定

飯田さん:
基本、本業と近い仕事はうけません

競合先と取引するのは信頼を損ねますし、お互い気持ちの良いものではないですよね

近藤さん:
たしかに本業でのスキルがダイレクトで活かせるとは思うんですけど、リスクが高すぎますよね。

ほし:
参考になります…ほかに、副業をするうえで注意すべきポイントはありますか?

椎名さん:
あとは、ただの「下請け業務」にならないようにすることです。

企業側も「副業だから」と、オンラインでのコミュニケーションしかとらなかったり、最低限の受発注のやりとりしかしない場合があります。

そうなると、より“下請け感覚”になってしまって、本業が忙しくなったとき精神的にツラいんですよ。



椎名さん:
だから、困ったことや不安なことは、気軽に相談できる関係性を築くことがベター。

副業をしている人こそ、仕事を発注してくださる方と直接顔を合わせて話す時間を多くとるべきだと思います。

副業をすることで、仕事の生産性が上がる

ほし:
でも副業・本業を言い訳にできないというのは、急に仕事が降ってきたときにツラくないですか?

仕事に追われすぎて、パンクした経験とかって…

飯田さん:
ありますよ(笑)。

副業で本業で経験したことのない業務を行ったときには、初めての挑戦だったので思った以上に大変でパンクしました。土日を潰して睡眠時間も削る、という生活で。

椎名さん:
もう慣れましたが、私も最初はバタバタでした。

でも副業をしていると、だんだん自分の生産性が上がってくるんですよね。

本業に費やせる時間が限られるので、そのなかでどう自分の価値を最大限出していくかをすごく考えるようになりました。



飯田さん:
あ、わかります。仕事の取捨選択がうまくなりますよね。

アウトプットはここまででいいなとか、この業務は人に任せた方がいいなとか。自分の価値を最大化するための判断力がつきます。

自分の時間・スキル・体力って資産なので、「どこにどのくらい分配したら価値を最大化できるのか?」と投資家のような目線で考えられるようになりましたね。

椎名さん:
あと、会社以外でも活躍できる場を見つけることで、心理的自由を手に入れた感覚があります。

本業を辞めるつもりはないですが、仮にうまくいかなくなってしまっても「ほかの場所で挑戦すればいい」と思えるのは大きいですね。

飯田さん:
私は、副業でいろんな業務に触れるようになってから、本業でコミットしてる仕事をより深く理解できるようになりました。

本業は人事で、副業が新規事業の立ち上げなので、「このくらい採用したら、今後会社にとってなにが課題になるかな」など、広い視野を持てるようになりましたね。



近藤さん:
働く場所を複数持つことの最大のメリットは、自分の市場価値が明確になることだと思うんです。

自分の知識や培ってきたスキルが、ほかの環境ではどう評価されるのか、どう活きるのかを知ることで自信につながります。

大きい会社で働いていると、ブランド名で仕事をいただくことも多いんですが、個人だとそれがなくなる。正しい評価を知ることで危機感も生まれますし、成長スピードもはやくなりますね。

ほし:
副業って忙しくなるし、もっとリスキーなチャレンジだと思っていましたが、副業することで本業に良い影響がこんなにあるんですね…!

椎名さん:
それに副業だと、「会社を選ぶハードル」がすごく低くなるんですよ。

転職するのは怖いけど、興味がある企業ってあるじゃないですか。そういう会社も、副業なら気軽にチャレンジしてみようと思えるので、自分のキャリアの可能性を広げる上でメリットになると思います。

ほし:
あ、たしかに! 大手企業で働きつつ、スタートアップやベンチャー企業にジョインしてみるのも良いですね。

「今の働き方にモヤモヤしている人」こそ、副業に挑戦してほしい

ほし:
お話を聞いていて、特に椎名さんと飯田さんは、バリバリ働くのが好きなタイプだと思うのですが、やっぱり仕事に意欲的な人じゃないと副業は難しいですかね?



椎名さん:
え、全然そんなことないと思いますよ。

むしろ今の仕事がつまらなくて、働きたくないと思っている人にこそ試してもらいたいです。

飯田さん:
私もそう思います。

副業って週1日、数時間から始められるので、「このまま会社で働いていていいのかな」「もっと自分にはできることがあるんじゃないか」と現状にモヤモヤしている人は、新しい環境に踏み込んでみると色々な発見があると思います。

近藤さん:
会社に雇われて、言われたことをやってるだけの働き方がいかに面白くないか気がつくきっかけになると思います。

それに、自分の強みや価値を判断してくれる人がたくさんいることで、自信につながっていきますよ。

椎名さん:
逆に、今の現状に満足している人には不要なんじゃないでしょうか(笑)。

不安や迷いを抱えていたり、もっと成長したいと思う人には、ぜひチャレンジしてもらいたいです!

想像していたよりもハードルの低かった“副業”という働き方。「ちょっとお金がほしいから」でもいい。「今の仕事に飽きてしまったから」でもいい。

モヤモヤしている自分にスパイスをくれる選択肢として、もっと身近にとらえてみてもいいのかもしれません。

これから、副業の浸透によって、自分のキャリアの幅が広がる未来が楽しみですね。

副業を探すならKasooku (カソーク)
https://kasooku.jp/
今回、取材にご協力いただいたのは、副業マッチングサービスの「Kasooku」さんです。

〈取材・文=星佑貴(@yknk_st)/編集=宮内麻希(@haribo1126)/撮影=福田啄也(@fkd1111)〉

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