[8.10 J1第22節 鹿島2-1横浜FM カシマ]

 J1リーグは10日、第22節を各地で行い、4位の鹿島アントラーズが3位の横浜F・マリノスに2-1で勝利した。後半42分、途中出場のFW上田綺世がプロ入り初ゴールとなる決勝点をマーク。鹿島は横浜FMを勝ち点で上回り、遅れてキックオフした2位の川崎Fがこのまま敗れれば2位浮上となる。

 ホームの鹿島は前節の湘南戦(●2-3)から先発3人を変更。DFブエノ、FW伊藤翔が新たに入り、柏から加入したMF小泉慶は移籍後初出場を果たした。対する横浜FMは前節の清水戦(●0-1)から1人を入れ替え、出場停止だったDFチアゴ・マルチンスが復帰した。[スタメン&布陣はコチラ]

 コイントスに勝利し、新競技規則で可能となったキックオフを選んだ横浜FM。ところがその選択が裏目に出た。開始直後、横浜FMは自陣でボールをつなぐも、プレスにハマったDFティーラトンがパスミス。これを拾ったFWセルジーニョがMF土居聖真とのパス交換から左足でファーポスト際に流し込み、鹿島が開始20秒で先制した。

 その後も鹿島が主導権を握る時間が続いたが、横浜FMは前半19分、MF扇原貴宏がFW遠藤渓太とのワンツーから左足シュートで初の決定機。20分にはDF広瀬陸斗のクロスに遠藤のダイレクトシュートがGKクォン・スンテを襲い、21分にも波状攻撃からFWマルコス・ジュニオールがこぼれ球を狙うなど、ようやくペースを取り戻した。

 それでも中盤中央のパスコースを徹底的に消してきた鹿島に対し、なかなか普段どおりのパスワークを繰り出せない横浜FM。すると鹿島は前半32分、MF白崎凌兵の落としからDF小池裕太にビッグチャンス。さらに34分、FW伊藤翔のクロスに土居、セルジーニョが立て続けに反応し、惜しいシュートが見られた。

 鹿島は前半42分、相手のパスミスを拾った土居が強烈なボレーシュートを狙うもGK朴一圭が横っ飛びでビッグセーブ。横浜FMは45分、カウンターから遠藤が左サイドを抜け出したが、小泉のタックルに阻まれた。そこからセットプレーでゴールを狙いたい横浜FMだったが、相手の守備陣に阻まれて前半を無得点で終えた。

 するとハーフタイム明け、横浜FMはFW大津祐樹と仲川のポジションを入れ替え、仲川を1トップに配置する。鹿島は後半2分、セットプレーの攻め残りから小池のクロスにブエノが頭で合わせたが、シュートは惜しくもサイドネット。前半と同様、立ち上がりに訪れた絶好機を活かせなかった。

 それでも鹿島は後半11分、小池のコーナーキックをファーでブエノが落とすと、伊藤がフリック。横浜FMのクリアミスで生まれた混戦から土居が右足を振り抜き、試合を決める2点目が入ったかと思われた。ところが、副審と協議した主審は間接FKでの再開を宣告。伊藤のフリックの直前にオフサイドを取ったとみられる。

 命拾いした横浜FMは後半20分、大津に代わってFW三好康児を入れる。すると23分、右サイドを駆け上がった仲川がクロスを送り、遠藤のボレーはファーに流れたが、これに反応した仲川がヘッドでゴールイン。鹿島の選手たちはオフサイドを主張したが、DF犬飼智也がゴールライン外にいたため認められず、横浜FMが同点に追いついた。

 ここで副審に猛抗議を行ったクォン・スンテにイエローカード。鹿島は後半28分、伊藤に代わって加入から3試合連続出場となるFW上田綺世を投入した。横浜FMは29分、M・ジュニオールが決定機を迎えたが、クォン・スンテに阻まれた。32分には扇原がMF三竿健斗へのファウルで2度目の警告を受け、退場処分が下された。

 鹿島は後半36分、名古屋から期限付き移籍してきたMF相馬勇紀を投入。これが新天地デビュー戦となった。横浜FMは37分、M・ジュニオールに代えてDF伊藤槙人を入れ、守り切る姿勢を見せた。

 すると後半42分、1か月前に大学サッカー部を退部したばかりの20歳が大仕事を果たす。鹿島は中盤で前を向いた三竿が前方にフィードを送ると、これを土居が頭で落とす。ここで巧みにスペースを突いたのは上田。右足ボレーで落ち着いて流し込み、勝ち越しに成功した。試合はそのまま終了。鹿島が横浜FMとの上位対決を制し、逆転優勝に望みをつないだ。

(取材・文 竹内達也)