気の毒なのはボランティアだ。過酷な労働とはこのことで、何日間以上、働かなくてはいけないとか、宿は自分で探せとか理不尽な条件まで付随している。

 東京の本日の最高気温は35度で、マラソンがゴールする8時半近くにはすでに32度くらいに達していた。明日は36度まで上昇するという。テレビで「無用な外出は極力避けるように」と言っている天気予報士の言葉に従えば、ボランティアの任務はまさに重労働だ。人の善意に頼っていいレベルを大きく凌駕する過酷な任務であることは明白である。

 それは令和というより昭和っぽい気質だ。令和の感覚から大きく逸脱した理不尽極まりないモノに見える。

 08年の北京五輪は、それなりの暑さの中で行われていて、その中でマラソンを行うことが酷に感じられた。現地で観戦しているこちらに、そのタイミングで日本から連絡が入った。「マラソンが行われる日に、中国は北京の上空にロケットを打ち上げて人工的に雨を降らせる予定だ」という話だった。日本ではそうした報道になっているとのことだった。

 そして迎えた当日、朝から曇りがちで、雨はしとしと降りだした。中国は上空に雨雲を作るロケットを本当に打ち上げたのか。そもそもそうした能力を持つロケットは存在するのか。確かめることはできなかったが、こちらには、偶然の出来事には思えなかった。あのロケット話はいったい何だったのか。東京にそのロケットは飛ばせないものかと真剣に考えてしまう。

 しかし、この11年前の話をする人は誰もいない。ミステリーとはこのことだ。

 東京五輪の観戦者及びボランティアの中に死者が出ないことを祈るばかりである。