令和初の大型国政選挙の参院選が終わったのも束の間、永田町では早くも来年7月末任期切れの東京都知事選をめぐり、各党が続々と有力候補擁立に向けて動き出した。

 『日本維新の会』影の指南役、橋下徹元大阪市長が猛プッシュする文筆家の乙武洋匡氏、参院選東京選挙区でトップ当選した自民党の丸川珠代氏、同じく参院選で注目された『れいわ新選組』の山本太郎氏の名前が取り沙汰されている。当然ながら小池百合子都知事も再選を目指し、動きを活発化させている。

 まずは橋下氏が都知事候補として、乙武氏をイチ押しする経緯だ。
「参院選真っ最中の7月11日、ネットテレビAbemaTVで橋下氏自らMCを務めるトーク番組のゲストに乙武氏を招いたのです」(テレビ局関係者)

 しかも、テーマは「もし自分が東京都知事になったら」だった。
「このテーマで乙武氏を招いたのは、橋下氏の中ではだいぶ前から都知事候補=乙武氏があったはず。番組内で乙武氏は、築地市場跡地問題での小池都政を猛批判した。自分なら特区にして日本版シリコンバレーを造ると宣言。それを受け、橋下氏は『世界の大東京のリーダーに乙武さんがなったら、どれだけ世界で頑張ろうと思っている人たちへの力強いメッセージになるか』と都知事選チャレンジをけしかけたのです。この発言に政治部記者らは“橋下氏が本格的に東京へ殴り込みをかける”と一斉に色めきたった」(同)

 乙武氏といえば、負のイメージもつきまとう。というのは、2016年参院選に自民党から出馬予定だったが、複数の女性との不倫問題が発覚し、直前に断念を強いられたからだ。都知事選ともなれば、女性を中心に再び反乙武ムードが起きかねない。
「確かに、そのキライはあるが、乙武氏本人は反省と離婚もし、社会的制裁を受けた。不倫の禊も済ませたということで、マイナスイメージは少なくなった。来年の都知事選に橋下推薦か日本維新の会推薦での挑戦は十二分にありうる。維新もなかなか東京での支持が広まらない中、都知事の椅子を取れば東西2大都市を牛耳るだけに意欲満々でしょう」(自民党関係者)

 自民党はどうか。
「二階幹事長は3月と5月の2回、小池氏と会食しており、その都度“自民党の小池都知事支援は当然”と記者団に語っている。でも、二階幹事長の小池支持発言は党内で猛反発を招きました」(政治部記者)

 2016年都知事選。自民は増田寛也元総務相を擁立したが、小池氏に100万票以上の大差で敗れた。都知事就任後、小池氏は都議会自民党を目の敵にした。2017年の都議選で自民は選挙前57議席の都議会第1党だったが、過去最低の23議席と大惨敗。
「例の小池氏の『排除する』失言で小池新党の勢いは大失速したが、自民党都連はいまだに当時の小池氏の姿勢を許せないでいる。次の都知事選では、必ず恨みを晴らそうとスクラムを組んでいます」(同)

 小池支持の二階発言を苦々しく思っている自民党都連は、参院選直前に「独自候補を擁立する」と宣言したほど。
「特に反小池の急先鋒である菅官房長官は、小池続投に100%猛反対。そこで勝てる候補者として急浮上しているのが丸川参院議員なのです」(都政担当記者)

 丸川氏は9月の内閣改造で、東京五輪担当大臣に名前が上がる候補の1人。なぜ都知事選なのか。
「小池氏に勝てる候補、つまり知名度、集票力、政策担当能力という点で現時点では丸川氏しか見当たらない。実は、今回の参院選は最初から都知事選を想定してのシミュレーションが行われたのです。小池氏の前回集めた291万票に丸川氏を核に+自民2人目の武見敬三票、公明の山口那津男票でどれだけ迫れるか。自民は参院選結果で丸川都知事選勝利が見えてきたと捉えています」(同)