<劣悪な環境で批判を浴びている不法移民の収容施設に若いアメリカ人兄弟が収容され、それぞれ悲惨な体験をした>

アメリカ人であるにも関わらず、米移民当局の収容施設に3週間以上収容されていた若者が、7月25日に釈放された。

フランシスコ・アーウィン・ガリシア(18)と、彼の釈放を求めて奔走してきた家族は、涙ながらの再会を果たした。

テキサス州ダラス出まれのフランシスコが、弟のマーロン(17)とともに米税関・国境取締局(CBP)の検問所で止められ、身柄を拘束されていたことが明らかになると、全米に衝撃が走った。民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員がCBPを厳しく非難した。「CBPはアメリカ市民の身柄を拘束している」「国境地帯の移民収容施設は、不衛生でひどい悪臭がするため、監視員たちがマスクをしているような場所だというのに」

悪臭がひどいだけではない。フランシスコがダラス・モーニング・ニューズ紙に語ったところによると、拘束されている間に彼の体重は12キロ近く減った。十分な食べ物が与えられなかったからだ。シャワーを浴びることも歯を磨くことも許されず、身体は汚れ肌は乾燥した。

不法移民収容施設に3週間拘束されたアメリカ人、フランシスコ・アーウィン・ガリシア(右は彼の弁護士)

弟は出国同意の書類に署名で釈放

ドナルド・トランプ政権は7月22日、移民当局の権限を大幅に拡大すると発表した。新たな制度では、当局は移民裁判所による審査の手続きを経ずに不法移民を強制送還することができるようになる。

<参考記事>1カ月シャワーなし飲み水はトイレから 人権蹂躙するトランプ移民政策の実態

人権団体は、この制度によって多くの人がガリシア兄弟のような目に遭うことになりかねないと警告している。

<参考記事>不法移民の子どもは薬漬けで大人しくさせられていた?

母親がダラス・モーニング・ニューズに語ったところによれば、フランシスコとマーロンは、イギリスから来た複数の友人とサッカーのセレクションイベントに行く途中でCBPの検問に引っ掛かった。拘束されるとは夢にも思っていなかった。

フランシスコは社会保障番号が付与されている人だけが持てるテキサス州のIDカードを持っていたが、マーロンは学生証しか持っておらず、2人は身柄を拘束された。マーロンは、出国同意書に署名した2日後に釈放されたが、その代償として彼は出国し、今はメキシコの祖母の家にいる。いつアメリカに再入国できるかわからない。「母と話がしたい一心で同意してしまった」と、彼は電話で取材に答えた。

フランシスコは、アメリカのパスポートを持っていないことを咎められ、「アメリカ人だと嘘をついた」と言われた。
身柄を拘束されてから3週間にわたり、電話の使用も禁じられていた。辛くて自分も出国同意者にサインしそうになった、とフランシスコは言う。

アメリカ人として扱われなかったフランシスコは、米政府を訴える考えだ。

(翻訳:森美歩)


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シャンタル・ダシルバ