Nintendo Switchの取り外し可能コントローラJoy-Conに欠陥があるとして、米任天堂に対して集団訴訟が起こされたと報じられています。これは「ドリフト(漂流)」という名で広く知られている症状で、プレイヤーが触っていなくてもアナログスティックが勝手に動き出して、ゲームプレイを妨げるというもの。たとえば一人称視点ゲームでは、視点が横にドリフトするとされています。

法律事務所のChimicles Schwartz Kriner&Donaldson-Smith(CSK&D)は、「Joy-Conのジョイスティックに欠陥があり、ユーザーがドリフト問題を経験している」との集団訴訟を提起。同じ問題に悩まされた米国内のSwitchユーザーに向けて、サイト上で訴訟への参加を呼びかけています

事件の原告は、2017年11月にSwitchを購入し、Joy-Conの左スティックにドリフト問題が生じたと報告するRyan Davis氏。1年間の保証期間内に米任天堂にデバイスを送ったところ、修理されたはずが3ヶ月後に同じ問題が再発したとのこと。追加で購入したJoy-Conも、13ヶ月後に同様の症状が生じたとされています。

Davis氏の抱えた問題は、インターネット上でも多数報告されている中の1つ。そのうちの数件は訴状の中で引用されていますが、根本的な解決策はまだ見つかっておらず、任天堂も提供していないとのことです。

CSK&Dの訴状では、米任天堂は問題を認識しているのに開示しておらず「欠陥が明らかになったときもジョイスティックの無料修理を拒むことが常態化し、この重大な欠陥を消費者に知らせることを拒んでいる」と主張されています。

Joy-Conのドリフト問題には「新製品が発売されたら即分解レポート」でおなじみの修理業者iFixitも興味を示しており、Redditユーザーが分解して突き止めた「ジョイスティック末端の金属部分が回路基板上のパッドよりも固いため、パッドの摩耗が早まっている」との構造上の原因を再確認しています。

さらにSwitchの発売初期、左側のJoy-Conが非同期になったり、突然本体との接続が切れたりする症状が報告されていました。こちらに関しては、任天堂は米CNETに対して少数のユニットに影響を与えるにすぎない「製造上のばらつき」であり、問題が再発しないよう製造工程を修正したと回答しています。

入力デバイスの不具合に対する集団訴訟といえば、2015年以降のMacBookシリーズに搭載されたバタフライ構造の薄型キーボード問題が思い出されます。その後アップルは無償修理プログラムをバタフライ式の全モデルに拡大した一方、有名アナリストMing-Chi Kuo氏は2019年からバタフライに代えて新型シザー式キーボードが搭載されると予測していました。

バッテリー駆動時間が延長された新型Switchが発表されたばかりですが、上記の「スティック底部の金属部分と接触し、柔らかいパッドが摩耗しやすい」という構造が解決されない限り、スティックが再びドリフトする可能性はあるはず。その点も対策されているのか、気になるところです。