ホクレンは19日、運営する中斜里製糖工場(北海道斜里町)でトラックを自動運転する実証実験に乗り出すと発表した。テンサイを運ぶ通路などを人の運転なしで走行する。トラックのドライバー不足が問題になる中、農産物などの輸送力確保に向け、自動運転技術の確立を後押しする狙い。自動車メーカーや物流会社と連携し、8月の約1カ月間実験を行う。

 ホクレンは道内に二つの製糖工場を持つ。テンサイの受け入れは収穫後の10、11月に集中するため、多くのトラックが必要になる。一方、物流業界の人手不足などで運転手の確保は難しく、輸送の効率化が課題になっている。

 今回の実証実験は、ホクレンと商用車メーカーのUDトラックス、日本通運が共同で行う。大型トラック1台を使い、工場に入ったテンサイを計量し、施設に受け入れるまでのコースを走らせる。コースは2キロ弱で、1日5、6時間走る。安全確保のため、トラックに人は乗るものの、運転は原則しない。

 今回の実証実験のような決まった条件下でシステムに運転を任せる内容は、自動運転の中でも高度とされる。米国の自動車関係団体・SAEの定義では5段階中、2番目に高度な「レベル4」に当たる。

 UDトラックスによると、大型トラックによるレベル4の実証実験が公開で行われるのは国内で初めて。敷地が広く車の動線が決まっている同工場での実証を通じ、将来の実用化を探る。

 ホクレンは「テンサイ以外でもトラック運転手は不足している。実験によって、自動運転が早く実現することを期待している」(広報総合課)とする。