「希少部位」「熟成肉」「塩で味わう焼肉」etc.

さまざまなトレンドの変遷を経て、現在、焼肉界では“タレ焼肉”に熱視線が注がれている。

そもそも焼肉におけるタレの役割は、肉の美味しさを増幅させるもの。

そしてかつてのタレ焼肉からさらに進化し、肉もより高いレベルで相乗効果を狙うのが今風。

ひと昔前であれば“上質な肉にタレをつけるなんてもったいない”という風潮があったが、いまや『X』や『誇味山』など、高級店ですら続々と登場中なのだ。

今回は“おいしいお肉をモリモリ食べたい!”という欲求を叶えてくれる、普段使いもOKのお手軽な新店4軒をご紹介!

ビールとごはんをお共に、心ゆくまで欲望を満たそう!



「めし炊き立て」¥1,000(2合)はテーブルごとに土鍋で提供する。ピカピカに輝くごはんはお肉の恋人!

ここが“タレ焼肉”の本格的復権の立役者!
@『たれ焼肉のんき 浜松町店』


タレ焼肉界の最先鋒ともいうべき店が『たれ焼肉のんき』。

2018年10月に神楽坂にオープンするやいなや、明快でわかりやすいメニュー構成と大衆的な雰囲気、何よりそのタレとお肉のうまさにハマる人が続出。

2ヵ月後には早くも、浜松町に2号店を開店したほどだ。



タレを纏ったお肉を鉄板に乗せれば、食欲をそそる音と匂いが! 目を離さずベストな焼き加減を目指そう


焼肉メニューは「赤(赤肉系)」と「白(ホルモン系)」のみと、極めてシンプル。

それぞれ5〜6種類の部位を、自慢のタレで和えてある。

「美味しいトコ、まとめておきました!」という明朗システム。

あとは、炊きたてのごはんにお肉をバウンドさせて、口いっぱいほおばるだけ。

今夜ばかりは、食欲のリミッターを外してロースターを囲もう。



もみダレは、注文毎にお肉と合わせる。「赤」と「白」でタレを変えており、中身は企業秘密だが、「赤」は甘みが強く、「白」はヤンニョムジャン入りで、ピリ辛に

従来の「赤」「白」に加えて、新たに登場した「上赤」¥3,480(200g)は、鹿児島県産の銘柄牛「薩摩和牛」のカルビ、ロース、ハラミなど4〜5部位をミックス

店は浜松町駅から徒歩3分ほど、大衆的な酒場が軒を連ねるエリアにある。月曜〜土曜の15時〜19時はハッピーアワーを実施!

■店舗概要
住所:港区浜松町2-9-1 高橋第3ビル 1F
TEL:03-6435-8664
営業時間:【月曜〜木曜・土曜】15:00〜(L.O.23:00)
     【金曜】15:00〜(L.O.24:00)
定休日:日曜(月曜祝日の場合は月曜休み)
席数:テーブル32席、外テーブル4席


サシとの相性に惚れ惚れ!特製味噌ダレがもたらす愉悦



「和牛リブロース」¥1,180。お肉は、ガスロースターの全面を覆い尽くす特大サイズ!タレは、ベースの味噌ダレに、同じく自家製のニラダレをブレンド

あの『肉山』も認めた、気迫のこもった味を
@『たれ山』


高田馬場の駅前から、1本奥に入ったブロックに建つ古民家。

2018年10月、味噌ダレのうまさで鳴らす『たれ山』が誕生した。

京都出身の料理長・櫻川大地氏が、「地元で通いつめた老舗焼肉店のような味を東京でも」との思いから、2年半もの長きに渡り試行錯誤を重ねて完成させた特製ダレは、ほかに類を見ない味わい。

アドバイスを仰いだ、泣く子も黙る有名店『肉山』オーナー、光山英明さんのお墨付きも得ている。



「おいしい白米」¥280(中)。ふっくら炊き上げたコシヒカリは粒が立っている。お店の暖廉に「焼肉とご飯」と掲げるだけあり、抜群に美味しく、ほとんどの人が一緒にオーダーする


オレンジ色がかった色合いやトロリとした様子からは、こっくり濃厚な味を想像してしまうが、実際にはうまみや甘みが凝縮されていながらも、後口は不思議とさらり。

だからお肉も、このタレに合うように敢えて柔らかめに炊いているというごはんも、「もうひと口」と、思っている以上に食べ進められてしまう。

これは“恐るべき”美味!

店が評価された今なお、常にレシピを見直し、開店から一年足らずで既に4度ブラッシュアップしているというから、その味わいはとどまるところを知らない。



ごはんに合うぼってりとした渾身のタレ。厳選した味噌や数種の唐辛子etc.門外不出の材料から生まれる

店内1階はカウンターとテーブル。2階は座敷席になっており、ノスタルジックな雰囲気を楽しめる

路地裏に建つ風情ある一軒家は、築数十年と年季の入ったもの。軒先の提灯と暖簾が、気分をさらに高めてくれる。

■店舗概要
住所:新宿区高田馬場2-15-3
TEL:03-3204-8989
営業時間:17:00〜(L.O.23:00)
定休日:無休
席数:テーブル8席、カウンター5席、2F座敷24席


生ダレに、どっぷり“浸す”。意外に新鮮なこの感覚!



写真の「ハラミ」¥850とカルビは、タレ揉み仕様。生ダレ推奨店ゆえ「赤身盛り合わせ」¥2,800など、ほかの生肉は軽く塩胡椒して提供している

自家製生ダレの味わいが最高にうまい
@『カウンター焼肉 ふかみ』


オープンして3ヵ月弱の最新焼肉店だが、一番の売りは「生ダレです」と深見耕平店長。

はて、生ダレとは一体?

「火も水も使わずに調味料を独自配合した自家製で、製法は秘密(笑)」

サラリとしたタレで、舐めるとフルーティ。

韓国では一般的な味付き唐辛子味噌「タテギ」を少し入れ、焼き立てを浸せば驚く。

繊細な赤身の味が際立つのだ。

うまみに輪郭があるとするなら、それが明瞭になる印象。

生ダレの着想の源は「札幌で食べたジンギスカン」。

肉本来の味を生かす、タレの効果を知ったという。



サクッと柔らかい食感のハラミ。あらかじめ揉み込まれたタレと生タレで、奥深い味わいに


深見氏は大の焼肉好き。食べ歩くことはもちろん、大阪の古参店で修業もしながら虜になる焼肉を追求してきた。そうして辿り着いたのが今のスタイル。

「お通しでお出しする山盛りキャベツは川崎の老舗を見習いました」とのことで、生ダレにたっぷり浸したお肉でキャベツを巻いてみる。

そして、パクリ。

食べ終わったそばから、次の一枚が欲しくなる。

後味はいたって上品。新たな味わいだ。

堰を切ったように肉欲が亢進する。



鮮度が命の秘伝の生ダレは、3日ごとに仕込む。タテギも自家製で、タレに濃度を加える役も担う

オープン記念で9月末までお代わり無料のキャベツ(本来は¥300)。特製ドレッシングで味付けされており、このままでも美味

黒を基調にした洒落たカウンターは12席。ひとり焼肉も推奨しており、地上に出ている看板を見て「『生ダレ』って何ですか?」って上って来るおひとり様もいるとのこと。ほかにテーブルも一卓ある。

■店舗概要
住所:渋谷区広尾1-16-1 EBISU HIROO SQUARE 8F
TEL:03-5422-9620
営業時間:【火曜〜土曜】17:00〜(L.O.25:00)
     【日曜・祝日】17:00〜(L.O.23:30)
定休日:月曜
席数:18席


味噌、レモン塩、山椒入りetc. 豊富なつけダレで際立つ肉のうまさ!



「ゲタカルビ」は脂のある部位だけに、中国山椒の痺れ感が癖になる「しびれ辛味ダレ」がよく合う。当然、ビールもご飯もついつい進む!

庶民派な外観とは裏腹に、上質肉をそろえる本格店
@『焼肉 ホルモン アポロン 神田駿河台』


店内の目立つ場所に、どんとそびえる大型冷蔵庫には出番を待つお肉の塊がゴロゴロ。

有名銘柄の黒毛和牛もあれば、経産牛の熟成肉もあり、とさながら“お肉のデパート”状態。

それらの肉の持ち味に合うようにと、昨年7月のオープン以来、タレのバリエーションも日に日に増えているそう。



手前から宮崎・黒毛経産牛の「上ミスジ」¥1,944と「ゲタカルビ」¥1,188。みすじは定番の甘辛ダレと。サシが穏やかで軽い食後感の肉のうまさを、キレのいいタレが引き立てる


基本のもみダレである「甘辛ダレ」は、甘みを抑えたすっきり上品テイスト。

脂の少ない赤身肉に、とくにマッチする味付けだ。

一方、カルビやサーロインといった脂の強い部位には、新作の「しびれ辛味ダレ」がおすすめ。

麻辣醤や爽やかな刺激がたまらない中国山椒を加えたタレはシャープで、すっきりとした食後感をもたらす。

さらにトライしたいのが“味変”。

味噌ダレ、辛味噌、レモン塩といった自家製つけダレが用意されているから、もみダレの味付け×つけダレの順列組み合わせで、さらに新たな味わいと出合える。

煙モウモウの飾らない雰囲気も、この店ではいいアクセントになる。

仲間と気取らず、そんな時に訪れたい。



肉の持ち味に合わせて細やかにタレを変える。基本のもみダレは、左が「甘辛ダレ」、右が「辛味ダレ」。このほか、ホルモンに使用する、濃厚な「味噌ダレ」も

神田駅からは徒歩10分ほど、小川町からなら約5分。靖国通りから1本入った、夜は比較的静かなエリアに店はある。極めてカジュアルな雰囲気。

■店舗概要
住所:千代田区内神田駿河台3-7-12 くるみビル
TEL:03-3518-9690
営業時間:【月曜〜金曜】11:30〜(L.O.14:30)/17:30〜(L.O.22:00)
     【土曜】11:30〜(L.O.14:30)/17:30〜(L.O.21:30)
定休日:日曜・祝日
席数:71席