●一緒に「適切な使い方」のルールを考えよう

夏休みですね。お子さんにiPhoneやiPadなどのデジタル機器を持たせているご家庭では、ゲームや動画に夢中になって夜更かしをしたり、宿題やお家の手伝いを疎かにしないかなど、心配事がいつもより増えるかもしれません。しかし、デジタル機器はただ遠ざけるだけでは解決しないこともあります。

デジタル機器は、私たちの生活やビジネスにおいてすでに欠かせないものになっています。だからこそ、今の子どもたちにとって正しい使い方は生きるための大切な知識のひとつ。それを身につけるために、ただ禁止するのではなく、適切に活用する経験が大切です。この夏休みをそのための機会として、親子でいっしょに使い方を考えてみませんか?

○一緒に「適切な使い方」のルールを考えよう

みなさんのご家庭では、子どもにiPhone(iPad、iPodなどのデジタル機器)を持たせていますか? 必要に迫られて使っているご家庭も、中学生・高校生まではダメと決めているご家庭もあるでしょう。リビングなどに共有のiPadを置いている場合もあるかもしれません。

状況は個別に異なると思いますので、それぞれの状況に合わせてお子さんが「いつ」「何に」「どれくらい」使ってもいいのか、お互いに納得できる条件を明文化しましょう。

例えば……。

夜は10時に寝るため9時以降は使用しない、など

午前中は勉強の時間にするため、使用開始は12時から、など

ゲームは1日1時間、動画は2時間まで、など

しかし、使用時間の管理を自主的に行うのは難しいものです。そこで、iPhone/iPad/iPodに搭載されている「スクリーンタイム」という機能を活用するのがおすすめです。これについては次のページから詳しくご紹介します。

また、デバイスの扱い方についても約束事を決めておくことも大事。ルールを守るための環境づくりも同時に考えましょう。

寝る前にはリビングに置き、寝室に持ち込まない、など

食事中は見ない、風呂やトイレでは使わない、など

アプリやアイテムを購入する際は必ず事前に相談すること、など

上記の内容を書き込める表を作成しましたので、ルール決めの参考にお使いください。こちらからPDFをダウンロードできます。

●「ファミリー共有」を設定しよう

○ルール運用は「ファミリー共有」と「スクリーンタイム」で

決めたルールを守って使っているかどうか、確認するにはどうすればいいでしょうか。毎日自己申告させるのは、お子さんも保護者も大変ですよね。そこで活用したいのが、iOSの「ファミリー共有」と「スクリーンタイム」機能です。

ファミリー共有とは、保護者のApple IDを「管理者」、それ以外の家族のApple IDを「ファミリーメンバー」に設定する機能で、下記のようなことが可能になります。

購入したコンテンツ(音楽・映画・アプリなど)をメンバーで共有できる

支払い方法をメンバー共通にできる(請求を管理者に一本化)

iCloudストレージの容量を共有できる

位置情報をメンバー間で自動的に共有できる

Apple Musicのファミリープランを使用できる

アプリやアイテムのダウンロードに管理者の承認が必要になる

スクリーンタイムを管理できる

スクリーンタイムは、毎日のiPhone、iPad等の使用状況を詳しく確認できる機能です。ファミリー共有中のメンバーに設定すると、管理者の端末で使用状況の確認が可能。つまり、お子さんの使用状況を保護者のiPhoneから確認できるようになります。

○はじめにファミリー共有を設定しよう

では、まずお子さんのApple IDをファミリー共有に追加してみましょう。以下、iPhoneを例に進めますが、iPad/iPodでも同じことができます。

※承認と購入のリクエスト:チェックしておくとお子さんのApple IDでアプリ(無料も含む)やアイテムをダウンロードする際に管理者の承認が必要になります。13歳未満の場合はデフォルトでオンになります。

次に、スクリーンタイムの設定方法を見ていきましょう。

●「スクリーンタイム」で使用状況を管理しよう

○一緒に見ながらスクリーンタイムを設定しよう

お子さんの端末のスクリーンタイムは、保護者のiPhoneから設定することができます。しかし、一方的に使用制限を押し付ける形にならないよう、一緒に見ながら設定を行い、ルールに納得してもらった上で使い始めるようにしましょう。

※カテゴリ別:例えば、LINEやTwitterなどを時間制限する場合は「SNS」、YouTubeやNetflixなどは「エンターテインメント」に、それぞれ使用可能時間を設定します

○スクリーンタイムを設定するとどうなる?

上記の方法で設定が完了すると、お子さんのiPhoneに使用制限がかかります。

また、保護者のiPhoneからお子さんのiPhoneの使用状況を確認することができるようになります。

以上で、お子さんのiPhoneに使用制限を設定し、保護者がその使用状況を確認できる環境ができました。しかし、一度設定したらあとは機能任せというわけにはいきません。実際に生活する中で、変更したほうが良い部分や、一時的に制限を許可する必要が出てくる場合もあるでしょう。次のページではその場合の対応方法をご紹介します。

●ルールは見直しながら運用しよう

○スクリーンタイムの設定を変更する方法

ルールは実際に運用する中で、現実的に不便が生じたり改善が必要な部分が出てくるものです。そうした点は話し合いながら変更していきましょう。スクリーンタイムの設定内容は下記の手順で変更することができます(保護者のiPhoneでもお子さんのiPhoneでもOK)。

○一時的に使用時間の延長を許可する方法

アプリ使用時間の制限を超えて使用したい場合や、休止時間中に使用したい場合は、管理者アカウントに延長を申請し承諾されれば、一定時間延長して使うことが可能です。

「宿題が終わっていればプラス15分OK」「お風呂に入って歯を磨き終わったら9時までOK」など、あらかじめ使い方のルールを決めておくとよいでしょう。また、夏休みはキャンプで早起きしたり、お祭りで遅くなるなど、生活時間がイレギュラーになる日も多いと思います。その都度話し合いながら、何をどれだけ許可するか決めていきましょう。

これで、お子さんのiPhoneで再びアプリが使用可能になります。許可された時間を過ぎると再びアプリの使用ができなくなります。

スクリーンタイムはただお子さんの使用を制限するためだけの機能ではありません。約束の時間が来たらやめる、必要な場合は延長を申請する、ルールの変更を相談するなど、保護者と話し合いながら自主的に使用時間を管理できる習慣を作ることを目的に活用しましょう。また、お子さんだけでなく保護者の方も、この機会にご自身の使い方をスクリーンタイムで見直してみてはいかがでしょうか。