先日、フリマアプリ「メルカリ」に「通勤電車の席に座る権利」が出品されていたことが分かり、物議を醸しました。この出品は運営会社によって削除されましたが、SNS上では「とんでもない悪行」「着眼点が面白い」など賛否両論が巻き起こっています。

 ところで、夏は花火大会やコミケなどイベントが多い時季です。イベントといえば、場所取りや席取り、行列がつきものですが、イベント時の「席取り」「代わりに並ぶ行為」を出品した場合も、「通勤電車の席に座る権利」同様にルール違反となるのでしょうか。フリマアプリの運営会社に聞きました。

情報商材や代筆などはルール違反

 メルカリ(東京都港区)の広報担当者に聞きました。

Q.なぜ「通勤電車の席に座る権利」の出品を削除したのでしょうか。花見やスポーツ観戦時の席取りや、開店前の店舗やイベント時の行列に並んで、その順番を譲る行為を出品するのもルール違反となるのでしょうか。

担当者「メルカリでは、例えば、ノウハウや情報の提供といった『情報商材』、宿題や自由研究、論文といった、本来自らが行うべき行為を他者が代行・代筆するなど、物品ではないものの出品を禁止しています。スポーツ観戦時などの席取りや、行列に並んで順番を譲る行為の出品についても、ルール違反となります」

Q.「通勤電車の席取り」の出品が発覚した経緯は。

担当者「この出品物に関しては、当社が禁止している出品物に該当するため、出品後数時間で削除しました。恐れ入りますが、個別の出品物に対する具体的な情報については、個人情報保護の観点から開示しておりません」

Q.運営側で不正出品の監視をしているのでしょうか。

担当者「365日24時間体制で、AIを活用した監視システムとカスタマーサービスに携わる従業員の目で、利用規約に違反する商品の出品や取引を監視し、排除に努めています」

Q.不適切な出品に関する今後の対策や、違反者に対する処分は。

担当者「引き続き、当社が定めたガイドラインにのっとり、禁止されている出品があった際は削除していきます。また、法令やユーザー保護の観点から、ガイドラインは随時改定していきます。禁止行為を繰り返すとアカウントの利用停止につながることもありますので、禁止行為は行わないでいただきたいと考えております」

楽天は新拠点を設けてパトロール

「ラクマ」を運営する楽天(東京都世田谷区)の担当者にも聞きました。

Q.通勤電車の席取りや、イベント時の場所・席取り、行列に並んで順番を譲る行為を出品するのは、ルール違反でしょうか。

担当者「ラクマのルールでは『サービスや情報といった実体のないもの』、いわゆる『無体物』の出品を禁止しています。そのため、ルール違反として確認でき次第、当該の出品情報を削除するなどの対応をしています」

Q.物品以外のものを出品する行為は、すべてルール違反ということですか。

担当者「そうです」

Q.どのようにして不正出品を監視しているのですか。

担当者「『ラクマ』では、東京にある既存のCS(カスタマーサポート)拠点に加え、2018年6月、新潟に160人規模の新拠点を設けました。24時間365日、不正出品に対するパトロールをしています。また、検知システムのロジックについて日々見直し、不正出品などの検知効率を高めているほか、国内最大規模のインターネットショッピングモール『楽天市場』が持つ不正出品検知技術なども活用してパトロールを実施しています。検知技術の詳細については回答を控えます」

Q.不適切な出品に関する今後の対策は。

担当者「引き続き、出品物のパトロールを強化するほか、利用者に対する注意喚起を行い、安心できるプラットフォーム運営のために体制を強化してまいります」

 この問題について警視庁に取材したところ、担当者は「個々の具体的な事案によって検討が必要ですが、座席または座席を占めるための行列の順位を売る行為については、東京都の迷惑防止条例に抵触する可能性があります。抵触すれば、50万円以下の罰金または拘留もしくは科料。常習であれば、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金となります」と話していました。