「老後2000万円」問題が注目され、資産形成への関心が高まっている最中。有名証券会社のいうことを信じて投資をしたら、詐欺だった……なんて事態が起きていた。野村証券を舞台にした同時多発サギ。複数の現役社員が、これに関与していたというのだ。

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【動画】“シャンパン王子”と呼ばれた中村

〈当社元社員による投資詐欺の疑いについて〉

 こう題するリリースを野村証券がHPに掲載したのは、7月2日のことだった。発表文は〈当社元社員の中村成治(なかむらせいじ)氏〉が、〈退職後に、当社のお客様を含む複数の投資家に接触し、架空の投資商品を提案している疑いがあることが判明しました〉とつづく。元社員の実名を挙げ、注意喚起を促す異例の文書だ。

野村証券元社員の中村成治(右)

 だが、

「複数の現役社員がかかわっているのは明らかなのに、そのことを野村は公表しないばかりか、被害者への誠意ある対応がないのです」

 と憤るのは、中村の詐欺の被害者で、千葉県に住む50代の元会社員だ。この男性は、大手メーカーを早期退職後、5年前に野村証券に口座を開設した。そして昨年、自宅へやってきた担当営業マンから、中村を紹介されたという。

 中村が持ちかけてきたのは、元本が保証された上で、1カ月で3%の金利を得られると謳う金融商品。「今から考えれば脇が甘すぎた」と男性は振り返るが、野村の担当の紹介だからと信用し、複数回にわたって投資した。それが実体のない投資話だったのは、ご想像のとおり。

「退職金と相続した財産のすべて、およそ7300万円を根こそぎ騙し取られ、妻は鬱病になってしまいました。それもこれも野村ブランドを信用していたからなのに、担当社員やその上司、さらに社長室も取り合ってくれません」

 野村の社員を介し中村と接触してしまった被害者は、週刊新潮が取材しただけでも複数人に及ぶ。野村HDグループ広報部に見解を質すも、

「警察に相談しておりますので、コメントは控えさせていただきます」

 と言うばかり。代理人を介して中村に取材を求めるも、こちらも回答は得られなかった。7月10日発売の週刊新潮で詳しく報じる。また現在、デイリー新潮で、中村の姿を収めた動画を配信中である。

「週刊新潮」2019年7月18日号 掲載