環太平洋連携協定(TPP)が発効してから6月30日で半年を迎えた。農畜産物の関税は削減が進み、牛肉や豚肉、乳製品、ブドウなど幅広い品目で輸入が増えた。食肉ではカナダ、果実ではオーストラリアなどの新興産地が発効を機にシェアを高め、日本市場への攻勢を強めている。
 
 TPPは昨年12月30日に発効し、4月に発効2年目に突入した。

 財務省の貿易統計によると、1〜5月の牛肉輸入量は前年同期比5%増の24万5720トン。このうちTPP参加国のカナダ産が82%増の1万3900トン、ニュージーランド(NZ)産が56%増の8506トン。38・5%だった関税が26・6%に削減された。

 オーストラリア産は現地相場の高騰で4%減の11万8641トン。TPPから離脱した米国は関税面で不利だが、安定した需要で6%増の9万8014トン。国別シェアはカナダやNZなど新興国が計4ポイント増の12%と拡大した一方、オーストラリアは5ポイント減の48%。米国は前年並みの40%だった。

 豚肉も増えた。1〜5月は4%増の39万4913トン。TPP参加国のカナダ、メキシコ、チリ、オーストラリアの4カ国産は計13万1621トンで、前年同期を7%上回った。豚肉の関税は、高価格帯にかかる従価税が4・3%から発効1年目に2・2%、2年目の4月からは1・9%に下がった。輸入業者は「コストが下がった」と利点を話す。米国産は2%減の10万5860トンと落ち込んだ。

 乳製品はチーズが10%増の13万265トン。オーストラリア産が4%、NZ産は6%増えた。

 果実は関税が即時撤廃した品目が増えた。1〜5月のブドウ輸入量は2万6728トン。統計がある1988年以降で最多だった18年同期を35%上回った。チリ産が49%増、オーストラリア産が22%増。輸入業者は「輸入物は種がなく皮ごと食べられ、棚持ちが良い」とみる。キウイフルーツは24%増の4万1376トン。9割を占めるNZ産の関税6・4%が撤廃されたことなどで大きく増えた。東京都内の輸入業者「関税削減幅が大きい品目を中心に、スーパーなどが定番商品で扱い始めている」と指摘する。