日本サッカー界期待の大器、冨安健洋の去就に関して、その動向が慌ただしくなっている。イタリア紙『Il Resto del Carlino』が、セリエAの強豪ラツィオが冨安の獲得に乗り出したと報じたのだ。

 昨夏にアビスパ福岡からベルギーのシント=トロイデン(STVV)に移籍した冨安。2018-19シーズンは、欧州初挑戦ながら40試合に出場するなど主力として活躍した。そんな19歳の大型CBは、さらなる成長を期待され、今夏の移籍マーケットでのステップアップが噂されている。

 そんななか、今月10日にイタリアの移籍専門記者、ジャンルカ・ディ・マルツィオ氏のサイトで、「ボローニャは来シーズンのための準備を進めている。そのうちのひとつが、タケヒロ・トミヤスへの関心と追跡だ」と報じられてきたが、25日に『Il Resto del Carlino』が伝えたところによれば、昨冬から冨安の動向を注視してきたラツィオが、再び関心を示し始めているという。

 しかし、ボローニャも簡単にライバルとの競合から降りる気はない。

『Il Resto del Carlino』によれば、昨シーズンのセリエA残留に貢献したトリノから期限付きで獲得していたブラジルU-22代表のリャンコがこのオフにレンタルバックしてしまったため、CBの補強が最優先とされているボローニャは、先のコパ・アメリカでも成長著しい姿を見せた冨安に白羽の矢を立てているようだ。

 この獲得競争の焦点となりそうなのが移籍金だ。イタリア紙『la Repubblica』は、冨安と2021年6月までの契約を締結しているSTVVが、契約解除金を600万ユーロ(約7億8000万円)から1000万ユーロ(約13億円)に引き上げたと報道。同クラブは安売りをしない強硬な姿勢を見せている。

 しかし、イタリアのサッカー専門メディア『Calcio Mercato』は、「ボローニャはすでに先に進んでいて、コパ・アメリカでも才能を見せた日本人DFとの契約問題をクローズしようとしている」と報じており、やはり現時点ではボローニャへの加入が有力と言えそうだ。

 来夏に迫る東京五輪を前にした重要なシーズンで冨安は新天地を目指すのか。その動向には今後も注目が集まりそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部