軽のなかでも見切りがいいのは直線基調デザインの2台

 もしかすると身長140cm台〜150cm前半くらいのミニマム女子さんにとって、クルマの運転席に座るというのは、ちょっと苦行に近いものかもしれません。前が見えにくいのは当たり前。ペダルだってギリギリ、ちょんとつま先がのるくらい。ハンドルは「握る」というより「ぶら下がる」感覚だったり。しかも、スリムな体型ならまだいいのですが、ふっくら体型さんはシートをいちばん前にスライドしたら、ハンドルにお腹が当たって操作できない、なんてことも。

 なので、クルマの運転ってイヤだな、大変だな、と思っているかもしれないですね。でも、そうしたミニマム女子さんに配慮したクルマや、大きなボディでも意外に見切りがよくて、運転しやすく感じるクルマもあるんですよ。今回はそんな、ミニマム女子さんの味方をご紹介しますね。

1)ダイハツ・ミラトコット

 まず、いちばんのオススメと言えるのがダイハツ・ミラトコット。若い女性の「私たちが欲しいと思えるクルマがない」と悩む声に応え、たくさんの女性たちの意見を取り入れて誕生した軽自動車です。そう聞くと、デザインや内外装だけにこだわったと思いがちですが、じつは開発チームにもれっきとした女性エンジニアが在籍していて、男性エンジニアにはわからない、女性特有のクセや苦手ポイント、安心できる操作感などをチェック。微細なチューニングも妥協せず試行錯誤して作り上げたと言います。

 それに、ミラトコットはそもそも設計段階から、運転しやすさに配慮したデザインを採用。たとえば最近は燃費を抑えるために、Aピラーと言うフロントガラス両脇の柱を深く傾斜させて空気抵抗を減らすデザインが多いのですが、それだと視界が狭くなりがちです。なのでミラトコットは、柱を立たせて上下左右までしっかりと見える視界の広さを確保。ボンネットの先端がどこにあるのかが確認しやすいことや、ベルトラインと言って窓ガラスの下辺のラインを水平にしたことで、車両感覚がつかみやすく後方もすっきりと見やすいので、バックするときも安心感があるんです。

 最近は軽自動車でも、デザインや大きさによっては意外に運転しにくいクルマもあるので、そう感じている人にこそミラトコットに乗ってみて欲しいと思います。

2)スズキ・ジムニー

 続いては、昨年20年ぶりにフルモデルチェンジして話題となった、軽自動車唯一の本格クロスカントリーSUV、スズキ・ジムニー。相変わらずの大人気が続いてますよね。カクカクしてワイルドな雰囲気が好き、という女子は多いですが、じつはデザインや雰囲気だけでなく、運転しやすいところが好きで乗り続けている女子もいっぱいいるんです。

 いちばんの決め手は、すべてが直線基調、水平なラインでまとめられていること。外観で言えばバンパーやボンネット、ベルトラインやリヤガラスの形状まで、カクカクですね。

 それはインテリアでも共通していて、ダッシュボードやインパネのラインが水平にしてあります。その理由は、もちろんジムニーらしさを受け継いでいるというのもありますが、時には砂漠や岩場など究極の悪路を走ることもあるジムニーなので、車体が大きく傾いた時にも、どれぐらい傾いているのかを運転しながら把握しやすいように、という意味もあります。

 なかなか日本ではそんな路面を走る機会はないですが、それでもショッピングモールの立体駐車場のスロープを上がったり、雪道で思いがけず段差があったり、といった場面は日常的にあるはず。そんなシーンでも、ジムニーなら車両姿勢がつかみやすく、障害物を避けて走るのに適した見切りの良さを確保しているので、安心して走れるというわけなのです。

大柄なミニバンやSUVオーナーになる夢も諦める必要なし

3)ホンダ・フリード

 そしてお次は、子育てに奮闘するミニマム女子にとって、欲しいけど運転しにくそうで躊躇してしまう、ミニバンから1台チョイス。両側スライドドアを備えたボックス型のクルマって、一見すると見切りが良さそうなのに、けっこう死角が大きくてビビったりするんですよね。でもそんななかで、とても扱いやすいと太鼓判を押したいのがホンダ・フリードです。

 じつはフリードは、初代がこうしたミニマム女子から「運転しやすい」と大好評で、フルモデルチェンジして現行型になった時に、ボディを大きくしないでと懸念されていたにもかかわらず、全長が50mm大きくなったんですね。ただ、その50mmにはちゃんと「運転しやすさを犠牲にすることはない」という確信があってのこと。

 というのは、実際に初代ユーザーの自宅へ出向いて、ボディがどれくらいまでの拡大なら運転しやすさが損なわれないか、という検証を重ねたんだそう。その結果、80mmアップが境界線だったというのです。そこで50mmアップにとどめ、メーターの薄型化やサイドクォーターウインドウの拡大、Aピラーを細くするなどの工夫で、さらに前方視界を改善。サイドミラーによる死角エリアの低減や、視線移動量の少ないミラーレイアウトなども施して、最終的には初代よりも前後左右の車両感覚がつかみやすいクルマになっていたのです。

 どうしてもミニバンが欲しいミニマム女子には、ぜひフリードをチェックしてみて欲しいと思います。

4)三菱アウトランダー

 さて最後にトレンドのSUVからもう1台、決して小さくないサイズで3列シートの7人乗りも選べる三菱アウトランダーを推薦。エッ、あんな大きいのムリムリ、と食わず嫌いをしないで〜。職業柄、たくさんのSUVと比較試乗をしてきましたが、乗り比べるとダントツで視界が広くて見切りがよく、リラックスして運転できるのがアウトランダーなのです。

 もちろん、シートの高さ調整機能が全車標準装備といったこともありますが、大きな理由はやはり、見切りの良し悪しに響いてくるボンネット、ベルトライン、リヤガラスといった重要ポイントが、しっかり直線基調だということ。三菱はずっと、道無き道を命がけで走り抜く過酷なレース、パリダカへの参戦を続けてきて、総合優勝まで勝ち取っているメーカーです。そこで培った経験から、いざという時に「視界や見切り」が良いか悪いかが生死を分けることさえあると、よく理解しているわけです。

 しかも、小回り性能に響く最小回転半径だって、同クラスのSUVで比べると抜群に小さい5.3m。なので見切りの良さと相まって、Uターンやバック駐車などがしやすいところも魅力ですね。見切りの良さ、運転しやすさは、決してボディサイズの大小だけで決まるわけではないと実感できると思います。

 というわけで、軽自動車からミニバン、SUVまで、ミニマム女子さんも安心して運転できるクルマたちをご紹介してきました。最近は、クルマを真上から俯瞰して見たように表示してくれたり、スイッチ一つで前後左右の様子を画面で見られるなど、視界を助けてくれるクルマの装備も年々進化して、様々な車種で選べるようになっていますので、そうした装備の助けも借りつつ、ぜひ今よりストレスのないドライブを楽しんでもらえたらと思います。