by Pixabay

アントニン・ドヴォルザークは19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した、チェコを代表する作曲家です。そんなドヴォルザークが遺した未完の曲をAIが引き継いで完成させた新曲「From the Future World」が、ヨーロッパで最も古く、伝統あるコンサート会場の1つであるルドルフィヌムで演奏されることとなりました。

A3 AIVA. Britten. Mussorgsky - PKF - Prague Philharmonia

https://www.pkf.cz/en/337-aiva-britten-mussorgsky/

From The Future World

https://www.fromthefutureworld.cz/

An AI Completes an Unfinished Composition 115 Years After Composer's Death - VICE

https://www.vice.com/en_us/article/neakqm/an-ai-completes-an-unfinished-composition-115-years-after-composers-death

AIVAはルクセンブルクのスタートアップ・AIVA社が開発したクラシック音楽専門のAI作曲家で、フランスの著作権団体SACEMによって作曲家と認められた世界最初のバーチャルアーティストです。そして、このAIVAを使ってドヴォルザークの音楽を現代によみがえらせるプロジェクトが「From the Future World」です。

ドヴォルザーク最後の交響曲である「交響曲第9番:新世界より」から名前を取ったこのプロジェクトでは、まずドヴォルザークが作曲した115曲の作品すべてを使用してAIVAをトレーニングしました。そして、ドヴォルザークが遺した未完の楽譜を元にAIVAが生み出した数百パターンの曲から、AIVA社のCEOで自らも作曲家であるピエール・バロー氏が最もドヴォルザークらしい曲を選び出し、交響曲「From the Future World」と名付けました。

AIVAは元から膨大な数のクラシック音楽を学習しているため、通常の場合は1曲作るのに1分ほどしかかかりませんが、「From the Future World」を作曲した際は、トレーニングに要した時間も含めて72時間もかかったとのこと。



by Spencer Imbrock

こうして作り出されたドヴォルザークとAIの合作ともいえる新曲は、2019年11月15日にプラハのルドルフィヌムにあるドヴォルザークホールで公開されるコンサートにて演奏される予定です。AIが作った曲が演奏されるのはこれが初めてではありませんが、海外メディアVICEによると、今回ほど大規模で格式高いコンサートでAIが作曲した曲が演奏されるのは初めてだとのことです。

「From the Future World」第1楽章はYouTubeで無料公開されており、以下のムービーから実際に聴くことが可能です。

AIVA / Antonín Dvořák: From the Future World - YouTube