「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

【お悩み/ゴトウさん(50)運送業】

 片付けられない性格で、結婚後も、自分の部屋はゴミ屋敷状態です。妻も呆れて、いまでは何も言いません。50歳の節目に片付けたいと思っているのですが、なにから手をつけたらいいのかわかりません。

【山口先生のお答え】

 私は2年前、女性誌『クロワッサン』の企画 “防災のための備蓄と片付け” の体験取材で、徹底的に家の中を片付けた……というより、要らない物を捨てました。それは全部、兄の所有品でした。

 その時、整理収納コンサルタントの澁川真希さんは「収納はスペースの問題ではなく、心の問題です」と仰いました。

 そう、うちの兄のように捨てられないで溜め込む人は、いくら広い家に住んでもゴミ屋敷にしてしまうんです。3階建ての家をゴミで満杯にしてニュースで話題になった、あの名古屋の男性のことを思いだして下さい。

 夏が近づき、私はまたしても侵食を始めた兄の持ち物を、徹底的に捨てようと決心しました。還暦を過ぎてまで不要品に囲まれて暮らしたくありません。ゴミよ、さらば!

 というわけで、あなたのすべきことはただ一つ、捨てなさい! 捨てるんです! 考えないで、手当たり次第に捨てましょう。必要な物はまた買えば良いんです。 

「もったいない」なんて思ってはいけません。一年間一度も使わなかった物は、結局一生使わないで終わります。そんな物のために大切な奥さんに愛想を尽かされたら、一生後悔しますよ。

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中