リング誌の討論番組で激論、編集長「ボクシングファンの話題の男だよ」

 ボクシングのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝進出を決めたIBF&WBA王者・井上尚弥(大橋)。「ボクシングの聖書」と呼ばれる米専門誌「リング」電子版は「ザ・リング・レポート」という討論番組で「イノウエはパウンド・フォー・パウンドなのか?」とのテーマで話題を展開。ダグ・フィッシャー編集長ら識者が激論を交わしている。

 グラスゴーの衝撃はボクシング界で未だ冷めやらぬ様子だ。リング誌がスタートしたウェブ番組「ザ・リング・レポート」最新版でも井上の259秒KOが話題となった。ボクシング戦などの実況を務める司会者のベト・デュラン氏はアンソニー・ジョシュア―アンディ・ルイスのヘビー級タイトル戦の話題で盛り上がるフィッシャー氏と格闘専門メディア「ファイトハブTV」の創始者マルコ・ビレガス氏に、井上が仁王立ちする表紙のリング誌を持ち出すと「ヘビー級の話をやめて、この男はどうだい?」と提案した。

 すると、ビレガス氏は「イノウエだ!」、フィッシャー編集長は「オーマイガー! モンスターじゃないか!」とハイテンション。「どう発音すればいい?」という司会者の質問に、編集長は「ナ・オ・ヤ、イノウエだ」と説明した。「間違った読みをしたくないんだ」と井上への敬意を示す司会者に「“モンスター”で大丈夫だ。ボクシングファンなら誰のことを話しているのか分かるよ」と補足。そして、議題に挙がったのは“モンスター最強説”だった。

「モンスターと呼ぶのは恐ろしいけど、この男はヤバイぞ。初めて見たけど、2ラウンドで相手を破壊していた。彼がPFPでNo.1じゃないのか?」と司会者が話題を振った。フィッシャー編集長は「おそらくね」としながら「だが、世界5傑だ」と力説。「リング誌では現在4位だ。1位はロマチェンコ、2位がクロフォード、3位がカネロ・アルバレス、4位がイノウエ。5位がウシクだ」と同誌PFPを紹介しながら、個人としては井上の実力を認めている様子だ。

編集長は“慎重派”に説教「マルコス、君は何年この仕事をやっているんだ」

 ただ、ビレガス氏は井上最強説について慎重派の立場を取った。「現時点で彼を1位にすることに少しブレーキを踏んでいる状態だ。彼の活躍がどこまで続くのかしばらくの間、見てみたいところだ」と持論を展開。一方、司会者は「私はカジュアルなボクシングファンだが、彼がエマヌエル・ロドリゲスを破壊する様と来たら……IBFバンタム級王者だぞ」とWBSS準決勝のロドリゲス圧勝劇にすっかり心酔し、ビレガス氏と対照的な様子だ。

 フィッシャー編集長は「無敗の世界王者をあんな形で倒した男はいないんだ」と規格外の強さを説明。それでも「どこまで長い間、安定して活躍できるか見ていきたい」と重ねたビレガス氏に対し、“説教モード”に突入した。「マルコス、君は何年この仕事をやっているんだ。ボクシングを注視し続けているだろう。ライト層じゃないんだ。彼の戦績を言ってみてほしい」と一気にまくし立てた。

 ビレガス氏は「彼はあらゆる人間をKOしてきているね」と説明。すると、井上が成し遂げてきたことの価値を編集長なりに力説した。「そうだね。いくつの階級で? 108ポンド(ライトフライ級)、115ポンド(スーパーフライ級)、そして、今はバンタム級だ。つまり、10ポンド上がったんだよ。(3階級制覇は中量級なら)ウェルター級からミドル級まで20ポンド行くようなものだ。そういうことだろ?」と語った。

 ライトフライ級、スーパーフライ級、バンタム級の3階級制覇王者となった井上。中量級に置き換えれば、20ポンド差あるようなことをやってのけたことに価値があると編集長は見ているようだ。いずれにせよ、井上が「PFP最強か」という話題が上がり、識者の議論を白熱させるほど、国際的な評価は高まっている。(THE ANSWER編集部)