開幕から無敗を続けてきたFC東京を止めたのは、セレッソ大阪だった。ホームで迎えた首位相手との一戦に1−0で快勝。78分のブルーノ・メンデスによる決勝点が鮮やかだったとはいえ、何よりの勝因は、無失点で90分間を戦い抜いた守備面だった。
 
 ここまで5試合連続完封中だったように、堅守をベースとしてきたのが今季のFC東京。その一方で、永井謙佑とディエゴ・オリヴェイラという2トップによるカウンターは強烈で、A代表に初選出された久保建英の打開力も他チームの脅威となってきた。
 
 主導権を握られても、一発で仕留める強さがある。そんなFC東京を完封できた要因は何だったのか。ダブルボランチの一角でフル出場し、存在感を発揮した藤田直之は振り返る。
 
「自分たちがボールを失った後の切り替えも良かったし、切り替えることによって2トップに対する背後への良いボールがあまり出なかったかなと。分析としてあったのは、FC東京の守備が堅く、カウンター時の2トップが速いところ。そこは気をつけようと話していた。意識していたのは、まずは前の選手が速く切り替えること。それと、センターバック2人とボランチの僕かレアンドロ(デサバト)がリスク管理をして、良いボールを入れさせないこと。それが徹底できたから、相手の良さがあまり出なかったんじゃないかなと思う」

 最も警戒していた縦に速いFC東京の2トップ。裏への抜け出しをケアするのと同時に、ボールを奪われた瞬間の相手の配球を阻止することを、前線の選手を含めて常に意識していた。この試合では、ボランチを主戦場としてきた奧埜博亮がFW起用されていた。チームで誰よりも運動量のあるプレーヤーを最前線に置くことで、速い切り替えとプレスは効いていた。

 そして、A代表に選出され注目を集めていた久保である。マンマークを付けるなど目立った対策はなかったが、ミーティングでは「前向きにボールを持たれると、中に仕掛けてくる」といったイメージをチーム内で共有していたという。対面した左サイドバックの丸橋祐介が激しく寄せて自由を奪い、藤田らも連係して挟み込む場面もあった。
 
「彼はドリブルで突破できる選手。でも、飛び込んで抜かれたシーンも多くなかったと思うし、組織としてうまく守ることができた。自分たちの距離感も良かったし、組織の中でうまく守れた感覚がある。"自由にやらせない"という話はしていた。そこは、うまく選手が遂行できた」(藤田)
 
 結果的に、FC東京に与えた決定機は試合終了間際だけ。マテイ・ヨニッチの対応ミスでD・オリヴェイラに抜け出されてGKとの1対1の場面を作られたが、ここはキム・ジンヒョンの好セーブでしのいだ。永井と久保はシュート0本。D・オリヴェイラに関してもシュート2本に止め、キーマンの3人を封じきったといっていい。

 前線の軸となりつつあった都倉賢が右膝を負傷したことで今季絶望となり、攻撃面の再構築を余儀なくされているC大阪。ポゼッションスタイルもまだ発展途上とはいえ、組織された守備で首位から奪った勝点3は、今後に向けて価値あるものとなった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部