#MeToo運動のきっかけにもなった米ハリウッドの大御所、ハーヴェイ・ワインスタインによるセクハラ問題。1年以上にも渡り交渉が続いていたが、このたび原告たちと4400万ドル(およそ48億円)で暫定的な示談が成立した。うち3000万ドル(およそ33億円)が原告の女性や被害者に支払われる。

80人近い女性から性的暴行および不適切な行為で訴えられ、失墜したメディア界の大御所ハーヴェイ・ワインスタインと、複数の原告および関係者との間に4400万ドル(およそ48億円)の暫定的な示談が成立した、と米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。

示談内容によると、4400万ドルのうち3000万ドル(およそ33億円)は被害を訴えている女性たち、ワインスタインの債権者、ワインスタイン兄弟が経営する映画制作会社、ザ・ワインスタイン・カンパニー(TWC)の一部元従業員に支払われる。残りの1400万ドル(およそ15億円)は、訴訟に関わった弁護士たちへの支払いにあてられる。今回の交渉は1年以上にわたって続いていた。

ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた金額は相当な額ではあるものの、当時ニューヨーク州検事総長を務めていたエリック・シュナイダーマン氏と、TWCの全資産の購入を目論んだ投資会社が提示した当初の金額には遠くおよばない。当初の金額通りとなっていた場合、被害女性たちには9000万ドル(およそ98億円)近くにものぼる金額が支払われるはずだった。

かつてハリウッド屈指の大御所のひとりと謳われたワインスタインは、マット・デイモン、ベン・アフレック、クエンティン・タランティーノなどの超一流俳優をスターの座に導いた人物である。そんなワインスタインが不名誉のどん底へと突き落とされたのは、2017年に同氏による性的違法行為を訴える女性たちの証言をもとにしたニューヨーク・タイムズの一連の記事が公表されてからのことだ。その後も著名な女優たちがワインスタインによるセクハラ行為を告発すると、雪だるま式に事態は拡大していった。ワインスタインへの申し立ては#MeToo運動のきっかけにもなり、とりわけ「ワインスタイン効果」という言葉は、強い権力を持つ男性をセクハラなどで告発する行為を意味するものとして定着した。

ニューヨーク・タイムズの記事を受け、ワインスタインに対していくつもの訴訟が起こされた。なかでももっとも世間を騒がせたのは、ニューヨーク州検事総長事務局がワインスタインのキャリアパートナーでもある弟ボブとワインスタイン本人をセクハラおよび性差別に関する法律違反で告訴したことだ。TWCは2018年に破産申請を提出している。

さらに、ワインスタインは3人の女性への性的暴行と、2006年に元制作アシスタントの女性にオーラルセックスを強要したことでマンハッタンのニューヨーク州最高裁判所から性犯罪で起訴されている。本件の裁判は9月にはじまる。