辛いものを食べたいけれど、食べた後口の中がヒリヒリ……。辛さと痛みはどうにかならないの? 牛乳ってホントに効くの?そんな疑問を専門家に直撃。すると驚きの事実が判明しました!

1.たった20年前に発覚!辛みは痛みの感覚と同じ。味覚とは異なるものだった!

唐辛子の辛みを感じる仕組みが明らかになったのは今からたった20年前のこと。そもそも私たちが感じている甘みや苦みは「味蕾」の中にある「味細胞」で感じており、味細胞は脳に信号を送るセンサーのようなもの。しかし発見されたのは、唐辛子の辛みがこの味細胞ではなく、温度や痛みを感じるセンサーで感知されているという事実。英語の「hot」は「熱い」という意味に加えて「辛い」という意味もあるが、それが名実ともに正しかったわけだ。

2.辛さを感じてから牛乳を飲んでも意味はない!

発見された辛さを感じるセンサー「TRPV1」は、舌の粘膜の表面を覆っている上皮細胞の内側にある。唐辛子の辛み成分であるカプサイシンが、舌の上皮細胞を通り抜けて「TRPV1」に到達すると、人は「辛い」と感じるという。

辛みを和らげようと水や牛乳を後からいくら飲んでも、細胞の内側にあるセンサーは発動してしまっているためすでに手遅れ。一度「辛い」と感じてしまったセンサーを後から何とかする方法は今のところ…ない!

3.食前に乳製品をとれば辛みが和らぐ効果あり!?

辛みを抑える唯一の方法は「TRPV1」センサーを発動させないこと。カプサイシンは油なじみがいいため、食前に牛乳などを飲み、舌の上に膜を作ってその脂分ごと流し込めれば効果はある…かもしれない。たとえば、アジア料理でもココナッツミルクを入れたり、インド料理ではラッシーがあったり。乳製品など油脂分の多いものと辛みの相性はいいはず。しかしながら、センサーが強く働いてしまえば、何を飲もうと変わらないのでご注意を。

4.食べる温度に注意!43℃以下にフーフーしよう。

辛みを感じる「TRPV1」センサーは43℃以上になると活性化するため、辛いものが苦手な人は熱いものを避けるべし。温かいものと冷たいものなら同じ辛みでも感じ方が違うため43℃以下に冷ますのが◎冷たい水を飲んでも辛みを和らげる効果はないが、舌の表面温度を下げることで痛みが軽減する可能性はあるとのこと。ほかにも氷を舐めたり、アイスを食べるのもいいかも。つまり、ひんやりスイーツと辛いモノは相性ぴったりなのだ。

今回教えてくれたのは…田口裕基さん

エスビー食品株式会社広報ユニットに所属。「スパイス&ハーブマスター」として、イベントやセミナーの講師としても活躍する。

(Hanako1138号掲載/illustration : Mai Beppu text : Kayo Yabushita)