4勝目ならずも6回1失点で勝利に貢献、2回には2試合連続で打球が当たるも“惨事”回避

ヤンキース 6-5 オリオールズ(日本時間24日・ボルティモア)

 ヤンキースの田中将大投手は23日(日本時間24日)の敵地オリオールズ戦で6回5安打1失点5奪三振1四球と今季7度目のクオリティースタート(QS、6回以上を投げて自責3以下)を達成したが、救援陣が打たれて4勝目はならなかった。2回には2試合連続で痛烈な打球が当たるアクシデントがあったが、続投して好投。抜群の反射神経で最悪の事態は回避したものの、米メディアは「またしても恐怖」などとヒヤヒヤの場面を振り返っている。

 両チーム無得点で迎えた2回だった。1死一塁でルイーズのライナーが田中の左胸付近を襲った。打球を受けた田中は三塁方向に跳ね返ったボールを拾い、一塁に投げたが、さすがの名手も悪送球となって無死二、三塁に。その後、満塁の大ピンチを背負い、ニゴロの間の1点を失ったものの、最少失点で食い止めた。

 6回3安打無失点と好投した18日(同19日)の前回登板レイズ戦では、最後の打者の111.3マイル(約179.1キロ)の打球が右すねに直撃していた田中。今回の打球速度も102マイル(約164キロ)と強烈だった。しかし、投球練習で状態を確認した後に続投すると、気迫十分の投球でその後は失点を許さなかった。

 実は、抜群の反射神経で厳密には打球の“直撃”を免れていた。試合後、地元テレビ局「YESネットワーク」は公式ツイッターで田中が地元メディアの取材に応じる様子の動画を公開。その中で、打球が直接、左胸に当たったかについて聞かれた田中は「まず右手の人差し指に当たって、少し(左手の)グラブに当たって、(胸に)ガーンって当たりました」と明かした。咄嗟の反応で身を守り、ダメージを最小限に食い止めていたのだ。もしダイレクトで胸に直撃してれば、大惨事になっていた可能性もある。

米メディアもヒヤヒヤ、MLB公式は「タナカが2回にまたしても恐怖を経験する」

 田中が離脱となれば、ヤンキースにとっては大打撃なだけに、地元メディアもヒヤリとした様子。MLB公式サイトは、前回の登板での打球直撃に触れながら「タナカが2回にまたしても恐怖を経験する」と言及した。

 さらに、AP通信は「ヤンキースにとって、得点を許したことよりもはるかに気にかけているもの。それは、彼の健康状態だ」とレポート。そして、打球が当たった後にアーロン・ブーン監督やトレーナーがマウンドに集まった場面について「この右腕に必要だったのはたった数回の投球練習だけで、そこから彼は再びオリオールズを支配した」としている。また、地元メディア「northjersey.com」は「あの場面は、タナカの前回登板のフラッシュバックだった。当時、彼はヤンディ・ディアスの111マイルのライナーを脚に受けていた」と、2試合連続のアクシデントだったことをあらためて振り返っている。

 打球が2試合連続で直撃しても、変わることのない田中の安定感。防御率は2.94と2点台に回復した。勝ち星はつかなくても、絶大な信頼に応える投球を続けている。(Full-Count編集部)