「手塩にかけて育成した人材が流出することが、事業運営上由々しき事態であり、人材流出の歯止めが課題と認識しております」――。JR北海道は、喫緊の課題の一つに人材の引き留めをあげる。

経営再建中の同社では、会社の将来に不安を覚える社員が少なくなく、個人面談などを通じた仕事のやりがい向上に努めていく。

16年106人→17年120人→18年141人

JR北の2019年3月期の連結最終損益は、過去最大の179億円の赤字だった。18年6月に発生した北海道胆振東部地震による利用客の減少が響き、これで3期連続の最終赤字となった。

国は同社に対し、19〜20年度の2年間で約400億円の追加支援を決定。19年10月には平均11.1%の運賃値上げ申請に踏み切り、さらに全路線の約半分にあたる10路線13区間(約1237キロ)の廃線やバス代替、地元負担での存続を進めている。

財務体質の改善とともに、喫緊の課題なのは人材の引き留めだ。JR北広報部によれば、自己都合退職者は15年に80人、16年106人、17年120人、18年141人と歯止めがかからない。19年4月1日現在の社員数は6600人超と大所帯だが、「手塩にかけて育成した人材が流出することが、事業運営上由々しき事態であり、人材流出の歯止めが課題と認識しております」(広報部)

この秋にも60人を中途採用予定

退職理由の大半は給与や転勤など労働条件が占め、「会社の将来に対する不安を伝える退職者が多くなっております」という。

同社の中・長期経営計画でも「人材の確保・働きがいの向上」「社員の幸福の実現」をあげており、広報部は「引き続き、自己都合退職を防止するために、個人面談等を通じて仕事のやりがいや誇りを醸成することに注力」するとした。

あわせて即戦力人材の確保に力を入れる。直近3年間で138人を中途採用し、今年(19年10月入社)も駅業務、車両整備、保線、土木、電気、財務、法務など複数の職種で60人の採用を予定する。