張本発言より、ここまでエンターテインメントとして高いポテンシャルを秘めているCLを最大、100万人台の人しか観戦することができない視聴環境に、疑問を覚えずにはいられない。好きな人と、好きではない人の差は広がるばかり。新規のファンが増えにくい、サッカーの普及発展に寄与しているとは言い難いメディアになっている。

 ないよりあった方がいいけれど、それのみになると不健全になる。結果的にDAZNは、一般の人からファンになるきっかけを奪っているように見える。そのハードルを上げてしまったという印象だ。

 ネット社会の興隆により、ふと目や耳に飛び込んでくる、思わぬ副産物を得る機会は減ったと言われる。雑誌や新聞、ラジオや地上波のテレビが中心だった時代との違いはそこにある。新たな価値観に触発される機会が減れば、張本サン的な人はますます増えそうな気がする。

 国際試合と言えば国対国。一般的な日本人は、W杯に象徴される代表戦には高い関心を示すことはできる。しかしその反面、国をまたいで行われる都市対抗戦の文化はない。CLは本来、取っつきにくい大会であるハズなのに、良好とは言えない視聴環境の中、そのレベルの高さ、面白さを背景に、これまで一定の関心を集めてきた。

 今回は、CLファンを広めると同時に張本サン的な人を減らすまさに絶好の機会だった。ところが現実は、サッカー好きでもフルタイム視聴した人は少なかった。CLの魅力、サッカーの魅力が余すところなく伝わったとは言い難い。世界のファンに置いて行かれそうな気がしてならないのだ。