OP戦で大活躍の新人・木浪は未だ無安打も…解説者の野口寿浩氏は「焦らないでやってほしい」

 阪神は2〜4日の巨人との「伝統の一戦」で3連敗を喫した。ヤクルトの開幕カードは2勝1敗と勝ち越したが、これで4連敗に。6試合でリーグ最下位の11得点と打線が苦しんでいる。巨人との3連戦では計25失点と投手陣も崩壊した。

 注目が集まっていたドラフト3位・木浪聖也内野手、同1位・近本光司外野手のルーキーコンビは1、2番で開幕戦を迎えたものの、オープン戦のような活躍はならず。オープン戦で打率.373と大暴れした木浪は、巨人3連戦では2試合でスタメンから外れ、打率.000とまだプロ初ヒットは出ていない。5日の試合では8回に代打で登場し、懸命のヘッドスライディングも及ばず二ゴロに倒れた。一方、近本は6試合連続スタメンで打率.208という数字だが、開幕戦では6回に同点タイムリースリーベースを放っている。

 矢野燿大監督は今後、ルーキーコンビの起用法を考え直すべきなのか。それとも、“我慢”すべきなのか。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、昨季まで2年間ヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は「焦らないでやってほしい」と木浪に“アドバイス”を送る。

「近本はオープン戦から頑張ってきたものが、数は少ないですけど(開幕戦などで)結果として表れたことがあったので、普通の状態で野球ができていると思います。ただ、木浪が焦ってしまっているようなので、それさえなければとは感じます。相手投手がエース級、2番手が来てるわけですから。開幕カードの3試合……というか3試合目は途中で代わっているので“2試合半”はしょうがない。切り替えて『もう1回』とやってくれれば、そう遠くないうちに1本は出ます。1本出れば楽になって普通にできるようになるので、焦らないでやってほしい。しっかりと最初の1本、2本が出て、通常通りの落ち着いた感じで野球ができるようになれば、あの2人は大きな戦力だと思いますから」

 そもそも、2人の良さはどこにあるのか。木浪について、野口氏は「バッティングに関しては、うまいという印象ですね」と話す。「バットコントロールが良くて、そこそこの力もある。キャンプ中の一番最初の実戦でホームランを打ちましたが、インコースの難しいボールを見事に打っていました。うまさを持っている。うまいバッティングができる選手なので、なおさら焦らないでほしい。『いつか(ヒットは)出るから』と」。周囲にも本人にも“我慢”が必要だという。

4番・大山の「一本立ち」へキーマンとなるのは…

 では、その木浪を1番で起用するメリットはどこにあるのか。オープン戦で結果を残した1、2番コンビの使い方は理にかなっていると野口氏は言う。

「木浪のようなタイプの選手は、打順に関してはオールマイティにどこでもこなす。だから、走力も含めてのこと(1番起用)だと思うので。あの1、2番を逆にするという発想もあるかもしれないですが、それ以上に2番・近本が矢野監督のキーポイントらしいので。そうやって考えると、木浪は1番か7番のどちらかになります。もしかしたら、7番で開幕したほうが本人にとっては良かったかもしれませんが、開幕戦の結果もありましたし、それは結果論でしかないかなと。

 2番で近本を使えば、例えば1番バッターが塁に出た時に送らなくてもゲッツーがないですし、入れ替わってスチールもできる。遅い変化球ならガンと引っ張って打てる。そういうところ(が理由)なんじゃないかなと」

 2番に簡単にバントをさせない、というのが近年の野球界のトレンド。そのための近本2番起用は効果的で「特に無死でも1死でも一塁か二塁に走者・近本がいて、バッター糸井となったら、バッテリーはすごく嫌」だと指摘する。ここまでは2人に当たりが出ていないため、得点力が上がらないが、こちらも“我慢”が必要だといえそうだ。

 また、得点力不足の中で4番の大山悠輔内野手も打率.095と苦しんでいるが、野口氏は「大山が一本立ちすれば、阪神もガンと行ける」と期待する。その上で「色んなことを考えて掘り下げていくと、今年のキーポイントはベテラン2人です」と指摘。3番の糸井嘉男外野手、5番の福留孝介外野手だ。

「オープン戦のときの状態を木浪が取り戻してさえくれれば、むしろルーキーの2人ではなく、大山がキーマンになると思います。大山が(走者を)返せる、返せない、というところになってくるでしょう。もう1つ踏み込んだところを言えば、今年大山を育てるのは3番・糸井、5番・福留です。だから、色んなことを考えて掘り下げていくと、今年のキーポイントはベテラン2人になります。大山を育てられるか――。大山が一本立ちすれば、阪神もガンと行きます。

(野口氏が在籍していた)2003年に優勝した時も、濱中(おさむ)を4番にすると言って、その濱中を育てるために金本(知憲)さんとか桧山(進次郎)さんとかジョージ・アリアスが挟む形を作ったわけですから。そのときのようなことをあのベテラン2人がやってくれれば……」

 開幕から得点力不足が目立ち、3戦目から厳しい4連敗。ただ、まだ6試合が終わったばかり。しびれを切らす時期ではない。(Full-Count編集部)