声優界でも屈指のグルメと言われる岡本信彦。とくに「お肉」への愛はとどまるところを知らず、前回のインタビューでは「いつか自分で焼肉店をやりたい」と並々ならぬ情熱を語るほど。

しかし新たな疑問が湧いた。岡本さんにとって、焼肉よりさらに高級なイメージの「ステーキ」はどんな存在なのだろう？ というわけで、ステーキ店で実際にお肉を食べていただきながら、再びお話を聞くことに。

どんなときに誰と行く？ ステーキを食べに行く服装は？ そんなにお肉ばかり食べて太らない？ 疑問の数々をぶつけてみた。

ステーキを通じて見えてきたのは、声優たちから分け隔てなく愛される、声優・岡本信彦の圧倒的コミュニケーション力だった。


撮影／小嶋淑子　取材・文／大曲智子
スタイリング／vigroo浅井直樹　ヘアメイク／谷口祐人

今回訪れたお店

カルネヤサノマンズ
住所／東京都港区西麻布3-17-25 KHK西麻布ビル
電話／03-6447-4829
営業時間／11:30〜15:00（L.O14:00）、ディナー18:00〜23:00（L.O21:30）
※土曜ディナーのみ17:30〜22:30（L.O21:00）
定休日／日曜（月曜はランチ休業）
http://carneya-sanomans.com/

岡本信彦にとってステーキを食べる＝お誕生日会

前回のインタビューでは焼肉愛を語っていただきましたが、今回のテーマは「ステーキ」です。きょうは「カルネヤサノマンズ」さんというお店を選んでいただきましたが、そもそもステーキってどういうときに食べるんですか？
ステーキって焼肉に比べると特別感があると思うんです。だからステーキのほうが誕生日会に使いやすいというのがありますね。間違いなく喜んでもらえる気がします。
お誕生日会は声優たちと？
そうです！ 先日は細谷佳正さんのお誕生日を、とある銀座のステーキ屋さんでお祝いしました。細谷さんが「４人ぐらいでこぢんまりと集まりたい」ということだったので、個室のあるお店をセレクトして。

事前に細谷さんに「お店重視とプレゼント重視、どちらがいいですか？」と聞いたら、「お店重視がいい」とのことだったので、プレゼントはそのぶん控えめにマッサージプレゼントを贈りました（笑）。
そこでバランスを取るわけですね。
誕生会の代金って、主賓以外の人たちで支払うんです。あまり高いお店だと若手の子たちを誘うのは悪いなと思っちゃう。なので、どうするのかというと、おいしいものなら金に糸目をつけない人たちを呼びます（笑）。気兼ねなくお誘いできるのでありがたいんです。
声優さんはお誕生日会をやることが多いんですね。
はい。そして僕は間違いなく、誕生日会の参加率は声優業界ナンバーワンだと思います。誕生日会をやってと頼まれることが多くて。「どこかいいお店ない？」と聞かれ、それがきっかけで参加することも。もはやコーディネーターみたいになっています。
僕は僕で、せっかくならみんなに喜んでもらいたいので、自分の中でおいしいと思ったお店に行ってもらいたい。気になるお店を見つけたら、事前に行って確かめることもあります。
誕生日会のために下見をするんですか？
使う前にどんなお店か知ったほうがいいときはひとりで行ったりするんです。

……あ、でも。僕はさすがにデート！っていう感じの雰囲気のいいお店にはひとりで行けないです。小野友樹くんは普段からどんな高級店でもひとりで行く、完全ソロプレーヤーなんですけど（笑）。

ありあまるお肉愛から、ついに卸売業者に見学へ

「カルネヤ サノマンズ」に最初に来たきっかけは何だったんですか？
前に「ステーキを探す旅に出よう」と思って、調べていた時期があるんです。数年前、ちょうど六本木界隈の熟成肉がブームになっていたときかな。でもこちらのお店のことは知らなくて。
▲お店に入ってすぐのショーケースの中には熟成肉がいっぱい。ガラス越しのお肉を、キラキラさせながら眺めていた。
「カルネヤ サノマンズ」さんは、東京・神楽坂にあるイタリアンの「カルネヤ」さんと、静岡・富士宮にある肉卸業者の「さの萬」さんが組んだことで生まれたレストラン。僕は「カルネヤ」さんは知っていたんですが、人気店なので予約が取れない。

そんなときに、「カルネヤ サノマンズ」というお店が西麻布にあると知って、去年ぐらいに初めて行きました。こちらのステーキを食べたらおいしくて、すぐに気に入りました。
ちなみに「カルネヤサノマンズ」さんは誰と？
杉田智和さんと一緒でしたね。杉田さんとお肉を食べに行くときは、ラストオーダーが早めのお店を選ぶことが多いんです。杉田さんって食事が終わると「じゃ、帰ろうか」って、すぐ家に帰りたがる人なので（笑）。ラストオーダーになったらすぐにお会計をして、その場で解散するみたいな。

僕もお酒は飲まないですし、どちらかと言うと早く帰りたいタイプだから価値観が合うんだと思います。

ほかには最近だと、中村悠一さんに「お肉のおいしいお店を教えてよ」と言われてこちらを薦めたことも。「おいしかったよ」って、写真も送られてきましたね。
こちらのお店の好きなポイントは？
熟成肉ってアメリカの牛肉だからかもしれないですけど、ちょっと固いことが多いんですよね。僕、噛み応えのあるお肉よりも口の中でとろけるようなお肉が好きなので、アメリカにあるようなステーキハウスとあまり相性が合わなくて。
▲和牛のタルタル（2800円）。ステーキ店では珍しいメニューで、お肉本来の風味が楽しめる。
でも「カルネヤ サノマンズ」さんの熟成肉はやわらかくて、日本人好みの味だと思います。それに、こちらで嬉しいのが「タルタルステーキ」があること。ステーキ店に和牛のタルタルってあまりないんですよ。
▲前回の焼肉店でもタルタル好きを公言。今回は見た目も美しいタルタルを前にナイフを入れるのをためらっていたが、「だってタルタルだもの！」と真っ二つに入刀。
あと、以前来たときはイチボを揚げたカツレツというのもあって、それも感動しました。サクサクで、中はジューシーでやわらかいし、臭みもなくて本当においしかったです。
肉卸業者さんがやっているから、いいお肉を使っているんですね。
肉質としてはトップクラスに「カルネヤ サノマンズ」さんが好きですね。卸業者さんと直結ということは、いい肉が入ったときに一番先にこちらに入るのかなと思うので、そこは強みですよね。
前回のインタビューでも、取材先の店長さんに仕入れについて聞いていましたね。
流通ルートはすごく気になりますね。おいしい肉を出すための重要なポイントだと思うので。じつは今度、某有名店に肉を提供している卸業者さんを見学しに行こうとしていて……。
それはまた本格的な。
仲良くなった焼肉屋さんのご紹介で一緒に行かせていただけることになって。完全にプライベートなので詳しくは言えないんですけど、すっごく楽しみにしてます（笑）。

食べること以外は節制する。岡本信彦の気になる金銭感覚

岡本さん流のステーキ店でのマイルールは？
クラブケーキは必ず食べます。カニの肉を固めて焼いたメニューなんですけど、どのステーキ店にもだいたい置いてあると思います。クラブケーキとTボーンステーキは、そのお店の顔。お店によって味が違って、ハーブを入れてあったりとか。「カルネヤ サノマンズ」さんのクラブケーキはさっぱりとしたお味ですね。

ステーキハウスではクラブケーキ、シーザーサラダかグリーンサラダ、そしてLボーンステーキ。ボリュームによりますが、ガーリックライスやカレー、パスタを頼むことも。こちらのお店ではポルチーニのタリオリーニがおすすめですね。
▲ステーキハウスに行ったら必ず頼むというNYスタイル クラブケーキ（2200円）。お店によって個性があって、こちらは「カニ、カニ、カニ、と味が凝縮されている感じ」。
先ほどみたいにお誕生日会が頻繁にあると、食費がかさみそうですね。
食費は声優界でトップクラスかもしれませんね。支出の中では食費が半分以上を占めていると思います。誕生日が多い月がけっこうあるんですよ。僕の周りは、3月、6月、7月、10月生まれの友人知人が多い気がします。僕は10月生まれなので、10月生まれの人には「お互い様ですし、ここは割り勘にしましょう！」って言えるんですけど（笑）。

2月は細谷さん、3月は安元洋貴さん。最近は神谷浩史さんとすごく仲良くなったので、1月にお祝いさせていただきました。
▲「カルネヤサノマンズ」では、ステーキを焼く前にお店のスタッフが熟成肉の説明をしてくれる。Lボーンステーキに使われるお肉は40日間寝かせたもの。チーズのようなお肉の香りに「パンに合いそう！」と興奮気味。
今月は使いすぎかなと思ったら、どこかで節制するんですか？
まず、食費を抑えます。「きょうは1日グミでいいや」みたいな。「あしたは誕生日会だから、きょうはグミと魚肉ソーセージにしよう」って。

僕は洋服も最低限しか買わないし、本や漫画もお仕事関係のものしか読みません。人から勧めてもらった自己啓発本や心理学系の本は好んで買いますけどね。車は持っていないから電車移動だし、タクシーも使わずに歩くこともしょっちゅうです。
食べること以外はなるべくお金を掛けない。
そうですね。でも高級店じゃなきゃ行きたくないってことではないです。リーズナブルなお店だってよく行きます。

このあいだ大学時代の同級生と飲んだときは「魚民」に行きましたよ。「鳥貴族」も好きですし、ほかのチェーン店だと「塚田農場」と同じ企業がやっている「四十八漁場」というお店もおいしかったです。「塚田農場」の系列はどこもおいしいですよね。
▲いよいよこんがりと焼き上がったLボーンステーキ（100g1800円※写真は600g）が登場！

スーツをカッコよく着こなすには、まだちょっと若すぎる

きょうは高級ステーキ店にふさわしい、スーツスタイルですね。
おしゃれなスーツを着せていただきました。イベントもでもなかなか着ないのでドキドキしますね。「カルネヤサノマンズ」さんはカジュアルでもいいそうですが、ドレスコードがあるお店もあるんですよ。

木村良平さんはドレスコードがあるようなお店が好きだと思います。それこそ良平さんのマイルールで、月に一度はそういうお店に行くことにしているんだそうです。
▲香ばしい香りとあふれ出る肉汁を見て、本気を出す岡本さん。おもむろにジャケットを脱いで腕まくり。
岡本さんも一緒に行くことも？
江口拓也くんのお誕生日会をやったとき、江口くんから「みんなとフォーマルな格好で集まりたい」っていうリクエストがあったので、良平さんのセレクトでそういうお店でやりましたね。

でも、僕はセットアップを持っていなかったんです。黒の細身のパンツ、キレイめの襟付きシャツ、そして良平さんからもらったジャケット。良平さんに「これしかないです！」と言ったら、「それでいいよ」と言われたのでホッとしました（笑）。
きょうのスーツは明るい色味ですから、気軽に着られそうですね。
そうですね。僕、黒のスーツはまだ似合わないなと思っていたので。40〜60代の方が着るほうが、味が出てカッコいいと思うんですよね。たとえば津田健次郎さんなんて本当にカッコいいし、あの方には勝てない（笑）。

あと、スーツ姿がカッコいいなと思ったのは藤原啓治さん。僕が初めてイベントに出させていただいたのは、2009年の『リトルアンカー』という乙女ゲームだったんですけど、そのときに藤原さんが着ていた紺色のセットアップがすごく似合っていて。「これは敵わないや。背伸びしないで、年相応の格好をしよう」と思うようになりました。

なので20代のころはTSUMORI CHISATO、FRAPBOIS。30歳になってからなぜかMILK BOYにハマって……。とにかくラフな格好が好きなんですよ。
▲ワイルドな骨付きステーキを切り分けてパクリ。……しばらく無言のままソファーにもたれかかるくらい、おいしかったようだ。

ダイエット中もお肉は食べる（ただしデザートは必須）

これだけお肉を食べていると体型維持も大変な気もしますが、岡本さん流のダイエット方法は？
僕の場合はお米を制限しますね。あと、焼肉屋に行ったらタレを頼まないこと。お肉は塩で食べて、ハラミ、ロース、ランプの赤身攻め。カルビは頼まないですね。イチボもちょっと脂があるのでそういうときは避けるかな。

一番脂がないのはフィレ……なんですけど、高いからそればかりというわけにもいかないので、ハラミやロースも食べるという感じです。
岡本さん、いっぱい食べているのに太らないですよね。
▲このステーキのおいしさをみんなと分かち合おうと切り分けて、取材スタッフにあーんと促す岡本さん。
中村さんもよく「お肉は食べても太らない」と言ってますが、僕もそう思いますね。スポーツジムに行っても、「とにかく肉を食べてくれ」と言われますし。肉を食べてタンパク質を豊富に摂って、代謝を上げる方法がいいみたいです。
たしかに。
焼肉を食べると太るというイメージがあるのは、その後にご飯や冷麺を食べちゃうから。そこを我慢すれば太らない……と言いたいんですが、僕は焼肉に行くと必ずご飯やデザートを頼んじゃうので。太らないのは週に1回バドミントンをやっているおかげだと思います（笑）。
前回のインタビューでは、「夜に豪勢な食事をするときは、昼に魚肉ソーセージですませることもある」とのことでしたが。
▲お肉をペロリと平らげたあと、Lボーンについているお肉をかぶりつく。お店のスタッフによれば「これをやる人は本物の肉好き」とのこと。
最近は魚肉ソーセージすらも食べなくなっていますね。アフレコ現場でお腹が鳴り出したら、ごそごそとチョコレートを出します。最近ハマっているのは、Minimalっていうカカオ成分の高いチョコレート。バターを使っていないのにすごくおいしいなと思います。
お菓子と言えば、岡本さんってブラックサンダーがお好きでしたよね。
はい、大好きです！ ……なんですけど、ブラックサンダーはカロリーが高いんですよね（笑）。でも先日、ちょっとリッチなブラックサンダーを食べました。フランボワーズ×カシス味というフレーバーがあって、すごくおしゃれな味がするんですよ。
きょうのように、お肉を食べたあとには必ずデザートを頼みますか？
頼んじゃいます！ 「カルネヤサノマンズ」さんみたいなステーキ店は、デザートもすごく凝っているし楽しみなんです。焼肉屋に行ってもデザートは欠かせないんですが、お店によってはアイスくらいしか選択肢がなくてもの足りないことも。そういうときは……。
ときは？
焼肉屋を出たあとにコンビニに行きます！ コンビニスイーツで〆ます！
▲ゴルゴンゾーラのベイクドチーズケーキ（700円）は神楽坂の「カルネヤ」と同じレシピを使った自信作のひとつ。

誰にでも分け隔てなく心を開く。岡本信彦が愛される理由

お誕生会によく参加するってことは、よく呼ばれる、声をかけられる、頼られるということでもあると思うんです。
よくわからないんですけど、話しやすいタイプなんだとは思います。たしかに「おいしいお店紹介してよ」って言われることはすごく多いので。「おいしいお店に行きたいんだよね」って先輩に言われたら、僕も「今度一緒に行きません？」ってよくお誘いしちゃいます。
先日も細谷さんと飲んだときに話したんですけど、声優って役者タイプと役者じゃないタイプの2種類があるよねって。だとしたら、細谷さんはきっと役者タイプ。この仕事をしてなかったらこの人どうしてたんだろう？っていう感じの、言うなれば頑固で、職人気質。僕と同世代だと、松岡禎丞くんも役者タイプだと思います。

一方、僕は声優を辞めて、一般企業に勤めることもできる気がするんですよね。
先ほどの肉卸業者に見学に行く話もスゴいと思ったのですが、岡本さんはあまり人見知りをしないですよね。
あまり裏表がないというか。ブログやライブでも、話していいギリギリのラインまで話しちゃいますから。あと、人といることがそんなに苦じゃないタイプなんだと思います。
誰とでも仲良くできる。先輩にも可愛がられているイメージです。
でも、懐に入るのが難しかった方はいっぱいいますよ。仲良くなるまで何度も叱られたことだってあります。
▲ゴルゴンゾーラの塩気と独特の香りが大人の味わいを醸し出している。「おしゃれな味がしますね〜」と満面の笑み。
叱られたら落ち込むし、「じゃあもういいや」ってなりません…？
そういうときってだいたい飲みの席が多いんですけど、僕からは心をシャットダウンしないように意識はしてます。煙たがられても、「今度また飲みに行きましょうよ」って。そうしていると、逆にその方のほうが根負けしてくれるんです（笑）。
スゴいです。
でもずっとピリピリされてた方が、やわらかくなってくれると、現場での空気がすごく変わるんですよね。誰にとってもいいことだと思うんです。
岡本さんの気持ちの強さが、周りにもいい影響を与えているのかもしれないですね。
僕はご飯を食べるのも、誰かと一緒に行くほうが絶対に楽しいと思うんです。おいしいご飯と、楽しい会話。仲のいい人が増えれば、そういう機会がどんどん増える。皆さんもぜひ、仲のいい人たちとおいしいお肉を食べに行ってください！
岡本信彦（おかもと・のぶひこ）
1986年10月24日生まれ。東京都出身。B型。2006年に声優デビュー。翌年、『sola』（森宮依人）で初主演を果たす。主な出演作に『PERSONA-trinity soul-』（神郷 慎）、『青の祓魔師』シリーズ（奥村 燐）、『とある魔術の禁書目録』シリーズ（一方通行＜アクセラレータ＞）、『ハイキュー!!』シリーズ（西谷 夕）、『暗殺教室』（赤羽 業）、『僕のヒーローアカデミア』シリーズ（爆豪勝己）など。2012年よりKiramuneレーベルにて、アーティストとしても活動中。

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、岡本信彦さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年3月29日（金）12：00〜4月4日（木）12：00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日／4月8日（月）
  • 当選者発表方法／応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ／当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから4月8日（月）中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき、4月10日（水）までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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