仏ルノーが、週内にもカルロス・ゴーン被告の会長と最高経営責任者(CEO)の職を解き、新体制を決める見通しとなった。仏紙フィガロはルノーが23日にも取締役会を開き、後任会長に仏タイヤ大手ミシュランCEOのジャンドミニク・スナール氏が就くとみられると報じた。ゴーン被告解任で、連合を組む日産自動車とルノーの足並みはそろう。ただ今後の連合のあり方に関して両社の思惑はすれ違っており、先行きは晴れない。

 フィガロによるとルノーは役員人事案を議論する指名委員会を18日開いた。ゴーン被告の後任CEOにはルノー副CEOのティエリー・ボロレ氏が就くとみられるという。

 ゴーン被告が逮捕され、連合を組む日産と三菱自動車はともに会長職を解任したのに対し、ルノーは解任を見送ってきた。しかしゴーン被告の勾留が長期化する見通しとなり、方向転換した。22日にはゴーン被告の2回目の保釈請求が却下された。

 ルノーが新体制に移行する方向になり、西川広人日産社長兼CEOは「取締役会同士でこれから先を議論するにあたり、ルノーが体制を整えるのはポジティブだ」と歓迎した。

 ただルノーは筆頭株主の仏政府の意向も汲み、日産への影響力向上を狙っている。20日には仏政府がルノーと日産を経営統合させる意向を日本政府に伝えたことが明らかになった。その地ならしのためルノーは新体制発足後、日産に臨時株主総会開催を要求し、スナール氏を会長として送り込む可能性を探っているとみられる。

 日産はゴーン被告の不正を契機に、資本面でルノーに支配される関係を見直し、独立性を高めたい考えで、仏政府・ルノーの介入姿勢に反発する。対立をどう乗り越えるか、連合の持続性が試される局面は続く。